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喫煙は動脈硬化の原因 リスクが5.2倍に上昇 日本人1000人を調査
2016年12月22日
喫煙習慣のある人は動脈硬化が進行しており、喫煙期間が長期にわたる人や喫煙量が多い人ほどリスクが高まることが、滋賀医科大の研究チームが1,000人以上を対象とした調査で明らかになった。
はじめて一般の日本人を対象とした大規模な疫学調査で、喫煙と動脈硬化の関係が実証された。
はじめて一般の日本人を対象とした大規模な疫学調査で、喫煙と動脈硬化の関係が実証された。
喫煙者は全ての部位で動脈硬化が進行
研究の対象となったのは、滋賀県草津市に在住する、心血管病の既往のない健康な40~79歳の男性1,019人。
研究チームは、調査時の喫煙状況に加えて、生涯喫煙量、禁煙期間と心臓、大動脈、頸動脈および末梢血管における潜在性の動脈硬化との関連を調べた。
その結果、タバコを吸わない人に比べ、吸う人では全ての部位で動脈硬化が進んでいることが明らかになった。
動脈硬化は、日本人の死因の上位を占める心筋梗塞や脳卒中などのリスクを高める。
生涯喫煙量が高くなるほど動脈硬化リスクは上昇
研究チームは、コンピューター断層撮影(CT)で心臓の動脈(冠動脈)の石灰化を評価し、心筋梗塞や狭心症を起こすリスクを調べた。
続いて、頚動脈の内膜中膜肥厚(動脈壁の厚さ)とプラーク数を超音波検査で調べ、CT検査で大動脈の石灰化を評価。
さらに、足へ血液を送る末梢血管の4ヵ所の動脈で足関節/上腕血圧比(ABI)を調べ、下肢動脈の狭窄・閉塞を評価した。
対象者のうち、32%が現在も喫煙しており、50%が過去に喫煙していたが禁煙し、18%が生涯喫煙したことがなかった。
その結果、喫煙習慣のある人は、習慣のない人に比べ、喫煙冠動脈の石灰化が1.8倍、頚動脈の肥厚が1.9倍、大動脈の石灰化が4.3倍、ABIが5.2倍にリスクが上昇した。
生涯喫煙量(1日に吸う箱数×喫煙年数)が高くなるほど動脈硬化のリスクは高くなり、1日2箱(20本)を30年にわたり喫煙した人は、心臓の動脈硬化が非喫煙者の2.2倍に上昇した。
禁煙した人でも、頚動脈の肥厚が1.9倍、大動脈の石灰化が2.6倍にリスクが上昇しが、禁煙を始めた時期が早い人ではリスクが低下する傾向がみられた。
心臓病や脳卒中を予防するために、できるだけ早く禁煙を
動脈硬化の程度は、生涯喫煙量の多い喫煙者ほど大きく、早期に禁煙した禁煙者ほど小さいことが明らかになった。これは心臓・頚動脈・大動脈・末梢血管のいずれの部位の指標でみても同様だった。
これらの結果は、喫煙によって血管の石灰化、血管内膜・中膜の肥厚、血流の障害といった、血管の動脈硬化のリスクが大きく上昇することを示している。
研究は、滋賀医科大学アジア疫学研究センターの上島弘嗣特任教授と三浦克之センター長が代表をつとめる「滋賀動脈硬化疫学研究」(SESSA)の成果。米国心臓学会の学会誌である「Journal of American Heart Association」に発表された。
「喫煙が全身の血管の動脈硬化を進展させることが明瞭に示された。動脈硬化による心臓病や脳卒中を予防するためには、まずタバコを吸い始めないこと、また、喫煙者ではできるだけ早く禁煙して、動脈硬化が進むのを予防することが大切だ」と、三浦センター長は述べている。
滋賀医科大学アジア疫学研究センターSmoking, Smoking Cessation, and Measures of Subclinical Atherosclerosis in Multiple Vascular Beds in Japanese Men(Journal of American Heart Association 2016年8月29日)
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