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「乳がん」リスクは食物繊維を多く摂ると低下 4万人超の女性を調査
2017年04月26日

食物繊維摂取量が非常に多いと乳がんリスクが低下することが、国立がん研究センターなどが実施している「JPHC研究」で明らかになった。45~74歳の4万4,000人超の女性を平均14年追跡して調査したはじめての大規模研究の成果だ。
乳がんの発症に食事やホルモンが深く関わっている
乳がんは、女性の罹患率が世界的に最も高いがんで、日本人でも乳がん罹患率は増加傾向にある。乳がんの発症には、食事やホルモン関連のメカニズムが深く関わっていることが知られている。
海藻類や豆類に多く含まれる水溶性食物繊維は、乳がんリスクに関わっているとされる「インスリン抵抗性」や「インスリン様成長因子1」を調整する効果があるとされている。
その一方で、穀類や野菜に多く含まれている不溶性食物繊維は、乳がんリスクに関わっているとされる女性ホルモンのひとつである「エストロゲン」の腸内吸収を抑制させる可能性があることも示唆されている。欧米の疫学研究でははっきりとした結果は得られておらず、日本では食物繊維摂取量に焦点を当てた先行研究はほとんど行われていない。
そこで今回の研究では、食物繊維摂取量と乳がんリスクとの関連について調査した。日本人での食物繊維摂取量とホルモン受容体別乳がん罹患との関連を検討した、はじめての大規模なコホート研究だ。
4万4,444人の女性を14年間調査
「JPHC研究」は日本人を対象に、さまざまな生活習慣と、がん・糖尿病・脳卒中・心筋梗塞などとの関係を明らかにする目的で実施されている多目的コホート研究。
今回の研究では、岩手、秋田、長野、沖縄、新潟、茨城、高知、長崎などの9保健所管内に在住していた45~74歳の女性約4万4,444人を2011年まで追跡して調査し、その結果にもとづいて、食物繊維摂取量と乳がんリスクとの関連を調べた。
追跡期間中に、681人が乳がんを発症した。研究チームは、5年後調査のアンケート結果にもとづいて総食物繊維摂取量、水溶性食物繊維量、不溶性食物繊維量、納豆および米の摂取量を4つのグループに分け、グループ間での乳がん罹患リスクを比較した。アンケート調査に含まれていた食品のうち、納豆は水溶性食物繊維、米は不溶性食物繊維を多く含む食品のため今回の分析に含めた。
食物繊維の摂取量が非常に多いと乳がんリスクが低下


Dietary fiber intake and risk of breast cancer defined by estrogen and progesterone receptor status: the Japan Public Health Center-based Prospective Study(Cancer Causes & Control 2017年3月23日)
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