ニュース
肺の生活習慣病「COPD」 運動と野菜の摂取でリスクを下げられる
2017年03月23日

喫煙者に多いことから「肺の生活習慣病」とも言われる「COPD」(慢性閉塞性肺疾患)は、運動をして、野菜を十分に食べることで予防・改善が可能だという研究が発表された。
COPDの国内患者数は500万人
息切れが出てきたら要注意
COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、主にたばこが原因で起きる肺の病気で、国内の患者数は約500万人と推定されている。「階段や坂道をあがったときに息切れを起こす」などが典型的な初期症状だ。
たばこの煙には、ニコチンやタール、PM2.5の粒子など、さまざまな有害物質が含まれている。吸い続けていると、気管支や肺胞に炎症が起き、炎症が進むと肺胞が壊れ、酸素が十分に取り込めなくなり、息苦しさが出てくる。
症状としては、咳が続く咳嗽(がいそう)や、痰を吐く喀痰(かくたん)、進行性の息切れなどが生じる。治療法として、気管支拡張剤に肺機能の部分的な改善があるが、重症化すると息切れのために在宅酸素療法が必要となる。
COPDは、日本人の死因の10位、世界ではがん、心疾患、脳血管障害、に次ぐ4位になっている。進行性の病気なので、早めの対策が必要だ。
息切れが出てきたら要注意
運動すればCOPDを予防・改善できる
大阪市立大学の研究グループは、運動をすることでCOPDを予防・改善できる可能性があるという研究結果を発表した。
運動により脂質異常症、2型糖尿病などの代謝性疾患の病状が改善することが知られており、最近の研究で、そのメカニズムのひとつに筋肉から分泌される「マイオカイン」の働きがあることが分かってきた。
筋肉から分泌されるホルモンは「マイオカイン」と総称されており、そのうち「アイリシン」には、白色脂肪に対して働きかけ、褐色細胞と同じようなカロリー燃焼効果をもたせてくれたり、褐色細胞を増やす作用があると考えられている。
ウォーキングなどの運動をするとアイリシンが増え、貯められている脂肪をエネルギーとして燃焼するのを促す。アイリシン運動による2型糖尿病や肥満の改善作用の一端を明らかにするものだ。
運動をすると筋肉から分泌されるホルモンが増加

野菜や果物をたくさん食べるとCOPDを予防できる

COPDの患者ほど運動し、野菜を食べることが必要
COPDを発症した患者は、運動をすると息切れが起こりやすいので、体を動かさないで家に閉じこもりがちになる傾向がある。
しかし、運動をしないと筋肉が減り、心肺機能がさらに低下して、ますます息切れが強くなってしまう。
ウォーキングなどを習慣化した場合は、筋肉が増えて骨も強くなり、心肺機能が向上して息切れも軽減するといった効果も得られる。
「COPDの危険性が高い」と指摘された人は、なるべくウォーキングを習慣化し、栄養バランスの良い食事を摂ることが必要だ。
大阪市立大学 医学研究科 呼吸器内科学Fruit and vegetable consumption and risk of COPD: a prospective cohort study of men(Thorax 2017年2月22日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2025 SOSHINSHA All Rights Reserved.


「健診・検診」に関するニュース
- 2025年06月02日
- 肺がん検診ガイドライン19年ぶり改訂 重喫煙者に年1回の低線量CTを推奨【国立がん研究センター】
- 2025年05月20日
-
【調査報告】国民健康保険の保健事業を見直すロジックモデルを構築
―特定健診・特定保健指導を起点にアウトカムを可視化 - 2025年05月16日
- 高齢者がスマホなどのデジタル技術を利用すると認知症予防に 高齢者がネットを使うと健診の受診率も改善
- 2025年05月16日
- 【高血圧の日】運輸業はとく高血圧や肥満が多い 健康増進を推進し検査値が改善 二次健診者数も減少
- 2025年05月12日
- メタボとロコモの深い関係を3万人超の健診データで解明 運動機能の低下は50代から進行 メタボとロコモの同時健診が必要
- 2025年05月01日
- ホルモン分泌は年齢とともに変化 バランスが乱れると不調や病気が 肥満を引き起こすホルモンも【ホルモンを健康にする10の方法】
- 2025年05月01日
- 【デジタル技術を活用した血圧管理】産業保健・地域保健・健診の保健指導などでの活用を期待 日本高血圧学会
- 2025年04月17日
- 【検討会報告】保健師の未来像を2類型で提示―厚労省、2040年の地域保健を見据え議論
- 2025年04月14日
- 女性の健康のための検査・検診 日本の女性は知識不足 半数超の女性が「学校教育は不十分」と実感 「子宮の日」に調査
- 2025年03月03日
- ウォーキングなどの運動で肥満や高血圧など19種類の慢性疾患のリスクを減少 わずか5分の運動で認知症も予防