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「健康日本21」(第二次)の中間評価(1) 6割超の項目が「改善」 メタボは減少

 厚生労働省は、「健康日本21(第二次)」の中間評価報告書の素案を「推進専門委員会」に提示した。全53項目の目標の達成状況では、6割超に当たる32項目を「改善している」と評価した。
60.4%が「改善している」と評価
 健康日本21(第二次)は、厚労省が推進する「21世紀における第2次国民健康づくり運動」のことで、2013年度から開始された。日本の医療費の3割を占める、がん、虚血性心疾患、脳血管疾患、2型糖尿病などの生活習慣病を抑制することが大きな目標だ。

 同省では、具体的な目標の全53項目について、目標設定後5年をめどに中間評価を行うとともに、10年をめどに最終評価をすることで、健康増進と医療費抑制の取り組みに反映させたい考えだ。

 素案では、全53項目のうち、32項目(60.4%)を「改善している」(a)とした一方、19項目(35.8%)を「変わらない」(b)、残りの2項目をそれぞれ「悪化している」(c)、「評価困難」(d)と評価した。
メタボリックシンドロームの改善 評価は「b」
 厚生労働省「特定健康診査・特定保健指導の実施状況」によると、メタボリックシンドロームの該当者および予備群者は、2008年に比べ2.74%減少している。しかし、高齢化の影響を受けて該当者数は増えており、2008年の推計値と比較して、2015年は約12万人増加と推計された。

 該当者の割合を都道府県別に比較すると、最大県(32.1%)と最小県(23.4%)の差は全体では8.7ポイントであり、都道府県格差がみられる。これらから、メタボリックシンドロームの該当者および予備群の減少については「b」と評価された。
特定健診の実施率は21%増 特定保健指導は42%増
 特定健康診査受診率は8.8ポイント(2010年より21%増)、特定保健指導は5.2ポイント(2010年より42%増)増加しているが、目標値には到達していない。

 一方、健診実施率を都道府県別にみると、最大(63.4%)と最小(39.3%)の差は24.1ポイントであったが、どの都道府県においても2008年度に比べ増加している。

 特定保健指導実施率では最大(30.4%)と最小(12.2%)の差は18.2ポイントであり、実施率には都道府県格差がみられるが、どの都道府県においても実施率の向上がみられる。以上のことから評価は「a」となった。
脳血管疾患と虚血性心疾患の死亡率が大幅減少
 75歳未満のがんの年齢調整死亡率(人口10万人当たり)については、2015年は78.0で、2010年のベースライン値84.3より減少していることから、「a」と評価した。

 また、がん検診の受診率は、2016年は胃がんが男性46.4%、女性35.6%、肺がんが男性51.0%、女性41.7%、乳がんが女性44.9%などで、2010年のベースライン値よりも改善が見られたとして「a」とした。

 脳血管疾患の年齢調整死亡率に関しては、2016年は予想された改善率を上回り、目標値を達成しているため「a」と評価した。脳血管疾患の年齢調整死亡率は、2010年には10万人当たり男性49.5人、女性26.9人だったが、2016年はそれぞれ36.2人、20.0人に改善した。

 虚血性心疾患の年齢調整死亡率も改善しており、目標値を達成しているため「a」とした。虚血性心疾患の年齢調整死亡率は、2010年には10万人当たり男性36.9人、女性15.3人だったが、2016年はそれぞれ30.2人、11.3人に改善した。
糖尿病腎症による透析導入はやや減少
 糖尿病については、糖尿病腎症による年間新規透析導入患者数は、2011年の1万6,803人をピークにやや減少し、横ばい傾向がみられることから「b」とした。2016年は透析導入全体の43.2%を占めており、透析全体に占める割合も横ばいとなっている。

 糖尿病の治療継続者の割合は、「糖尿病を指摘されたことがある者における、治療の状況」をもみると、2010年とほぼ同等であり、目標値に向けて改善していないので、評価は「b」。

 血糖コントロールの「不良」の減少については、特定健診でHbA1c検査実施者のうち8.4%以上であったのは0.96%(男性1.34%、女性0.52%)で、目標の1.0%以下となったことから、評価は「a」となった。

第11回健康日本21(第二次)推進専門委員会(厚生労働省 2018年3月9日)
[Terahata]

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