ニュース
ご存知ですか?「紫外線」 紫外線に打ち勝つ4つの方法
2018年04月11日
日差しの強い夏の訪れに合わせて、紫外線の浴びすぎによる健康への影響についての関心が高まっている。紫外線の浴びすぎは、日焼け、シワ、シミなどの原因となる。
紫外線には良い影響もある。紫外線と上手に付き合う方法をご紹介する。
紫外線には良い影響もある。紫外線と上手に付き合う方法をご紹介する。
体への影響力の強い紫外線
太陽からはさまざまな波長の光が放出されている。このうち、地上に達する290nm~400nmの波長域が紫外線で、波長域が290nm~320nmの紫外線が「UVB」、320nm~400nmの紫外線が「UVA」と呼ばれている。
波長が短いほど体に対する影響が強いが、波長が長いほど皮膚の深くに入りこむという性質もある。
ビタミンD生成のために紫外線が必要
紫外線をある程度浴びることは、健康を維持するために必要であることにも注意する必要がある。紫外線を浴びることで、体内でビタミンDが生成されるからだ。
ビタミンDには、食物からのカルシウム吸収を促し、血液中のカルシウム濃度を一定の濃度に保つ働きがあり、骨格を健康に維持するのに役立つ。骨量を保ち、骨粗鬆症を防ぐためにビタミンDは必須だ。
最近の研究ではビタミンDには、肝臓がん、肺がん、乳がん、前立腺がんなど、さまざまながんに対する予防効果があることもわかってきた。
厚生労働省の調査によると、食品からとるビタミンDの必要量の目安は5.5µg程度。それに対して、1日に必要なビタミンDの量は15µg以上とされている。足りない10µgのビタミンDは、太陽光線を浴びて体内で生成する必要がある。
紫外線の量は季節や場所、時間帯によって変動し、皮膚のタイプによっても変わるが、1日に必要な日光照射時間は、夏であれば15~30分程度だ。
ビタミンDの不足を防ぐ工夫
紫外線に対策するために必要なこと
紫外線の浴び過ぎにも注意が必要だ。紫外線を浴び過ぎると、皮膚を乾燥させてシワやシミの原因になるだけでなく、細胞のDNAに傷をつけることがある。
細胞にはそれを修復する機能があるが、繰り返し傷つけられていると、遺伝子の突然変異が起こりやすくなる。その部分がんの発生に関わる遺伝子であると、皮膚がんが起こりやすくなる。
紫外線に対策するために必要なのは「紫外線の強さを意識する」こと。紫外線が強くなるのは5月から8月にかけてだ。また、緯度が低いほど紫外線量は多くなる。紫外線の多い日にはいっそう気をつけるようにしたい。
国立環境研究所地球環境研究センターのサイトでは、「特に皮膚が炎症を起こす最少の時間を示し、それ以上の日光照射は避けたほうが良い」という目安が公開されている。
皮膚のタイプで紫外線の影響は異なる
紫外線の影響は、皮膚のタイプによっても異なる。そのため「自分の肌タイプを知ること」も紫外線対策のひとつとなる。皮膚のタイプはメラニンの色素の量によって決められる。
紫外線を浴びるとすぐに赤くなるが、その後、あまり肌に色がつかないのはスキンタイプII型で、紫外線をブロックする「メラニン色素の量が少ないタイプ」だ。適度に赤くなり、皮膚の色が徐々に黒くなるのはスキンタイプIII型。比較的色の濃い人はスキンタイプIV型。日本人にはIII型が多い。
紫外線を浴びるとすぐに赤くなる人は注意が必要だ。一時に大量の紫外線を浴びると日焼け(サンバーン)を起こしてしまう。また、少量でも長年にわたって浴び続ければ皮膚の老化が起こりやすくなる。
紫外線に打ち勝つ4つの方法
日焼けしてからローションなどで肌の手入れをすると、ひりひりとした日焼けの痛みを抑えるなどの効果を得られる。
しかし、皮膚の老化を防ぐなどの長期的な予防効果は少ない。長期的な健康への悪影響予防のためには、紫外線の浴びすぎを防止することが重要だ。
紫外線の影響は、地域や個人によって異なるが、紫外線の影響が強いと考えられる場合には、状況に応じて、次のような対策を行うことが効果的だ。
1. 不必要な日光浴を避ける
太陽の下、屋外でウォーキングなどの運動を楽しむのは、心身のリフレッシュにとても有意義だが、小麦色の肌を求めて海岸で身体を焼くというような、不必要な日光浴は避けた方が良い。
2. 日陰を利用する
外出したときなどには、日陰を利用するのも良い。しかし、紫外線は太陽からの直接のものだけではなく、空気中で散乱したものや、地面や建物から反射したものもある。直接日光のあたらない日陰であっても紫外線を浴びていることは忘れないようにしたい。
3. 日傘を使う、帽子をかぶる
日傘、広いつばが全周にある帽子、長袖、長ズボンなどにより、皮膚に到達する紫外線を減らすことができる。ただし、日傘や帽子も、太陽からの直接の紫外線は防げるが、大気中で散乱している紫外線まで防ぐことはできない。
4. 日焼け止めを上手に使う
顔などを衣類などで覆うことのできなければ、日焼け止めを使うのが効果的だ。日焼け止めはPA分類とSPF値の表示がある。PAは主としてUVAを防ぐ指標で、SPFは主としてUVBを防ぐ指標となる。PAとSPFを紫外線量やシーンに応じて使い分けよう。
以前は塗ると白くなる製品が多かったが、最近では改良が進み、使いやすいものが増えている。
日焼け止めはしっかり・たっぷり・まんべんなく塗ることが大事だ。また早めの塗り直しもしよう。 紫外線情報分布図(気象庁)
ビタミンD生成・紅斑紫外線量情報(地球環境研究センター)
有害紫外線モリタリングネットワーク(国立環境研究所)
皮膚科Q&A(日本皮膚科学会)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2024 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「地域保健」に関するニュース
- 2024年04月30日
- タバコは歯を失う原因に 認知症リスクも上昇 禁煙すれば歯を守れて認知症も予防できる可能性が
- 2024年04月25日
-
厚労省「地域・職域連携ポータルサイト」を開設
人生100年時代を迎え、保健事業の継続性は不可欠 - 2024年04月23日
- 生鮮食料品店が近くにある高齢者は介護費用が低くなる 自然に健康になれる環境づくりが大切
- 2024年04月22日
- 運動が心血管疾患リスクを23%低下 ストレス耐性も高められる 毎日11分間のウォーキングでも効果が
- 2024年04月22日
- 職場や家庭で怒りを爆発させても得はない 怒りを効果的に抑える2つの方法 「アンガーマネジメント」のすすめ
- 2024年04月22日
- 【更年期障害の最新情報】更年期は健康な老化の入り口 必要な治療を受けられることが望ましい
- 2024年04月22日
- 【肺がん】進行した人は「健診やがん検診を受けていれば良かった」と後悔 早期発見できた人は生存率が高い
- 2024年04月18日
- 人口10万人あたりの「常勤保健師の配置状況」最多は島根県 「令和4年度地域保健・健康増進事業の報告」より
- 2024年04月18日
- 健康診査の受診者数が回復 前年比で約4,200人増加 「地域保健・健康増進事業の報告」より
- 2024年04月16日
- 塩分のとりすぎが高血圧や肥満の原因に 代替塩を使うと高血圧リスクは40%減少 日本人の減塩は優先課題