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厚生労働省が平成28年の職場における熱中症死傷者発生状況を取りまとめ
2017年06月02日
厚生労働省は職場における熱中症予防対策として、9月末まで「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施しているが、このほど平成28年に発生した職場での熱中症による死傷災害の状況をまとめ、公表した。死傷者数は猛暑だった平成22年に656人を記録して以来、平成28年まで400人を下回った年はなく、より一層の対策が求められている。
取りまとめによると、職場での熱中症による死亡者数は平成28年は12人で、前年に比べて17人減少。しかし熱中症による死亡者に、4日以上休業した業務上疾病者を加えた死傷者数は462人で、依然、高い水準が続いている。
過去5年間の業種別死傷者数を比べると、建設業が最も多く平成28年も113人が該当した。このうち7人が死亡者で、全体の死亡者数の約6割を建設業で占めていることになる。次いで製造業、運送業の順に死傷者数が多い。
同様に過去5年間における月別の熱中症による死傷者数は全体の約9割が7、8月に発生。時間帯別では14時から16時台に多く発生しているが、日中の作業終了後、帰宅してから体調が悪化し、病院へ搬送されたケースもある。また死亡者のうち全体の5割が、「高温多湿作業場所」で作業を開始してから7日以内に災害が発生している。
平成28年に死亡した12人については、全事例において災害発生場所でWBGT値(暑さ指数)の測定が行われていなかった。また9人が計画的な熱への順化期間設定がなく、8人が事業者による水分や塩分の準備がなされていない状態で働いていた。中には熱中症発症に影響を与えるおそれのある疾患を有していながら、職場で健康診断が実施されていなかったケースもある。
このため厚生労働省では平成29年から新たに、職場における熱中症予防対策を推進するため「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を5月1日から9月30日まで実施している。WBGT値の活用や作業環境の管理を徹底するよう呼び掛けており、ホームページには分かりやすく対策をまとめたリーフレットも掲載している。
報道発表:平成28年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確報)を公表します(厚生労働省)
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