ニュース
血糖をはかり、コントロールするために必要なことは 「糖をはかる日」
2016年10月19日

糖尿病治療研究会は10月8日の「糖をはかる日」に記念講演会を開催した。血糖値をはかり、血糖の動きをモニターすることが、自分の体の状態を知るために重要だ。初期の段階では、特に食後の血糖値が上昇しやすい。血糖値をはかってみることが大切だ
糖をはかる意義とは
血糖自己測定は誰にでも勧められる
池田義雄 先生(糖尿病治療研究会代表幹事)
糖尿病の治療の基本は血糖コントロールだ。しかし、血糖の動きは人によって全部異なり、また、いつも一定とは限らない。糖尿病の人がインスリンや経口薬などの薬を使っていると、その動きはさらに複雑になる。
血糖自己測定は誰にでも勧められる


血糖自己測定を行えば自分の血糖値が簡単に分かる

「血糖値スパイク」が注目されている 危険サインを見逃さないことが大切
血糖値は通常、空腹時に低く、食後に高くなる。最近、空腹時血糖値は正常または境界領域でも、食後の血糖値のみが高くなる(200mg/dL以上)「血糖値スパイク」が注目されている。
糖尿病の初期に多くみられのが「食後高血糖」。食後高血糖はその名称のとおり、食事後の血糖値が異常に高くなる症状のことをさす。この状態を放置しておくと、やがて空腹時血糖値も高くなり2型糖尿病へと進行していく。
空腹時血糖値だけでは糖尿病と気付かず、経口ブドウ糖負荷試験によってはじめて糖尿病と診断される人が多いことが、多くの大規模臨床試験で確かめられている。通常の健診で空腹時血糖値をみただけでは、糖尿病初期の患者を半数近くを診断できないことから、食後高血糖は「隠れ糖尿病」とも言われる。
「隠れ糖尿病」は誰にでも起こりうる状態だ。健診で糖尿病を指摘されなかった人でも安心はできない。たとえ空腹時血糖値が正常範囲内であっても、食後高血糖(200mg/dL以上)が起きている患者では、正常型(140mg/dL未満)の人よりも、動脈硬化が進行しやすく、心筋梗塞や脳梗塞などで死亡する危険が2倍に上昇することが分かっている。
糖尿病は自覚症状なく進行し、全身にさまざまな合併症を引き起こす病気だ。しかし、初期の段階で気づけば、食事や運動などの生活習慣の改善だけで、進行をくい止めることもできる。
2型糖尿病の初期の危険サインである食後高血糖を見逃さないことが、糖尿病の早期発見、早期治療のために重要だ。糖尿病の初期サインをみつけるために効果的なのが血糖自己測定だ。血糖自己測定器を用いれば、家庭でも手軽に食後の血糖値を知ることができる。血糖値は食後1~2時間後に上昇しやすい。積極的に食後の血糖値を測ろう。
講演1「糖のことを知り、上手にコントロールしよう」
河盛隆造 先生(順天堂大学名誉教授・特任教授)

講演2「血糖値の変動とその管理」
森 豊 先生(東京慈恵会医科大学附属第三病院 糖尿病・代謝・内分泌内科教授)

夜間の血糖変動を平坦化させる治療も必要
夜間深夜帯は、本来であれば血糖値の変動が少なく、「副交感神経」が優位で「交感神経」は低下する。この時間帯に血糖値が大きく変動し、交感神経が活発になるのは危険な状態で、不整脈など体にとって有害な防御反応が働く可能性がある。
さらに、長期的にみると、夜間に起きる急激な血糖変動は交感神経の活動が緊張を引き起こし、冠動脈内プラ―クなどができやすくなり、心血管イベント発症に大きく結びつくと考えられる。
現在、糖尿病の治療で使われる血糖降下薬(経口薬)は6種類ある。その中で「DPP-4阻害薬」は、夕食後の血糖上昇を抑えて夕食後から夜間深夜帯に続く血糖変動を平坦化させることで、同時間帯の交感神経活動の亢進を抑える効果を期待できる。
「食後高血糖を抑えるだけでなく、夕食後の血糖上昇を抑えて、特に夜間深夜帯の血糖変動を平坦化させる治療も必要とされている」と、森教授は述べている。
10月8日「糖をはかる日」制定記念講演会
~糖を知る、はかる、コントロールする~
[日時]10月8日(土)
[場所]フクラシア東京ステーション
[内容]
司会:岩本安彦 先生(公益財団法人朝日生命成人病研究所・附属医院 所長・院長)
ご挨拶「糖をはかる意義とは」
池田義雄 先生(糖尿病治療研究会代表幹事)
講演1「糖のことを知り、上手にコントロールしよう」
河盛隆造 先生(順天堂大学名誉教授・特任教授)
講演2「血糖値の変動とその管理」
森 豊 先生(東京慈恵会医科大学附属第三病院 糖尿病・代謝・内分泌内科教授)
パネルディスカッション
10月8日は「糖をはかる日」~糖を知る、はかる、コントロールする~
[日時]10月8日(土)
[場所]フクラシア東京ステーション
[内容]
司会:岩本安彦 先生(公益財団法人朝日生命成人病研究所・附属医院 所長・院長)
ご挨拶「糖をはかる意義とは」
池田義雄 先生(糖尿病治療研究会代表幹事)
講演1「糖のことを知り、上手にコントロールしよう」
河盛隆造 先生(順天堂大学名誉教授・特任教授)
講演2「血糖値の変動とその管理」
森 豊 先生(東京慈恵会医科大学附属第三病院 糖尿病・代謝・内分泌内科教授)
パネルディスカッション
糖尿病治療研究会
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2025 SOSHINSHA All Rights Reserved.


「健診・検診」に関するニュース
- 2025年08月21日
- 歯の本数が働き世代の栄養摂取に影響 広島大学が新知見を報告
- 2025年07月07日
- 子供や若者の生活習慣行動とウェルビーイングの関連を調査 小学校の独自の取り組みを通じた共同研究を開始 立教大学と東京都昭島市
- 2025年06月27日
-
2023年度 特定健診の実施率は59.9%、保健指導は27.6%
過去最高を更新するが、目標値と依然大きく乖離【厚労省調査】 - 2025年06月17日
-
【厚労省】職域がん検診も市町村が一体管理へ
対策型検診の新項目はモデル事業で導入判断 - 2025年06月02日
- 肺がん検診ガイドライン19年ぶり改訂 重喫煙者に年1回の低線量CTを推奨【国立がん研究センター】
- 2025年05月20日
-
【調査報告】国民健康保険の保健事業を見直すロジックモデルを構築
―特定健診・特定保健指導を起点にアウトカムを可視化 - 2025年05月16日
- 高齢者がスマホなどのデジタル技術を利用すると認知症予防に 高齢者がネットを使うと健診の受診率も改善
- 2025年05月16日
- 【高血圧の日】運輸業はとく高血圧や肥満が多い 健康増進を推進し検査値が改善 二次健診者数も減少
- 2025年05月12日
- メタボとロコモの深い関係を3万人超の健診データで解明 運動機能の低下は50代から進行 メタボとロコモの同時健診が必要
- 2025年05月01日
- ホルモン分泌は年齢とともに変化 バランスが乱れると不調や病気が 肥満を引き起こすホルモンも【ホルモンを健康にする10の方法】