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サケの頭から抽出した栄養成分が女性の更年期障害を改善 産学官プロジェクトで開発
2020年02月11日

弘前大学などの研究チームは、サケの鼻軟骨から抽出した機能性成分である「サケプロテオグリカン」に、女性の更年期障害で起こる脂質異常を予防する効果があることを確かめた。
女性の更年期障害は脂質異常をともなう
女性の閉経にともない生じる更年期障害は、骨粗鬆症や膝関節症、心疾患などのリスクを増加させる。卵巣から分泌される女性ホルモンのひとつであるエストロゲンが閉経後に低下することで、脂質異常が生じやすくなり、とくに悪玉のLDLコレステロールの増加が引き起こされる。
脂質異常は動脈硬化や心疾患発症にもつながることから、更年期を迎えた女性では、予防・改善が重要となる。
弘前大学とサンスターグループの研究チームは、サケの鼻軟骨から抽出した機能性成分である「サケプロテオグリカン」が、LDLコレステロールなどの非善玉コレステロールを低減し、脂質異常を予防する効果があることを動物実験で確かめた。
サンスターはサケの鼻軟骨から良質なプロテオグリカンを抽出する技術をもつ。
研究チームは特許も取得しており、今後は機能性食品や医薬品への応用を期待している。

サケの鼻軟骨から抽出した機能性成分
「プロテオグリカン」は、タンパク質(プロテイン)多糖(グリカン)の複合物で、コラーゲンやヒアルロン酸とともに皮膚や軟骨に含まれる、高い保水性と柔軟性をもつ成分。
動物の軟骨の主成分で、細胞と細胞の間を埋めて固定化する働きがあるが、これまでの技術では抽出するのが難しかった。
青森県はサケの水揚げ量が全国でトップ。農林漁業資源から新たな有効成分を探す研究を行っている県産業技術センターは、「プロテオグリカン」がサケの鼻軟骨に大量に含まれていることを突き止めた。
さらに弘前大学の研究チームが、サケの頭部の骨から高純度かつ大量に生成する技術を開発した。これまでほとんど廃棄処分されていた部位であり、安価に製造できるという。
産学官共同プロジェクトを立ち上げ 特許を取得
弘前大学は、糖タンパクの研究などで実績があり、早くから「プロテオグリカン」に着目しており、産学官共同プロジェクトを立ち上げた。
同大学は過去の研究で、「プロテオグリカン」に骨粗鬆症や変形性膝関節症の予防効果もあることが明らかし、それぞれ特許を取得している。
これまでに、(1)抗炎症作用(抗アレルギー作用、潰瘍性大腸炎の治癒効果)、(2)細胞増殖促進作用(皮膚再生作用)、(3)軟骨再生促進作用(関節炎への応用)、(4)骨代謝異常改善作用(骨粗鬆症の治癒効果)、(5)保湿作用(化粧品と食品への応用)があるあことを報告している。
機能性表示食品や化粧品に応用

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