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「第8回 健康寿命をのばそう!アワード」最優秀賞決定~介護予防・高齢者生活支援分野/母子保健分野~

 厚生労働省とスポーツ庁は11月11日、厚生労働省講堂で「第8回 健康寿命をのばそう!アワード」の受賞企業・団体・自治体を決定し、表彰式を開催した。

 「介護予防・高齢者生活支援分野」では、大阪府門真市で認知症の人が地域で楽しく、生きがいを持てるよう支援を続ける「ゆめ伴プロジェクト in 門真実行委員会」、「母子保健分野」では妊娠期から切れ目ない支援を多職種連携で行っている長野県須坂市が、それぞれ厚生労働大臣最優秀賞に選ばれた。
介護予防・高齢者生活支援分野の最優秀賞は門真市の「ゆめ伴プロジェクト」
 介護予防・高齢者生活支援分野には、地域包括ケアシステムの構築に向け、地域の実情に応じた優れた取り組みを実施、かつ個人の主体的な取り組みの喚起につながる取り組みを行っている企業などから57件の応募があった。

 審査の結果、最優秀賞を受賞した「ゆめ伴プロジェクト in 門真実行委員会」は、門真市介護保険サービス事業連絡会と門真市社会福祉協議会、くすのき広域連合門間支所、市民や地域活動団体が連携して2018年に発足。

 地域で孤立しがちな認知症の人も参加しやすい活動を行い、楽しみや生きがいを感じてもらえるよう取り組みを続けている。例えば、認知症の人と地域の人がスタッフとして活躍する「ゆめ伴カフェ」、地域交流の畑で一緒に綿花や野菜の栽培を行う「ゆめ伴ファーム」などがある。

 取り組みの結果、利用者には「定期的な参加で生活リズムが付くようになった」といった生活状態の変化や、「自信に満ちた表情に変わった」など生きがいの変化が見られているという。また「認知症の人が施設で支援されるだけの立場から、自分のできることを通じて活動の担い手に変化した」という社会役割の変化があった点なども評価された。
母子保健分野は多職種連携地域母子保健システム「須坂モデル」が最優秀賞に
 母子保健分野には母子の健康増進を目的に優れた取り組みを行っている企業などから90件の応募があった。

 審査の結果、最優秀賞を受賞した長野県須坂市は、『「一人も取り残されない」妊娠期からの切れ目のない支援のための多職種連携地域母子保健システム「須坂モデル」の構築と均てん化』で評価を受けた。

 同取り組みは、母子保健の国民運動「健やか親子21(第2次)」の重点課題①「育てにくさを感じる親に寄り添う支援」と②「妊娠期からの児童虐待防止対策」、基盤課題A「切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策」とC「子どもの健やかな成⾧を見守り育む地域づくり」に該当する。

 産後うつ病の深刻さが指摘される中、須坂市では妊産婦のメンタルヘルスに不調が見られた場合、早く「気づき」、適切な関係機関に「つなぎ」、親子を「支える」ことが重要として、2013年2月に多職種連携地域母子保健システムの体制を構築。「一人も取り残されない」をキャッチフレーズに妊娠期からの切れ目ない支援を行っている。
母子健康手帳配布時に行う面接や心理社会的リスクアセスメントが好評
 具体的には2014年4月から母子保健コーディネーターを配置し、母子健康手帳配布時に全ての妊婦と面接。妊婦と関係性を構築し、質問票の結果などから心理社会的リスクについて評価するようにしている。

 そのうえでリスクがあると考えられる親子には対応のフローチャートを母子保健関係者間で共有し、多職種連携をスムーズに実施。リスクのある親子のケアについて地域母子保健に携わる医療・保健・福祉の関係者が一堂に会して、定期的にケース検討会議も行っている。

 これらは「須坂モデル」として国立成育医療研究センターとの共同調査で有効性が実証された。成果としては、産後4カ月での産後うつ質問票の点数が統計的に優位に低下したことなどが挙げられる。

 有効性が化学的に実証された多職種連携地域母子保健システムは世界初だという。現在は、「須坂モデル」のように妊娠届け出時に全妊婦に対する面接や心理社会的リスクアセスメントをする取り組みが全国の多くの自治体で行われている。

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[yoshioka]
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