ニュース

「機能性表示食品」に課題 信頼性に不安も 科学者による初の採点を公開

 一般社団法人「消費者市民社会をつくる会」(理事長:阿南久・元消費者庁長官)は、「機能性表示食品」の評価結果を発表した。同制度について、消費者からはもっと分かりやすい情報提供を求める声が強い。
「機能性表示食品」は増えている 1年で300品・100社超
 「脂肪の吸収をおだやかにする」「糖の吸収をおだやかにする」「おなかの調子を整える」など、健康にどんな効果があるかを表示できる「機能性表示食品」制度は2015年4月に開始された。加工食品やサプリメント、生鮮食品など、すでに多くの機能性表示食品が店頭に並んでおり、今年4月の段階で受理件数は300品・100社を超えた。

 科学的根拠にもとづき事業者の責任で食品に機能性を表示できる「機能性表示食品」は、消費者が製品に含まれる成分の機能に着目して商品を選べる利点がある。販売する側も他の製品と差別化し、健康志向の消費者にアピールできる。

 販売前に機能性や安全性に関する情報を消費者庁に届け出る必要はあるが、トクホ(特定保健用食品)と異なり、同庁の審査・許可は不要。表示の対象は加工食品、サプリメント(栄養補助食品)、農畜水産物と幅広い。

 同制度の大きなメリットは、消費者庁のホームページで企業が提出した資料を読めることだが、一方で、消費者や専門家からは信頼性や分かりやすさに疑問の声も出ている。科学的な論文のレベルも、製品によって大きな差がある。
「機能性表示食品」79品の評価結果を発表
 一般社団法人「消費者市民社会をつくる会」(理事長:阿南久・元消費者庁長官)は5月に、「機能性表示食品」79品の評価結果を発表した。

 同評価では、同会が設置した科学者委員会が、届出書類について、根拠とする論文の数、届出書類が消費者庁のガイドラインに適合しているか、安全性に問題はないか、などを企業側への質問・回答を交えて評価している。

 評価判定では、二重盲検ランダム化比較試験(RCT)が行われてるかを重視した。RCTは、治験や臨床試験などで、データの偏り(バイアス)を軽減するため、被験者を無作為(ランダム)に処置群と比較対照群(プラセボ群など)に割り付けて実施し、評価を行う試験。医薬品の治験に採用されることが多く、信頼性の高い試験とされている。

評価判定は、
A 「有効性について十分な科学的根拠がある」(5報以上のRCT論文やシステマティックレビューで有効の判定がある場合)
B 「かなりの科学的根拠がある」(RCT論文が2報以上あり、有効の判定が多数の場合、あるいは最終製品でのRCTが1報の場合)
C 「ある程度の科学的根拠がある」(RCT論文が1報のみ、あるいは2報以上で有効と無効が拮抗する場合)
――の3つで公表された。

 その結果、79製品中、A判定が16件、B判定が40件、C判定が15件、見解不一致が6件、照会中が2件と評価された。また、安全性評価については、79製品すべてが「問題なし」だった。

 見解不一致となったのは、「ナイトスリムエッセンス ラクトフェリン」(ライオン)、「ヒアロモイスチャー240」(キューピー)、「えんきん」(ファンケル)、「蹴脂粒」(リコム)、「ひとみの恵ルテイン40」(ファイン)、「ディアナチュラゴールド ルテイン&アスタキサンチン」(アサヒフードアンドヘルスケア)の6製品。

 見解不一致となった主な要因は、論文に含まれる18歳の対象者を成人年齢とするかどうか、BMI30を超える肥満者でも医師の判断で被験者に加えることができるかどうかなど。
消費者からは分かりやすい情報提供を求める声が強い
 「機能性表示食品」については、消費者からはもっと分かりやすい情報提供を求める声が強い。専門家からは「科学的に信頼できるかを消費者が製品ごとに読みこなすのは困難」という意見も出ている。

 「消費者市民社会をつくる会」は今回の評価結果について、「機能性表示食品は食品であり、その効果は医薬品に比べて極めてマイルドだ。そのような微弱な効果を的確に評価するのは難しい。そこで、今回の評価の目的を"表示の科学的根拠の程度"とした。具体的には、届出の機能性表示の根拠となる論文が何報あるのかで根拠の程度を判断する方式を採用した」と説明。

 「必要な時期だけ摂取する医薬品と違い、機能性表示食品は長期間にわたって毎日飲み続けることが多い。ビタミン剤を長期間飲み続けている多数の人たちを疫学調査した結果、長期摂取するとむしろ悪影響がある可能性が示されている。機能性表示食品の安全性についても、将来的には疫学調査などによる詳細な検討が必要」と指摘している。

 「機能性表示食品制度」は、同会のような消費者庁や事業者以外の意見によって改良されることで、国民の健康維持・増進に真に寄与できるようになる、柔軟性をもった制度だといえる。

一般社団法人 消費者市民社会をつくる会
機能性表示食品に関する情報(消費者庁)
関連する法律・制度を確認>>保健指導アトラス【食品衛生法】
[Terahata]
side_メルマガバナー

「健診・検診」に関するニュース

2025年02月25日
【国際女性デー】妊娠に関連する健康リスク 産後の検査が不十分 乳がん検診も 女性の「機会損失」は深刻
2025年02月17日
働く中高年世代の全年齢でBMIが増加 日本でも肥満者は今後も増加 協会けんぽの815万人のデータを解析
2025年02月12日
肥満・メタボの割合が高いのは「建設業」 業態で健康状態に大きな差が
健保連「業態別にみた健康状態の調査分析」より
2025年02月10日
【Web講演会を公開】毎年2月は「全国生活習慣病予防月間」
2025年のテーマは「少酒~からだにやさしいお酒のたしなみ方」
2025年02月10日
[高血圧・肥満・喫煙・糖尿病]は日本人の寿命を縮める要因 4つがあると健康寿命が10年短縮
2025年01月23日
高齢者の要介護化リスクを簡単な3つの体力テストで予測 体力を維持・向上するための保健指導や支援で活用
2025年01月14日
特定健診を受けた人は高血圧と糖尿病のリスクが低い 健診を受けることは予防対策として重要 29万人超を調査
2025年01月06日
【申込受付中】保健事業に関わる専門職・関係者必携
保健指導・健康事業用「教材・備品カタログ2025年版」
2024年12月24日
「2025年版保健指導ノート」刊行
~保健師など保健衛生に関わる方必携の手帳です~
2024年12月17日
子宮頸がん検診で横浜市が自治体初の「HPV検査」導入
70歳以上の精密検査無料化など、来年1月からがん対策強化へ
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶