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いま知っておきたい「花粉症」対策 最新の治療で上手に乗り切ろう

 例年、春先に飛び始めるスギ花粉。花粉症の人にとっては、つらいシーズンだ。花粉症などのアレルギー疾患の治療に、国をあげて取り組む「10ヵ年戦略」も開始される。
花粉症患者は急増している
 花粉症は日本で約3,000万人が罹患するもっとも多いアレルギー疾患であり、今後も増加すると考えられている。

 体内に入った花粉(異物)を排除しようとして、身体が起こすアレルギー反応の一種が花粉症だ。主な症状は、「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」「目のかゆみ」などだが、「喘息」を併発することもある。

 花粉の飛散量が増えたことが、花粉症患者が急増している原因のひとつだが、近年は食生活の変化や腸内細菌の変化、大気汚染、喫煙、ストレスなどの影響も指摘されている。
症状が悪化する前に治療を開始
 ヒトの体では細菌や微生物などから体を守るために抗体という成分が作られている。花粉を体内に入り込むと、体は花粉を異物と認識して免疫機能が働きはじめて「IgE抗体」がつくられる。

 「IgE」は鼻や眼の粘膜にある肥満細胞と結合し、吸い込んだ花粉が粘膜に到達すると反応を起こす。その結果、肥満細胞からヒスタミンなどの炎症を引き起こす物質が放出され、これらの物質が鼻や目の粘膜を刺激してアレルギー反応を引き起こす。

 くしゃみ中枢が刺激されると「くしゃみ」が、分泌腺が刺激されると「鼻水」が、血管が刺激されると「鼻づまり」などの症状が出てくる。

 本来は排除する必要がない花粉に対して身体の防御機能が過剰に反応してしまい、逆に体の負担が生じてしまうのが花粉症だ。花粉症は自然に治ることはまれで、症状が悪化してしまうと治療を行ってもなかなか症状がおさまらないという特徴がある。
花粉症に伴う「副鼻腔炎」は慢性化しやすい 早めの治療を
 副鼻腔炎とは、鼻の奥にある空洞である副鼻腔に炎症ができた状態のこと。花粉をはじめ、風邪、カビなどが原因で起こる。

 のりのような粘り気のある鼻水が出るのが特徴で、においを感じる細胞がある場所の近くにある副鼻腔を中心に炎症が出るので、しばしば嗅覚障害を起こすこともある。

 予防するために、花粉を吸いこまないようにする、花粉を家の中に入れない、ストレスをためないよう健康的な身体づくりをするなど重要となる。花粉症対策は花粉症に伴う副鼻腔炎の予防にもつながる。

 ロート製薬が20~79歳の成人を対象に実施した調査によると、花粉症の症状が出ているとき副鼻腔炎の症状があった成人は45.%で、うち「病院で診断を受けていないが症状がある」という人が25%に上った。

 調査を監修した末廣豊・大阪府済生会中津病院小児科免疫・アレルギーセンター大阪乳児院院長は、「ファーストフードの普及など食生活の変化により、果糖や脂質の摂取が増加しています。このような食生活では、組織障害などにより放出される起炎因子であるアラーミンが発生しやすくなり、これを排除しようとしてアレルギー反応が起こります。大人の場合は副鼻腔炎が自覚しづらく慢性化してしまうことが多いので、1~2か月と長引く場合は、きちんと医師の診断を受けて適切な治療をすることが必要です」とアドバイスしている。
花粉症の治療の基本を知って乗り切ろう
 花粉症を治療するために、日常生活で浴びる花粉の量をなるべく少なくする工夫が大切となる。

 「マスクは隙間から花粉が侵入してこないよう、顔にフィットするものをつける」「帰宅したらうがい・手洗い・洗顔を行う」「花粉対策用眼鏡、帽子、マスクを着用する」「衣服はツルツルした素材を選び、帰宅時外で衣服などをはたく」などの対策を行うと効果がある。

 薬物療法では、少しでも症状が出たらすぐに治療を始める初期療法が有効だ。

 薬には、くしゃみ、鼻水に効果がある「抗ヒスタミン薬」(内服薬)、ヒスタミンなどが放出(遊離)されるのを抑制する「遊離抑制薬」(点眼薬・点鼻薬)、鼻づまりに効果がある「抗ロイコトリエン薬」(内服薬)のほか、「血管収縮薬」(点鼻薬)や「鼻噴霧用ステロイド薬」などがある。薬物治療では、最近は眠気などの副作用の少ないものが出てきている。

 手術には鼻閉を改善する手術、鼻汁を減らす手術、レーザーを用いてアレルギー反応を起こす粘膜を減らす手術がある。また最近では免疫療法も根本的な治療法として注目されている。
アレルギー疾患が急増 厚労省が10ヵ年戦略を開始
 花粉症などのアレルギー疾患は急増しており、いまや国民の2人に1人が罹病している。

 患者数が多く、日常生活に大きな支障を及ぼすにもかかわらず、日本のアレルギー疾患に対する取り組みは遅れている。専門的な知識や技術のある医師が偏在しており、地域間で医療提供体制に差があり、患者が適切な治療が受けられず、重症化する例が多いことが問題になっている。

 そこで厚生労働省は、アレルギー疾患の疫学研究や治療開発、臨床研究を長期的に推進するため、「アレルギー疾患研究10ヵ年戦略」(仮称)をまとめる方針を、2018年1月に「アレルギー疾患対策推進協議会」で示した。

 10ヵ年戦略の策定に、日本アレルギー学会、日本皮膚科学会、日本耳鼻咽喉科学会、日本呼吸器学会、日本眼科学会、日本免疫学会などの関連学会が連携して協力する。

 アレルギー疾患のある人は、長期にわたり生活の質が低下し、社会的、経済的にも影響を受ける。発症、重症化要因の解明、治療の有効性の評価や薬剤の長期投与の効果や副作用などを、明らかにしていく方針だ。
患者の相談支援にあたる体制を地域ごとに充実
 政府のアレルギー疾患対策基本指針には、▽アレルギー疾患の診療内容の均てん化、▽アレルギーに配慮した福祉や教育の実現に向けた対策、▽臨床研究の長期的・戦略的な推進に取り組むことなどが明記され、国が中長期的な戦略の策定について検討を行うことが定められた。この指針は「アレルギー疾患対策基本法」にもとづき策定されたものだ。

 2017年には「アレルギー疾患医療提供体制の在り方に関する検討会」が指針を受けて報告書をまとめた。どの地域でもアレルギー疾患に対する適切な医療や相談を受けられる体制を整備することを目的としている。

 報告書では、アレルギー疾患をもつ人が適切な診療を受けられるよう、科学的根拠にもとづいた医療提供体制を整備すべきだとしている。地域ごとに専門的な治療を行う拠点病院を整備し、患者の相談支援にあたる体制を充実させることなどを盛り込んだ。

 具体的には、各都道府県が、1~2ヵ所選定する都道府県アレルギー疾患医療拠点病院が参加し、さらに都道府県拠点病院を中心に実施されるアレルギー疾患対策の企画・立案を行う「都道府県アレルギー疾患医療連絡協議会」を設置する。

 都道府県アレルギー疾患医療連絡協議会は、地域の診療所や一般病院との紹介や逆紹介、薬局・薬剤師との情報共有、研修会への積極的な参加などを呼びかけ、地域におけるアレルギー疾患の実情を継続的に把握していく。

 これにより、地域の一般病院や診療所で診療を行う医師らが拠点病院で研修を受けたり、患者を紹介・逆紹介できるようになり、全体の診療レベルを高められる。

 アレルギー疾患の病態や診断に必要な検査、薬剤の使用方法、適切な治療方法などについて、最新の知見にもとづいた正しい情報を提供するウェブサイトの整備も計画しているという。
一般の皆様へ(日本アレルギー学会)
第10回アレルギー疾患対策推進協議会(厚生労働省 平成30年1月22日)
アレルギー疾患医療提供体制の在り方について(厚生労働省 平成29年7月28日)
[Terahata]

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