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子ども虐待死亡事例検証結果を公表 ~児童相談所の対応件数は過去最高
2017年08月30日
厚生労働省はこのほど、子ども虐待による死亡事例等の検証結果などについて、第13次報告を公表。あわせて公表された平成28年度における児童相談所での児童虐待相談対応件数は122,578件(速報値)で、過去最多だった。
この報告は、平成16年10月、社会保障審議会児童部会の下に設置された「児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会」が行っているもので、今回が13次になる。同委員会は平成12年に制定された「児童虐待の防止等に関する法律」第4条第5項に基づき、子ども虐待による死亡事例の背景や要因などを分析、検証。問題点や課題を明らかにして、今後の改善策を講じるために設置されている。
「予期しない妊娠」や「妊婦健診未受診」で高い割合
今回の報告では平成27年4月1日から平成28年3月31日までの1年間を期間とし、死亡事例や重症事例の詳細などを調査。心中以外の虐待死事例は48例、52人にのぼり、子どもの年齢は例年同様、0歳が30人と最も多かった。さらにこのうち月齢0ヶ月児が13人と高い割合を占める。
実母の抱える問題としては、「予期しない妊娠/計画していない妊娠」が18人、「妊婦健診未受診」が17人と例年に比べて約10%増の高い割合が見られた。虐待は、身体的虐待が35人と全体の約7割を占めて最も多く、ネグレストは12人だった。
一方、心中による虐待死事例は24例で32人だった。
DVとの併存や産後うつ病、ステップファミリーへの対応などが課題
報告では検証事例のうち特徴的で、重大な死亡事例5例につき、都道府県や市町村、関係機関などを対象にヒアリング調査を実施している。その結果、各事例が抱える問題点として、
(1)DVと虐待が併存した場合の対応(2)特定妊婦への対応
(3)産後うつ病を抱える母親を心中等から守るための対応
(4)家庭におけるステップファミリー(再婚などにより夫婦いずれかと生物学的には親子関係のない子どもと共に生活する家族形態)への対応
(5)居所が変更した場合の情報共有
(6)措置解除の際の注意点 とあげ、それぞれに対応策をまとめている。
新たに疑義事例についても調査
また特集として、虐待による死亡と断定できないと報告のあった疑義事例についても報告している。これは社会保障審議会児童部会の新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会報告(提言)の指摘を受け、第13次報告から新たに、疑義事例についても調査対象にすることとしたため。
今回、都道府県などから報告のあった疑義事例のうち、虐待死として検証すべきと判断した事例は8例8人。疑義事例とされた理由は、死産の可能性が否定できないことや、死因が不明であることなどであったが、児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会では、生産であった可能性も否定できないこと、事故よりも養育能力の不足ととらえるべきこと、などを理由に検証すべき事例と指摘している。
増加している「面前DV」による心理的虐待
一方、平成28年度中に、全国210カ所の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は122,578件(速報値)で過去最多となった。
特に、心理的虐待に係る相談対応件数が前年比14,487件増の63,187件で、子どもの前で配偶者に対する暴力がある、いわゆる「面前DV」について警察からの通告が増加している。また、児童相談所全国共通ダイヤル(189)の広報や、国民全体の児童虐待に対する意識の高まりも増加要因として考えられている。相談経路は警察からが最も多く、次いで、近隣知人、家族、学校などの順になっている。
出典:平成28年度 児童相談所での児童虐待相談対応件数<速報値>
厚生労働省 報道発表「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第13次報告)及び児童相談所での児童虐待相談対応件数」
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