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子宮頸がんワクチンは危険? 女子10万人に20人「非接種でも同様の症状」
2017年01月11日
子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の接種後に報告された副作用とみられる症状について、HPVワクチン接種歴のない12~18歳の女性でも同様の多様な症状が、10万人に20人の割合でみられることが、厚生労働科学研究班の全国調査で分かった。
子宮頸がんワクチン、未接種でも同じ症状
調査は、全国の病院の1万8,302の診療科を対象に、昨年7月から12月に受診した12~18歳の若年患者で、頭痛や起立障害、倦怠感、神経麻痺、月経異常などの症状が3ヵ月以上持続しており、通学や就労に影響がある患者の有無を尋ねたもの。
さらに、これらに該当する「患者あり」と回答した508の診療科に対し、多様な症状がありHPVワクチン接種歴のない患者数を推計した。
その結果、HPVワクチン接種後に発生したとされる症状と同様の多様な症状を示す患者は、12~18歳の女子では10万人に40.3人、12~18歳の男子でも10万人に20.2人の頻度でみられることが分かった。
12歳以上の女子では、接種歴が不明だった患者をすべて「接種歴なし」とした場合は10万人に46.2人に上昇した。
一方、接種歴のある女子では、人口10万人に27.8人の頻度で患者が存在し、接種と発症の前後関係が不明な患者なども加えると69.5人に上昇した。
日本産科婦人科学会「接種勧奨の再開を」
「HPVワクチンの接種歴がない若年者でも、疼痛や神経障害などの症状を示す患者が一定数いることが判明した」と、研究班の代表を務める大阪大学大学院医学系研究科の祖父江友孝教授は言う。調査結果は、厚生科学審議会と薬事・食品衛生審議会の合同部会で報告された。
ただし祖父江氏らは、「女子で接種歴のあり、なしでの多様な症状の発生頻度は、母集団の年齢構成が異なることに加え、多くのバイアスがあるために比較できない」と付け加えている。
全国調査の結果報告を受け、日本産科婦人科学会は「これまで訴えてきた通り、わが国においてもHPVワクチンと関係なく、思春期の女性に疼痛や運動障害などワクチン接種後に報告されている多様な症状を呈する方が相当数いることが確認された」と声明を発表。
「将来、先進国の中でわが国においてのみ、多くの女性が子宮頸がんで子宮を失ったり、命を落としたりするという不利益がこれ以上拡大しないよう、国が一刻も早くHPVワクチンの接種勧奨を再開することを強く求める」と述べている。
ワクチン接種後の健康被害などを理由に国と製薬会社に賠償を求め集団提訴した女性らの弁護団は、調査結果について、「副反応症状と同様の症状の患者を的確に把握できておらず、報告された推計患者数は明らかに過大」と批判するコメントをウェブサイトで公開した。
子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)
2013年4月に国によって定期接種化された子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)は、がん予防の効果が期待される一方、接種後に広範な慢性の疼痛などの多様な症状がみられたため、2ヵ月後の6月に積極的勧奨の差し控えが実施された。
厚生労働省が2015年に公表した追跡調査では、未回復の重い症状の女性は186人だった。被害を訴える女性は今年7月と12月に、国と製薬会社2社に対して損害賠償を求めて東京地裁などに集団提訴した。
一方、世界保健機関(WHO)は、「先進国では日本だけにみられる状態。HPVワクチンの接種を推奨する」と発表。日本産科婦人科学会などは、「日本だけ子宮頸がんの発症が著しく高いという事態になる可能性がある」として、積極的勧奨の再開を求めている。
日本の子宮頸がん患者数は年間約1万人、死亡者数は約3,000人で、その原因の多くがヒトパピローマウイルス(HPV)感染によるものとされている。
分科会副反応検討部会、第9回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(厚生労働省 2016年12月26日)全国疫学調査結果報告を受けてのコメントについて(日本産科婦人科学会 2016年12月27日)
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