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世界糖尿病デー 糖尿病人口は4億人を突破 30年後には7億人に

糖尿病アトラス 第8版 2017
 国際糖尿病連合(IDF)は、11月14日の世界糖尿病デーに、世界の糖尿病に関する最新の調査をまとめた「糖尿病アトラス 第8版 2017」(Diabetes Atlas 2017)を発表した。
 世界の糖尿病人口は爆発的に増え続けており、2017年現在で糖尿病有病者数は4億2,500万人に上ることが判明した。
世界の糖尿病人口
2045年までに7億人に増加
 国際糖尿病連合(IDF)の発表によると、世界の糖尿病人口は爆発的に増え続けており、2017年現在で糖尿病有病者数は4億2,500万人に上り、2015年より1,000万人増えた。有効な対策を施さないと、2045年までに6億9,300万人に増加すると予測している。

 2017年の20~79歳の成人の糖尿病有病率は8.8%で、11人に1人が糖尿病有病者と推定されている。有病率は2045年までに9.9%(10人に1人)に上昇すると予測されている。

 糖尿病を発症する危険性の高い耐糖能異常(IGT)の数は2017年には3億5,200万人に上り、2045年には5億3,160万人に増加すると予測されている。
 20~64歳の働き盛りの世代の糖尿病人口は、2017年には3億2,650万人に上り、2045年には4億3,820人に増えるとみられている。糖尿病の治療と仕事の両立は、世界的な課題となっている。
日本を含む「西太平洋」は世界最大の糖尿病まん延地域
 「糖尿病アトラス」では、世界を7地域に区分し統計値を出している。日本が含まれる「西太平洋地域」は、世界でもっとも糖尿病人口の多い地域だ。

 西太平洋地域の糖尿病有病数は1億5,880万人(有病率 9.5%)で、2045年までに1億8,330万人に増加すると予測されている。全世界の37%がこの地域に集中しており、有病者の54.1%が糖尿病と診断されておらず、治療が行われていない。

 耐糖能異常(IGT)の割合は2017年には7.6%に上り、2045年には8.8%に上昇すると予測されている。
世界の糖尿病人口 4億2,500万人(2017年) 出典:「糖尿病アトラス 第8版 2017」(国際糖尿病連合、2017年)
日本の糖尿病医療費は世界第5位
 世界で糖尿病人口がもっとも多い国の順位は(1)中国(1億1,400万人)、(2)インド(7,300万人)、(3)米国(3,000万人)となり、上位3ヵ国だけで2億人を超えている。

 日本は2015年の調査では世界ランキングの9位だったが、2017年の調査では上位10位から外れた。日本は65歳以上の糖尿病人口が多く、ランキングでは2017年は世界第6位の430万人となっている。

 糖尿病関連の医療費は約83兆円(7,270億ドル)で、2015年から8%増加し、世界の主な国で全医療費の12%を占めている。糖尿病の医療費の負担は世界的に増大しているが、糖尿病を予防するために費やされる予算は不足している。

 糖尿病の医療費が多い国の順位は、(1)米国(39.5兆円)、(2)中国(12.5兆円)、(3)ドイツ(4.8兆円)、(4)インド(3.5兆円)、(5)日本(3.2兆円)となっている。
世界の2人に1人が糖尿病の診断を受けていない
 糖尿病を発症している可能性が高いにも関わらず、検査を受けて糖尿病と診断されていない人の数は全世界で2億1,200万人(49.9%)に上る。つまり世界の糖尿病有病者のおよそ半分は自分が糖尿病であることを知らない。

 適切な糖尿病の治療を続けていれば、脳卒中、失明、腎臓病、足病変といった合併症の多くは予防が可能だが、そのために早期診断・治療が必要となる。糖尿病は初期の段階では自覚症状の乏しい病気なので、1年に1回以上は糖尿病の検査を受ける必要がある。
毎年13万2,600人が1型糖尿病を発症
 糖尿病は大きく「1型糖尿病」「2型糖尿病」「妊娠糖尿病」に大きくタイプが分かれる。2型糖尿病がもっとも多く、先進国では87~91%を占めている。

 13万2,600人が毎年1型糖尿病と診断され、世界の小児・若年(0~19歳)の1型糖尿病患者数は110万6,500人に上る。

 「糖尿病アトラス 2017」の主な内容は次の通り――
・ 糖尿病が原因となり死亡する人の数は年間400万人。糖尿病と糖尿病合併症はほとんどの国で死亡原因の上位を占めている。
・ 糖尿病(1型糖尿病、2型糖尿病)とともに生きる患者に質の高い医療サービスを提供すると同時に、2型糖尿病の予防を促すための対策を優先して推し進める政策が世界規模で求められている。
・ 2型糖尿病は20~64歳の働き盛りの世代でも爆発的に増加している。
・ 糖尿病に対する「豊かな先進国に多い病気」というイメージは誤りだ。糖尿病有病者の4分の3は低・中所得の国に集中している。
糖尿病はコントロールできる病気
 11月14日の世界糖尿病デーに、「糖尿病はコントロールできる病気であり、適切な治療を続けていれば合併症を予防できる」と、国際糖尿病連合(IDF)は呼びかけている。

 「糖尿病は、患者にとって破壊的に苦しみを引き起こし、家族を貧困に追いやります」とIDFの糖尿病アトラス制作委員会のナム チョ委員長は言う。

 「糖尿病の世界的な脅威を軽減し、糖尿病のアウトカムを改善するために、多くの異なる分野に携わる専門家が連携し、横断的に協力し合い、対策していくことが必要です。未来の世代を危険にさらさないために、2型糖尿病を予防し、すべてのタイプの糖尿病のコントロールを改善する対策が今必要とされているのです」。

 世界保健機関(WHO)は、不健康な食事や運動不足、喫煙、過度の飲酒などの原因が共通しており、生活習慣の改善により予防可能な疾患をまとめて「非感染性疾患(NCD)」と位置付けている。

 2013年にジュネーブで開催された第66回WHO総会では、NCDの予防と管理のための新たな行動計画(2013~2020年)が、満場一致で採択された。

 具体的な目標として、「NCDによる早期の死亡の減少」「運動不足の解消」「有害な喫煙や飲酒の抑制」「必要な医薬品を入手できるように社会整備を進める」などが掲げられている。

 世界糖尿病デーのキャンペーンは毎年11月14日に、国際糖尿病連合(IDF)と加盟組織が主導し、170ヵ国以上の230以上の関連団体により執り行われている。

 世界糖尿病デーは、糖尿病の脅威が世界的に拡大しているのを受け、1991年に国際糖尿病連合と世界保健機関(WHO)により制定された。世界糖尿病デーは2007年に国連決議で採択され、正式な国連デーとなった。

IDF糖尿病アトラス(Diabetes Atlas)
世界糖尿病連合(IDF)
New IDF figures show continued increase in diabetes across the globe, reiterating the need for urgent action(世界糖尿病連合 2017年11月14日)
[Terahata]
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