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保健指導リソースガイド「よろず相談センター」からのご報告(2)

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 保健指導リソースガイド「よろず相談センター」は、保健指導・予防医学の分野に従事する方々や、健康づくりに関する団体様等からのお問い合わせにお応えするために2018年10月に開設されました。おかげさまで半年が過ぎましたので、前半と後半の2回に分けてご報告いたします。
 前半では、お問い合わせくださった皆様の属性についてご紹介しました。後半となる本記事では、ご質問の内容を大きく3つに分けてご紹介します。

皆様から多くいただいたご質問

 1つめは、調べ物をしたいけれど情報がどこにあるのかわからないというご相談。2つめは保健師に多かったのですが、保健師活動を進める場合の自らの立ち位置や、産業医を始めとした周囲との協力・連携をどのように取ればよいのかといったご相談です。

 3つめは、保健指導の分野に入り始めたものの何から始めたらよいか分からず困惑しているというご相談です。これらをもう少し詳しくご紹介していきます。
正しい情報を見つける訓練をする
 まずは情報収集の方法についてです。インターネットで検索するとすぐに出てくるサイトには、必ずしも信頼できるものだけが挙がってくるとは限りません。

 関連法令や疾病対策、保健指導の方法、政策等に関する情報の多くは、ご関係者の方々には申し訳ないのですが、ホームページ上ではとても分かりにくい場所に保管されていたり、検索の上位には挙がっていないことが多いです。

 事業や計画を進める際には、出来る限り管轄する省庁や公的機関のホームページにある該当事業、法令・通達等の原文を確認する習慣をつけると共に、法令等を探しやすくまとめている保健指導リソースガイドの「関連資料・リリース」をご覧いただくことをおすすめします。

 当相談センターが初回はメールによるご質問を受けていることもあり、これらの情報に関する回答は比較的メールでの返信がしやすかったように感じます。

連携のために、必要な資料を目に見える形で作る
 次に、保健師活動の連携方法についてです。ご質問の多くは、産業保健活動についてでした。ご質問される方の経験年数や置かれた環境により状況は異なりますが、特に一人職場の場合はお困りのことが多いと分かりました。

 保健師や管理栄養士の皆様は、大学等での基礎教育において組織を学ぶ時間が無いか、あるいは少なかったことをご記憶されていますでしょうか。医療や栄養などの技術は学ぶことができても、組織の中での立ち位置や事業の進め方については、圧倒的に勉強の時間が少なかったのが事実です。

 会社にとって良いことだからと保健事業を進めようとすると、周囲からの理解や協力が得られずに孤立するといったことがよくあるようです。なぜなら、会社が望むことが必ずしも私たちが取り組みたい保健事業と一致するわけではないからです。

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 組織の中で事業を進めたいときには、まず情報と根拠となるデータを収集して、企画書(計画書)案を作成し、上司の意見を聞くといったところから始めてはいかがでしょうか。

 企画書のない事業はあり得ないのですが、「会社に言っても聞いてもらえない」といったお悩みがあることを踏まえると、目に見える物(文章)を作成することは大事なことだと改めて皆様と共有したいと思います。

 関連して、近頃開催されている研修会では以前より「事例検討会」が多くみられるようになったのは、多職種連携が進んできたためでしょうか。あるいは、一人職場の方々が外での勉強会に出てくるようになったためでしょうか。

 自分の課題を事例にまとめ、誰かと共有し、目指す方向を客観的に導くことの出来る事例検討会への参加は、皆様のお役に立つと思います。積極的にこうした機会を活用してください。

産業保健総合支援センターなど、地域を活用する
 最後は、「何から始めたらよいか分からず困惑している」といった場合です。本当にお困りのことと思うと回答にも迷いが出てきます。中には面談にてお話することもありました。

 面談では、いま出来ていることは何か、これから進める必要があるものは何か、進め方は分かるのか等、ご相談者の状況に合わせて実現可能な計画を立てるお手伝いをします。近場でしたらこうしたことも可能ですが、全国からお問い合わせをいただいておりますと、気軽に面談のお誘いもできないのも事実です。

 こうした場合は、都道府県の産業保健総合支援センターの活用をおすすめしています。ご関係の方々には出来る限り、迷っている方を適切にお導きいただきたいものと切に思うところであります。また、県によっては県立大学等が地域貢献の一つとして研修会や相談対応をされていますので、お問い合わせをおすすめする場合もあります。

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 「よろず相談センター」では今、皆様からのご相談を通じ、今後どのようなサービスをご提供出来るのか、検討を重ねております。ひとつには当相談センターを継続し、一人でも多くの方のお悩み・孤立が回避できたらよいと考えております。

 また、保健指導に携わる多くの方々の知識や技術の向上に向けて、何らかの形でお顔が見られる交流をしたいとも検討しています。今後とも、当相談センターへのご支援、ご活用をよろしくお願いいたします。

保健指導リソースガイド「よろず相談センター」
相談員代表 亀ヶ谷律子

[保健指導リソースガイド編集部]
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