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血液検査で仕事ストレスを判定 ストレスを早期に発見する指標を発見
2017年04月26日
岡山大学は、うつ病や循環器疾患の予防および仕事ストレスを早期に発見するために、仕事のストレスと関連のある血液マーカーを検討し、主に肝臓にあるタンパク質である「アルギナーゼI」が指標のひとつとなることを明らかにした。
仕事ストレスの客観的な指標が必要
近年、勤労者の過重労働などを原因にメンタルヘルスの不調が増加しており、2015年12月からはストレスチェック制度が義務化されるなど、企業の対応が求められている。勤労者の心理的な負担を的確に把握することが重要な課題となっている。
近年のIT開発などの産業構造の変化から勤労者のメンタルヘルスの不調は増加しており、社会的に問題となっている。
仕事ストレスの評価・調査方法としては、カラセックの「JCQモデル」(職業性ストレスの測定法として開発された質問紙)が広く用いられている。
「JCQモデル」は、仕事のストレスを仕事の要求量、仕事の裁量権、社会的支援によってはかり、どの程度ストレスに曝露されているかを判断するものだ。高い要求量、低い裁量権と社会的支援は、心理的負担や循環器疾患のリスクとなる。
これまで、仕事ストレスが高いほど循環器疾患のリスクが高まることはわかっていたが、根底にあるメカニズムについては分かっていなかった。また、リスクの評価として主観的な調査だけでなく、客観的な指標も必要となっていた。
仕事ストレスが高くなるとアルギナーゼIは低下
そこで、研究グループは、健康な378人の勤労者を対象に、JCQの仕事ストレス調査を行い、仕事ストレスと血管拡張性因子の一つである一酸化窒素やその関連パラメータを比較した。
その結果、女性勤労者において、仕事ストレスが高くなると血清「アルギナーゼI」は低下し、仕事のコントロール(裁量)や社会的サポートが高くなると血清の「アルギナーゼI」が高くなることが判明した。
また、うつ病や循環器疾患のリスクとなる仕事ストレスを評価するために、血清中の「アルギナーゼI」が指標のひとつになることも明らかにした。
「アルギナーゼI」は、主に肝臓において存在する可溶性タンパク質。血管拡張作用をもつ一酸化窒素と関係しており、血管内皮機能と関連がある。
仕事におけるストレスの評価方法として、「アルギナーゼI」が有用な指標のひとつになることが明らかにしたことは、職場ストレスを客観的に評価するための手段に開発につながると、同研究グループは述べている。
研究は、岡山大学院医歯薬学総合研究科(医)公衆衛生学の荻野景規教授、伊藤達男助教、長岡憲次郎助教の研究グループによるもので、米国のオンライン科学誌「PLOS ONE」に発表された。
岡山大学院医歯薬学総合研究科(医)公衆衛生学Association of arginase I or nitric oxide-related factors with job strain in healthy workers(PLOS ONE 2017年4月12日)
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