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犬・猫からの感染症「コリネバクテリウム・ウルセランス」 死亡例も
2018年01月18日
犬や猫などから感染する人獣共通感染症「コリネバクテリウム・ウルセランス感染症」による死者が日本ではじめて確認されていたことが分かった。厚生労働省は自治体などに向けて通知を出し、情報提供を行っている。
猫から感染症 福岡の女性が死亡
コリネバクテリウム・ウルセランス感染症は、家畜やペットの動物が持つ「コリネバクテリウム・ウルセランス菌」に感染することで起きる。
のどの痛みやせき、くしゃみなど風邪に似た症状が出て、扁桃腺や喉などの気道に、灰白色がかった膜のようなものや、白っぽい膿(白苔)ができる。
人から人にうつることはまれだが、重症化すると気管支肺炎から呼吸困難を起こし、死亡することもある。予防接種の効果で日本ではほとんど患者がいない感染症「ジフテリア」に似ており、抗菌薬などで治療が可能だ。
厚労省によると、この感染症で死亡したのは福岡県の60代の女性で、平成28年5月に呼吸困難で救急搬送され、3日後に亡くなった。女性は屋外で3匹の猫に餌やりをしており、その際の接触から感染したとみられる。
国立感染症研究所によると、2001年から2017年11月末までに感染が確認されたのは死亡した女性を含め25人。北海道、東京、神奈川、香川、徳島などで患者が確認されている。犬や猫を飼っていたり、接触があったりする患者がほとんどだ。
国内では感染症法にもとづく届け出義務がない感染症のため、見逃されている可能性もある。厚労省は今月、日本医師会、日本獣医師会、自治体に対して情報提供を行い、「治療法は確立しているので、過度に反応することなく冷静に対処してほしい。発生があった場合は情報提供をしてほしい」と通知。
国民に対しても、「飼育している犬や猫に風邪に似た症状や皮膚炎などが出ている場合は、速やかに獣医師の診察を受け、動物と触れ合った後は手洗いするなどといった一般的な衛生管理をしてほしい」と注意を呼びかけている。
コリネバクテリウム・ウルセランス感染症について(厚生労働省)動物由来感染症(厚生労働省)
コリネバクテリウム・ウルセランスに関するQ&A
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