ニュース

長野市が「ベジライフ宣言」で糖尿病対策 野菜から食べ30回噛む

 糖尿病有病者と予備群が増え続けている長野市は、食事は野菜から食べはじめ、毎食握りこぶし2つ分の野菜を摂るなど、糖尿病などの予防・改善をはかる「ながのベジライフ宣言」を発表した。
野菜を市民の健康に役立てるプロジェクト
 「ベジライフ宣言」の内容は、(1)食事のはじめは野菜から食べる(サキベジ)、(2)毎食握りこぶし2つ分の野菜を目安に、野菜を多く使った栄養バランスのとれた食事、(3)1口あたり30回よく噛んで味わい、食後に30分後に意識して体を動かす――の3項目。覚えやすいように「ハッピーかみんぐ1・2・30」という合言葉も作成した。

 長野県は、セロリ、レタス、エノキタケ、シメジ、リンゴ、ズッキーニ、エリンギなどで収穫量が全国トップになっており、多くの野菜の収穫量が全国で上位になっている。豊富な野菜を市民の健康に役立ててもらおうという考えだ。

 野菜から食べ始め、よく噛むことで食後の血糖値の上昇が緩やかになり、2型糖尿病や肥満の予防・改善につながる。市は今後、企業や自治会、学校などへの出前講座を通じて周知をはかる。

糖尿病対策は社会保障を安定化するために必要
 長野市によると、2013年の市民の健康寿命は男性が80.16歳、女性が84.86歳。全国のそれぞれ78.72歳、83.37歳よりも長い。

 一方で、糖尿病の可能性を否定できない人の割合は50歳代で13.3%、60歳代で20.7%、70歳以上で21.8%、全国のそれぞれ9.8%、15.8%、19.0%よりも高い。

 糖尿病リスクの高い糖尿病予備群の割合も、50歳代で41.1%、60歳代で43.2%、70歳以上で41.5%、全国のそれぞれ38.5%、37.8%、39.5%よりも高い。

 特定健診でも、過去1~2ヵ月の血糖の状態を反映するHbA1cが5.6%以上の人は、全体の6割を占めるという。

 市保健所健康課では、「長野市民の健康寿命は全国よりも長いが、糖尿病有病者と予備群は多い傾向がある。糖尿病のある人は合併症の発症を予防していただき、予備群には糖尿病の発症を防ぐことが大切。社会保障を安定化するために、糖尿病対策には優先して取り組む必要がある」と話している。

 2016年の市内の人工透析患者は5年前より30人多い251人。そのうち糖尿病患者は129人で半数近くを占め、5年間で28人増えている。人工透析には高額の医療費がかかり、市の財政を圧迫している。
子供の頃からの生活習慣の重要性を啓発
 「ながの健やかプラン21」では「糖尿病腎症による新規透析導入患者数の減少」「治療継続者の割合の増加」「血糖コントロールが不良な人を減らす」などの目標を掲げている。

 特に力を入れるのは、子供の頃から食習慣や運動習慣などの重要性について普及啓発を行い、実践するための動機付けを強化することだという。成人対象には、特定健診と特定保健指導の実施率の向上をはかる。

 「多くの皆さんに宣言の趣旨が浸透するよう啓発活動に力を入れるなど、市民の健康保持・増進に向けた、さまざまな事業を積極的に展開していきたい」と、加藤久雄・長野市長は述べている。
ながのベジライフ宣言(長野市)
[Terahata]
side_メルマガバナー

「地域保健」に関するニュース

2025年08月21日
令和7年(1月~7月)の自殺者は11,143人 前年同期比で約10%減少(厚生労働省)
2025年08月21日
歯の本数が働き世代の栄養摂取に影響 広島大学が新知見を報告
2025年08月13日
小規模事業場と地域を支える保健師の役割―地域と職域のはざまをつなぐ支援活動の最前線―
【日本看護協会「産業保健に関わる保健師等の活動実態調査」】〈後編〉
2025年08月07日
世代別・性別ごとの「総患者数」を比較-「令和5年(2023)の患者調査」の結果より(日本生活習慣病予防協会)
2025年08月06日
産業保健師の実態と課題が明らかに―メンタルヘルス対応の最前線で奮闘も、非正規・単独配置など構造的課題も―
【日本看護協会「産業保健に関わる保健師等の活動実態調査」】〈前編〉
2025年07月28日
日本の「インターバル速歩」が世界で話題に 早歩きとゆっくり歩きを交互に メンタルヘルスも改善
2025年07月28日
肥満と糖尿病への積極的な対策を呼びかけ 中国の成人男性の半数が肥満・過体重 体重を減らしてリスク軽減
2025年07月28日
1日7000歩のウォーキングが肥満・がん・認知症・うつ病のリスクを大幅減少 完璧じゃなくて良い理由
2025年07月28日
【妊産婦を支援】妊娠時に頼れる人の数が産後うつを軽減 妊婦を支える社会環境とメンタルヘルスを調査
2025年07月22日
【大人の食育】企業や食品事業者などの取り組み事例を紹介 官民の連携・協働も必要 大人の食育プラットフォームを立ち上げ
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,800名)
登録者の内訳(職種)
  • 医 師 3%
  • 保健師 47%
  • 看護師 11%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 20%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶