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若年者や未成年者の「禁煙治療」を推進 日本禁煙学会が指針を公表
2017年02月09日
日本禁煙学会は、35歳未満の若年者や20歳未満の未成年者を対象にした禁煙治療の指針を公表した。
「未成年者においても、禁煙の保険治療が可能になった。将来の喫煙者を効果的に減少させるためにも、若いうちから対応することが重要」と指摘している。
「未成年者においても、禁煙の保険治療が可能になった。将来の喫煙者を効果的に減少させるためにも、若いうちから対応することが重要」と指摘している。
喫煙の本質は「依存症」 若年者の禁煙は難しい
日本禁煙学会によると、喫煙は「ニコチン依存症」という病気であり、いったん喫煙を開始すると脳に変化が起こり、禁煙は容易ではない。
さらに喫煙開始年齢が低いほど禁煙は難しいとされる。若年者の喫煙率は減少しているが、国民健康栄養調査によると2014年の20?29歳喫煙率は男36.7%、女11.8%と、日本全体の喫煙率男32.1%、女8.5%より高い。
健康日本21(第二次)では、成人喫煙率は12%へ、未成年者ではなくす、つまりゼロにすることを数値目標に掲げている。
2016年4月の診療報酬改定により、35歳未満の喫煙者は、数値が高いとがんの発生率が高いとされるブリンクマン指数(1日に吸うたばこの本数×喫煙年数)が200に満たなくても、保険診療として禁煙治療を受けられるようになった。
ことを契機に、若年者の禁煙指導が増えると予想され、これまで方向性が示されてこなかった若年者の禁煙治療に関する指針を示した。
心理的治療やカウンセリングが中心
同学会は、未成年者の禁煙治療に関する2件の報告について検討。禁煙治療の基本的な考え方を示す指針を作成した。
それによると、35歳未満の若年者では「若年者の特徴や注意点を念頭に置いた、心理的治療を含んだ対応が望ましい」。20歳未満の未成年者では「カウンセリングが基本」となる。
心理的な側面からの治療に関しては、若年者の特徴や注意点を念頭に置いた対応が望ましいとしている。
若年者が禁煙治療を受けるとき、周囲の大人に伴われたり、勧められたりして受診することがほとんどだ。本人の病識は乏しいこともあり、その場合には治療に対する誤解が起こりやすいとしている。
反抗的な態度などをとる未成年者への対応
禁煙治療において、治療者はとかく「喫煙するデメリット」「禁煙するメリット」に焦点を当てて説明しがちだが、若年者ではこれらを実感することが難しい。
そのため、「動機づけ面接法」や「認知行動療法」を駆使し、面談の時に受診者とともに治療目標を立てることが重要だという。
また、反抗的な態度などをとる未成年者では、その言動をいったん受け止めた上で、前向きに治療を受けるよう促すことなどを求めている。
さらに、喫煙している家族がいると、若年者は禁煙しにくく、再喫煙しやすくなる。同伴者を含め周囲の大人の喫煙状態を聴取し、若年者と同時に禁煙治療を開始する動機づけを行う必要があるとしている。
薬物療法も推奨 「ニコチン置換療法」が基本
日本循環器学会などが作成した「禁煙治療のための標準手順書」にそって、カウンセリングだけでは治療が難しい未成年者には、薬物療法も推奨している。
ニコチンパッチなど喫煙以外の方法でニコチンを摂取し、徐々にニコチン依存を改善する「ニコチン置換療法」(NRT)が望ましいとしている。
ただし、禁煙補助薬の「バレニクリン」に関しては、未成年者での臨床試験はなされていないことから、使用する際は「十分な注意を要する」と注意を促している。
同学会は、「未成年者においても、家族等の同意が得られ、かつ保険での禁煙治療基準を満たせば、薬物療法含め、保険治療が可能になった。将来の喫煙者を効果的に減少させるためにも、若年者や未成年者への対応は重要だ」とコメントしている。
日本禁煙学会若年者の禁煙治療指針(日本禁煙学会 日本禁煙学会雑誌 第11巻第6号)
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