ニュース
「超加工食品」が肥満や糖尿病の原因に 10%増えると糖尿病リスクは15%上昇 もっと自然な食品を
2020年01月07日

「超加工食品」を食べ過ぎると、2型糖尿病や肥満のリスクが上昇することが、10万人以上を対象とした調査研究で明らかになった。
「超加工食品」の摂取量が10%増えると糖尿病リスクは15%上昇するという。
「超加工食品」の摂取量が10%増えると糖尿病リスクは15%上昇するという。
「超加工食品」の影響は想像以上
コンビニやスーパーで売られている調理済みの加工食品よりも、野菜や穀類、肉、魚など自然の素材を自宅で調理して食べた方が体に良さそうだと、多くの人が思っている。
しかし、加工食品の悪影響は考えられている以上に大きいことが、フランスの研究で明らかになった。「超加工食品」を多く食べる人は、自然の食材を使った食品を食べている人に比べ、糖尿病を発症するリスクが高いという。
関連情報
超加工食品は身のまわりにあふれている
「超加工食品」(Ultra-Processed Foods)とは聞きなれない言葉だが、実は私たちの身のまわりにあふれている食品だ。
米国糖尿病学会(ADA)によると、超加工食品とは「糖分や脂肪、塩分を多く含む加工済みの食品。硬化油、添加糖、香味料、乳化剤、保存料など添加物を加え、工業的な過程を経て作られる、常温で保存できたり、日持ちを良くしてある食品」のことだ。
果糖や人工油脂などをたっぷり使った菓子パンなどが「超加工食品」だ。
他にも、▼スナック菓子、▼菓子パン・総菜パン、▼カップ麺、▼ピザ・ホットドック、▼ケーキ・クッキー・パイ、▼ドーナツ・マフィン、▼ミートボール・チキンナゲット、▼アイスクリーム、▼ミルクシェイク・カスタード、▼高カロリーの清涼飲料などがある。
こうした食品を毎日食べ過ぎていると、肥満、2型糖尿病、高血圧、脂質異常症、心臓病、がんなど、さまざまな健康障害が起こることを示した研究が増えている。
自然に近い食品は低カロリー
Fotolia_245251968_Subscription_Monthly_M
「超加工食品」の多くは、糖質、脂肪、塩分が多く含まれ、カロリーも高い。他の必要な栄養素であるビタミンやミネラル、食物繊維などはあまり含まれていない。
糖尿病のリスクを減らすために勧められるのは、ヨーグルト、野菜、全粒穀物、ナッツ類などの加工度の少ない、より自然に近い食品だという。
「自然に近い食品は、糖質・脂肪・塩分が少なく、低カロリーであることが多いのです。糖尿病のリスクを下げたいのであれば、脂肪の多い加工肉や、高カロリーの清涼飲料なども減らすことをお勧めします」と、フランスのパリ13大学のベルナー スロウ氏は言う。
超加工食品が100g増えるごとに糖尿病リスクは5%上昇

超加工食品を見分ける方法
フランス政府は、2021年までに超加工食品の消費量を20%削減することを目標としている。
超加工食品は一般的に、大規模な食品販売や商業的なプロモーションが投入されており、大量生産ができ、利便性やアクセシビリティが高い。低価格、より大きいポーションサイズで売られているという特徴がある。
なお研究者は、「注意しなければならないのは、加工食品のすべてが良くないわけではないことです。牛乳とヨーグルトなどの乳製品、パンやパスタ、肉、卵、豆など、冷蔵食品や缶詰などの加工食品は、現代人の食生活に不可欠です。しかし、超加工食品のなかには健康に良くないものもあることは確かです」と付け加えている。
「超加工食品を見分けるためには、栄養表示をよく見ることが大切です。原材料のリストが長く、化学物質が多く含まれる場合は、それが超加工食品である可能性が高いのです」と、スロウ氏はアドバイスしている。
Too much ultra-processed foods linked to lower heart health(米国心臓学会 2019年11月11日)Ultraprocessed Food Consumption and Risk of Type 2 Diabetes Among Participants of the NutriNet-Santé Prospective Cohort(JAMA Internal Medicine 2019年12月16日)
Association Between Ultraprocessed Food Consumption and Risk of Mortality Among Middle-aged Adults in France(JAMA Internal Medicine 2019年2月11日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2022 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「健診・検診」に関するニュース
- 2021年12月21日
- 特定健診・保健指導の効果を10年間のNDBで検証 体重や血糖値が減少し一定の効果 ただし体重減少は5年後には減弱
- 2021年12月21日
- 【申込開始】今注目のナッジ理論、感染症に関する教材が新登場!遠隔指導ツールも新作追加! 保健指導・健康事業用「教材・備品カタログ2022年版」
- 2021年12月13日
- 【新型コロナ】ファイザーのワクチンの3回目接種はオミクロン株にも効く? 抗体価は半分に減るものの2回接種より25倍に増加
- 2021年12月09日
- 保健師など保健衛生に関わる方必携の手帳「2022年版保健指導ノート」
- 2021年11月16日
- 思春期に糖質を摂り過ぎると成長後にメンタルヘルスに悪影響が 単純糖質の摂り過ぎに注意が必要
- 2021年11月09日
- 【世界糖尿病デー】東京都「今日から始めよう!糖尿病予防」キャンペーン 都民の4人に1人は糖尿病かその予備群
- 2021年11月08日
- 肥満のある人・肥満のない人の両方に保健指導が必要 日本人4.7万人の特定健診データを解析
- 2021年11月02日
- 【新型コロナ】ワクチン接種はコロナ禍を終わらせるための重要なツール 50歳以上で健康やワクチンに対する意識が上昇
- 2021年11月02日
- 健診や医療機関で腎臓の検査を受けていない高齢男性は透析のリスクが高い 7万人弱を5年間調査
- 2021年10月26日
- 「特定健診受診率向上プロジェクト」を実施 大阪府と大阪府立大学看護学科が協働 特定健診の対象者に合わせた効果的な受診勧奨
最新ニュース
- 2022年05月27日
- 子どもを亡くした家族への適切な支援を 自治体や医療機関に向けた支援の手引きを作成 グリーフケアに関する調査研究
- 2022年05月23日
- 【新型コロナ】保健師がコロナ禍の拡大を食い止めている 保健師の活動が活発な地域では罹患率は減少
- 2022年05月23日
- 【新型コロナ】起床・朝食が遅くなった子供で運動不足や栄養バランスの乱れが 規則正しい食事・睡眠が大切
- 2022年05月23日
- 【新型コロナ】コロナ禍で結婚数と出生数が減少 将来に対する不安や経済的な悩みが原因?
- 2022年05月23日
- 【子宮頸がん】HPVワクチンの予防効果は優れている 接種9年後の感染率は0% ワクチンの有効率は100%
~保健指導・健康事業用 教材~
-
アイテム数は3,000以上! 保健指導マーケットは、健診・保健指導に役立つ教材・備品などを取り揃えたオンラインストアです。 保健指導マーケットへ