ニュース

約4割の労働者がヒヤリ・ハット体験 -厚労省・労働安全衛生調査

 厚生労働省はこのほど、「平成27年労働安全衛生調査(実態調査)」の結果を取りまとめ公表した。今回は事業所が行っている労働災害防止活動や安全衛生教育の実施状況などの実態、またそこで働く労働者の労働災害防止等に対する意識について調査している。

 まず事業所の状況について見ると、「リスクアセスメント」を実施している事業所の割合は47.5%。実施内容は「作業に用いる機械の危険性に関する事項」が59.6%、「交通事故に関する事項」が55.8%と高い割合を示したが、「作業に用いる化学物質の危険性・有害性に関する事項」については27.5%だった。

 一方、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は59.7%。取り組み内容は、メンタルヘルス対策に関する「事業所内での相談体制の整備」(44.4%)、同じく「労働者への教育研修・情報提供」(42.0%)、「管理監督者への教育研修・情報提供」(38.6%)などとなっている。

 整理整頓や交通事故防止、作業機械による事故防止など安全衛生教育を、派遣労働者に対して実施している事業所の割合は76.4 %、正社員以外の労働者(派遣労働者以外)には76.3%。腰部に負担のかかる業務に従事する労働者がいる事業所の割合は50.6%で、産業別では「医療、福祉」、「運輸業、郵便業」、「鉱業、採石業、砂利採取業」の順に高かった。これらの事業所のうち、腰痛予防に関する教育を行っている事業所の割合は59.4%だった。

 一方で、受動喫煙防止対策に取り組んでいる事業所の割合は87.6%と9割近くに迫っている。産業別では「電気・ガス・熱供給・水道業」が99.2%と100%近い割合を示しており、次ぐ「金融業、保険業」も97.6%、「複合サービス事業」も97.2%と高い値。具体的な禁煙・分煙の状況については、「事業所の建物全体を禁煙とし、屋外のみ喫煙可能としている」が38.1%で最も多かった。

 続いて労働者の状況を見てみると、雇い入れや派遣のとき、また作業内容が変わったタイミングで安全衛生教育を受けたことがあるかどうか、という質問には「受けた」人が65.1%。このうち9割以上が、安全衛生教育の受講が役に立った、としている。また「災害発生時の避難訓練」や「4S(整理・整頓・清潔・清掃)活動」など安全衛生活動に参加したことのある労働者の割合は72.8%だった。

 過去1年間で労働災害につながるような「ヒヤリ・ハット体験」があった労働者の割合は37.8%。産業別では「農業、林業」が59.5%と最も高く、次いで「医療、福祉」が56.7%、「鉱業、採石業、砂利採取業」が51.4%と5割を超えている。さらに、ヒヤリ・ハット体験を会社(上司)に「すべて報告した」労働者は59.7%にとなり、「報告しなかった」労働者も10.6%いた。

 現在の仕事や職業生活に関して、強いストレスになっていると感じる事柄がある労働者の割合は55.7%。具体的には「仕事の質・量」、「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」、「仕事の失敗、責任の発生等」が要因となっていた。

 職場で喫煙する労働者の割合は25.1%と、前回調査の平成25年調査に比べて約6%減少している。一方で職場での受動喫煙について、「ほとんど毎日」と「ときどき」ある、と回答した労働者は全体の32.8%だった。

平成27年労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況
[yoshioka]
side_メルマガバナー

「産業保健」に関するニュース

2025年08月21日
令和7年(1月~7月)の自殺者は11,143人 前年同期比で約10%減少(厚生労働省)
2025年08月21日
歯の本数が働き世代の栄養摂取に影響 広島大学が新知見を報告
2025年08月20日
育休を「取りたい」若者は7割超 仕事と育児との両立で不安も 共に育てる社会の実現を目指す(厚生労働省)
2025年08月13日
小規模事業場と地域を支える保健師の役割―地域と職域のはざまをつなぐ支援活動の最前線―
【日本看護協会「産業保健に関わる保健師等の活動実態調査」】〈後編〉
2025年08月07日
世代別・性別ごとの「総患者数」を比較-「令和5年(2023)の患者調査」の結果より(日本生活習慣病予防協会)
2025年08月06日
産業保健師の実態と課題が明らかに―メンタルヘルス対応の最前線で奮闘も、非正規・単独配置など構造的課題も―
【日本看護協会「産業保健に関わる保健師等の活動実態調査」】〈前編〉
2025年08月05日
【インタビュー】2週間のデトックスで生産性が変わる?
製薬の『アルコールチャレンジ』に学ぶ健康経営
2025年07月28日
日本の「インターバル速歩」が世界で話題に 早歩きとゆっくり歩きを交互に メンタルヘルスも改善
2025年07月28日
肥満と糖尿病への積極的な対策を呼びかけ 中国の成人男性の半数が肥満・過体重 体重を減らしてリスク軽減
2025年07月28日
1日7000歩のウォーキングが肥満・がん・認知症・うつ病のリスクを大幅減少 完璧じゃなくて良い理由
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,800名)
登録者の内訳(職種)
  • 医 師 3%
  • 保健師 47%
  • 看護師 11%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 20%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶