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「がんを発症」子どもに伝えるべきか? 「伝えて良かった」が8割以上
2017年03月28日
働き盛り世代、子育て世代の親がんを発症したとき、7割が子どもに伝えており、8割以上が「伝えて良かった」と考えていることが、がん患者のコミュニティサイト「キャンサーペアレンツ」などの調査で明らかになった。
子どもに自身のがんをどう伝えるか
自分がんを発症したら、そのことを子どもに伝えるべきか? 子供に伝えたい理由は何か? 伝えた後で、子どもとの関係はどう変化するか?
働き盛り世代、子育て世代にとって、がんを発症したときの療養生活に加えて、「子どもへどう対応するか?」は大きな関心事だ。
がん患者のコミュニティサイト「キャンサーペアレンツ」とメディリードは共同で、がん患者のコミュニケーション実態調査を実施。全国34都道府県の30~64歳の男女133人から回答を得た。
「子どもに自身のがんを伝えること」に焦点を当てた調査では、約7割の人が「伝えた」と回答し、約8割が「伝えて良かったと思っている」と回答した。
「キャンサーペアレンツ」は、子供をもつがん患者が、同じ境遇の患者を探し、仲間になり交流することで、ピアサポート(仲間同士の支えあい)を提供する目的で活動している。
「キャンサーペアレンツ」は2016年4月に開設されたが、すでにがん患者を中心に500人以上が登録しており、東京や大阪などでワークショップを開催するほどの盛り上がりをみせている。
87%が「伝えて良かったと思う」と回答
今回の調査では、全体の約7割がご自身のがんについて子供に伝えており、伝えた人は「自分」(78%)がもっとも多く、次いで「配偶者・パートナー」が16%と続いた。
子どもに伝えた理由としては、「安心させたい」「がんについて受け止められる、理解できると考えたから」など子どもの状況に合わせたものや、「がんであることを隠すことができない、隠したくない」という自身の状況や思いを挙げたものが多かった。
子どもに自身のがんについて伝えた後の状況は、87%が「伝えて良かったと思う」と回答。また、その後の関係も「以前と比べて変化はない」が72%、「良い方向に変化した」が27%となっており、伝えることで子どもとの関係は悪くなることはほとんどないという結果になった。
伝えた後に子どもとの関係が「良い方向に変化した」と回答した人では、子どもが「家事などの手伝いを自発的に行うようになる」「思いやりを感じる」などの変化を示したという。
また「特に変化はない」と回答した人でも、「子どもにとって、がん=死ではないかもしれない」「ハグや手をつなぐようになった」「弱気になると励ましてくれる」など、親の状況をそれぞれの立場、状況で理解し、自発的に行動する、自立することが子どもの変化として生まれる傾向がみられたという。
近しい人とつながることに大きな意味が
「キャンサーペアレンツ」代表の西口洋平氏は「私がんの告知を受けた時、こどもにどのように伝えようか、そもそも伝えるべきなのか、とても悩みました。今回の結果を通じて、こどもにがんのことを「伝えないほうが良かった」という回答がゼロであったということは、驚きであり、まだ伝えられていない方には、勇気を与えるものになると考えています」とコメントしている。
「それぞれのがん患者さんが置かれている状況によって、どのようにすれば対応すればよいのかは、もちろん異なってきます。だからこそ、近しい境遇の方とつながることができるということには、大きな意味があると考えています」としている。
女性はがん情報に対して積極的
なお、今回の調査では「男性と女性の状況の差」についても調査している。それによると、自身がんについて伝えた相手は、自身のがんについて伝えた相手は、男性は女性に比べて「職場の上司・同僚」のウエイトが高く(男性93.8%、女性57.4%)、女性は男性に比べて「子供」のウエイトが高かった(男性59.4%、女性77.2%)。
また、がんに関する相談相手として、男性は女性に比べ「医師」のウエイトが高く(男性78.1%、女性55.4%)、女性は男性に比べて「がんを患っている方・仲間」(男性15.6%、女性45.5%)にも相談するウエイトが高かった。
「キャンサーペアレンツ」代表の西口洋平氏は「女性のほうが男性に比べて、積極的に情報を発信したり、取りに行ったりする傾向が強く、男性は内に抱え込むようなところが垣間見えます。かたや、職場に自身がんであることをほぼ告知していることについては驚きであったものの、その後の関係性や働き方などについては引き続き調査を進めていく必要があります」とコメントしている。
キャンサーペアレンツメディリード
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