ニュース

アルツハイマー病を社会的な交流で防ぐ 「脳年齢」を若く保つ秘訣

 他者との知的な共同作業など、脳に負荷のかかる仕事に就いている人は、年齢が高くなっても脳の認知能力が衰えず、認知症の発症が少ないことが判明した。
人との交流が必要な仕事が認知能力の衰えを防ぐ
 社交性や協調性の求められる知的な仕事は、認知能力の衰えを防ぎ、認知症の予防に役立つ可能性があることが確かめられた。軽い脳梗塞がある場合でも、それを補う効果を期待できるという。

 仕事での交渉や、教育や指導といった要素の多い仕事に就いている人は、脳を活発に使っている傾向がある。「他人と対話しながら行う社会的な相互作用を必要とする仕事は、脳にリアルタイムに刺激を与え、脳の力を大きく引き出すきっかけとなります」と、米国のウィスコンシン大学アルツハイマー病研究センターのエリザベス ブート氏は言う。

 ブート氏らは、両親のいずれかがアルツハイマー病で、遺伝因子が強いとみられる平均年齢60歳の健常者284人を対象に脳MRI検査を実施し、局所的虚血による神経学的機能障害を調べた。同時に、参加者に認知機能を調べるテストを受けてもらい、記憶力や問題解決能力を調べた。

 その結果、人との交流が多い知的な仕事をしている人の方が、脳血管障害のマーカーとなる白質異常がみられた場合でも、認知能力の衰えは少ないことが判明した。
他者との交わりを含む複雑な仕事は人生経験を豊かにする
 アルツハイマー病の発症リスクは加齢に伴い上昇するが、軽い脳梗塞などの血管障害が起きていても、脳にはそれを補う「弾力性」が備わっており、精神的な活動の多い生活スタイルにより「認知的な予備力」を獲得できるという。

 「メンタル面が活発な生活スタイルをもつ人は、脳の異常な変化が健康にもたらす悪影響を抑えられている可能性があります。脳は筋肉と同じように、使うほど発達し、発達するほど血管の損傷にも耐えられるようになります」と、ブート氏は説明する。

 他者との交わりを含む複雑な仕事は人生経験を豊かにする。アルツハイマー病の病理学でも脳が衰えるのを防ぐ役割がある。ただし、脳にとって何が良い刺激になるかは、人それぞれだ。学習が常に型にはまった堅苦しいものである必要はない。家で読書するだけでも、脳にとっては十分な刺激となることもありうる。

 脳を良く使う生活を心がければ、結果的に認知症の予防効果を得られやすい。メンタル面で刺激のない仕事に就いている人でも、人との交流を求めてコミュニティーに参加すれば、多くのことが得られる。

 孤立しがちな人は、どんなものでも良いので、職場や地域社会などで他者と交流する機会をもつべきだ。それが一時的なものであっても、脳にとっては好ましい刺激となる。

 認知症の発症には食事などの生活スタイルが大きく関わっている。例えば、精製された小麦粉を使ったパンや菓子類、高カロリーの清涼飲料など、糖質の多い食品を多く摂っている人は認知症の発症リスクが上昇することが、過去の研究で確かめられている。

 社会的な交流の頻度の高い、メンタル面での刺激の多い生活をしている人は、不健康な生活の悪影響を取り除ける可能性もあるという。

 「他者との複雑な共同作業を含む刺激的な生活スタイルは、適度なストレスを伴っており、体に好ましい変化をもたらします。積極的に社会交流することで、認知能力の衰えを抑えられる可能性があります」と、国際アルツハイマー病協会のマリア カリリョ氏はアドバイスしている。

Complex Work with People Protects Against Alzheimer's Disease(ウィスコンシン大学 2016年7月25日)
[Terahata]

「健診・検診」に関するニュース

2021年01月28日
【オピニオン新連載】行動科学に基づいた保健指導スキルアップ~対象者の行動変容を促すには?~
2021年01月26日
【新型コロナ】接触確認アプリ「COCOA」がコロナ禍の心理的ストレスを減らす? 企業従業員の心の健康をどう守るか
2021年01月26日
スマホの運動アプリで1日の歩数を2000歩増やせる 新型コロナをきっかけに、運動への関心は世界中で拡大
2021年01月26日
「脂肪肝」が手遅れになる前にスマホで早期発見 病気と認識してきちんと対策 「脂肪肝プロジェクト」を始動
2021年01月26日
人工知能(AI)を活用して大腸がんを高精度に発見 医師とAIが一体となり、がん検査の見逃しをなくす
2021年01月25日
「内臓脂肪」と「腸内細菌」の関係を解明 肥満の人で足りない菌とは? 腸内細菌のバランスが肥満やメタボに影響
2021年01月25日
コレステロール高値で高尿酸血症のリスクが上昇 メタボリックシンドロームと高尿酸血症の関連に新たな知見
2021年01月19日
【新型コロナ】「自然」の豊かな環境でストレスを解消 心の元気を保つために「行動の活性化」を
2021年01月18日
「和食」が健康にもたらすメリットは多い 5割が「健康に良い」、8割以上は「和食が好き」
2021年01月18日
冬の「ヒートショック」を防ぐ6つの対策 急激な温度変化は体にとって負担 血圧変動や脱水に注意
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
  • 週1回配信(毎週木曜日)
  • 登録者数 10,890 人(2021年06月現在)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 2.7%
  • 保健師 44.8%
  • 看護師 10.8%
  • 管理栄養士・栄養士 19.8%
  • その他 22%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶