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長野市が「ベジライフ宣言」で糖尿病対策 野菜から食べ30回噛む
2017年12月07日

糖尿病有病者と予備群が増え続けている長野市は、食事は野菜から食べはじめ、毎食握りこぶし2つ分の野菜を摂るなど、糖尿病などの予防・改善をはかる「ながのベジライフ宣言」を発表した。
野菜を市民の健康に役立てるプロジェクト
「ベジライフ宣言」の内容は、(1)食事のはじめは野菜から食べる(サキベジ)、(2)毎食握りこぶし2つ分の野菜を目安に、野菜を多く使った栄養バランスのとれた食事、(3)1口あたり30回よく噛んで味わい、食後に30分後に意識して体を動かす――の3項目。覚えやすいように「ハッピーかみんぐ1・2・30」という合言葉も作成した。
長野県は、セロリ、レタス、エノキタケ、シメジ、リンゴ、ズッキーニ、エリンギなどで収穫量が全国トップになっており、多くの野菜の収穫量が全国で上位になっている。豊富な野菜を市民の健康に役立ててもらおうという考えだ。
野菜から食べ始め、よく噛むことで食後の血糖値の上昇が緩やかになり、2型糖尿病や肥満の予防・改善につながる。市は今後、企業や自治会、学校などへの出前講座を通じて周知をはかる。
糖尿病対策は社会保障を安定化するために必要
長野市によると、2013年の市民の健康寿命は男性が80.16歳、女性が84.86歳。全国のそれぞれ78.72歳、83.37歳よりも長い。
一方で、糖尿病の可能性を否定できない人の割合は50歳代で13.3%、60歳代で20.7%、70歳以上で21.8%、全国のそれぞれ9.8%、15.8%、19.0%よりも高い。
糖尿病リスクの高い糖尿病予備群の割合も、50歳代で41.1%、60歳代で43.2%、70歳以上で41.5%、全国のそれぞれ38.5%、37.8%、39.5%よりも高い。
特定健診でも、過去1~2ヵ月の血糖の状態を反映するHbA1cが5.6%以上の人は、全体の6割を占めるという。
市保健所健康課では、「長野市民の健康寿命は全国よりも長いが、糖尿病有病者と予備群は多い傾向がある。糖尿病のある人は合併症の発症を予防していただき、予備群には糖尿病の発症を防ぐことが大切。社会保障を安定化するために、糖尿病対策には優先して取り組む必要がある」と話している。
2016年の市内の人工透析患者は5年前より30人多い251人。そのうち糖尿病患者は129人で半数近くを占め、5年間で28人増えている。人工透析には高額の医療費がかかり、市の財政を圧迫している。
子供の頃からの生活習慣の重要性を啓発
「ながの健やかプラン21」では「糖尿病腎症による新規透析導入患者数の減少」「治療継続者の割合の増加」「血糖コントロールが不良な人を減らす」などの目標を掲げている。
特に力を入れるのは、子供の頃から食習慣や運動習慣などの重要性について普及啓発を行い、実践するための動機付けを強化することだという。成人対象には、特定健診と特定保健指導の実施率の向上をはかる。
「多くの皆さんに宣言の趣旨が浸透するよう啓発活動に力を入れるなど、市民の健康保持・増進に向けた、さまざまな事業を積極的に展開していきたい」と、加藤久雄・長野市長は述べている。

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