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運動でがん予防 ライフステージに応じたがん対策 運動でがんリスクが低下 全国生活習慣病予防月間2020 講演会(2)
2020年03月13日
一般社団法人 日本生活習慣病予防協会(理事長:宮崎 滋 先生)は2月5日に、東京の日比谷コンベンションホールで公開講演会を開催した。
「全国生活習慣病予防月間」で掲げるスローガン「一無、二少、三多」から、2020年は「多動の勧め」に着目。
「多動」とは、運動や身体活動をできるだけ増やし、毎日の生活の中で維持すること。運動を習慣化することで、生活習慣病を予防・改善できる。メリハリのある生活は、健康長寿に欠かせない要素だ。
運動のもたらす健康効果について、第一線で活躍する専門家が解説した。
「全国生活習慣病予防月間」で掲げるスローガン「一無、二少、三多」から、2020年は「多動の勧め」に着目。
「多動」とは、運動や身体活動をできるだけ増やし、毎日の生活の中で維持すること。運動を習慣化することで、生活習慣病を予防・改善できる。メリハリのある生活は、健康長寿に欠かせない要素だ。
運動のもたらす健康効果について、第一線で活躍する専門家が解説した。
講演2「運動でがん予防」
演者:津金昌一郎 先生(国立がん研究センター社会と健康研究センターセンター長)
日本人の死因順位の第1位は悪性新生物(がん)、第2位は心疾患、第3位は脳血管疾患。これらの疾患に生活習慣が深く関わっており、多くは予防が可能であることが分かっている。
中でもがんは、生涯で発症する人が2人に1人に上り、ライフステージに応じたがん対策が必要となっている。がんの治癒を目指した医療は進歩しており、今や「がんと共に、より良く生きる」時代だと言える。
演者:津金昌一郎 先生(国立がん研究センター社会と健康研究センターセンター長)
運動や身体活動を増やすとがんリスクが低下
津金先生は、各地域に居住するさまざまな生活環境にいる日本人を対象とした疫学研究を長年にわたり主導してきた。国立がん研究センターなどが実施している多目的コホート「JPHC研究」は、日本人を対象に、さまざまな生活習慣と、がん・糖尿病・脳卒中・心筋梗塞などとの関係を明らかにする目的で実施されている大規模研究だ。
JPHC研究では、男性で身体活動量が多い人ほど大腸がん、とくに結腸がんリスクが低下することが示された。また、乳がんでは、余暇に運動をよくしている女性ほど、リスクが低下することが示された。
身体活動度(MET)とがん罹患リスクとの関連を調べた研究では、男女とも、身体活動量が多いほど、がんにかかるリスクが低下することが示された。身体活動量の最小の群と比較した場合、最大の群のがん罹患リスクは、男性で0.87倍、女性で0.84倍に低下した。
がんの部位別にみると、男性では結腸がん・肝臓がん・膵臓がんで、女性では肝臓がん、胃がんで、身体活動が最大の群で、罹患リスクが低下した。
どれくらいの運動をすると良いのか
運動や身体活動を増やすことが、がんの予防につながるメカニズムの解明について、多くの研究が進められている。身体活動量を増加させることで、血糖を下げるインスリンが効きにくくなるインスリン抵抗性が改善し、肥満も解消でき、免疫機能の増強も期待できると考えられている。
運動には、結腸がんでは、腸内通過時間の短縮、胆汁酸分泌の抑制などの影響があり、また女性では、体脂肪を減らして閉経後女性の女性ホルモン(エストロゲン)の濃度を下げる効果などを期待できる。
日常生活を活動的に過ごす身体活動・運動は、糖尿病や循環器疾患のリスクも下げる。がん予防と健康長寿のために、どれくらいの運動や身体活動を行えば良いのかという基準も示されている。
健康づくりのための身体活動基準2013(厚生労働省)
18~64歳:3メッツ以上の身体活動を毎日60分(週23メッツ・時)、3メッツ以上の運動を毎週60分(週4メッツ・時)
65歳以上:強度を問わず身体活動を毎日40分(週10メッツ・時)
たとえば、ほとんど座って仕事をしている人なら、ほぼ毎日合計60分程度の歩行などの適度な身体活動に加えて、週に1回程度は活発な運動(60分程度の早歩きや30分程度のランニングなど)を加える。
18~64歳:3メッツ以上の身体活動を毎日60分(週23メッツ・時)、3メッツ以上の運動を毎週60分(週4メッツ・時)
65歳以上:強度を問わず身体活動を毎日40分(週10メッツ・時)
がんを予防するための「5つの健康習慣」
国立がん研究センターは、「JPHC研究」の研究成果などをもとに、日本人にとってがんを予防するために重要な6つの要因(禁煙、飲酒、体形の維持、食生活、身体活動、感染)を、「日本人のためのがん予防法」として提言している。このうち、感染を除いた生活習慣について、がんを予防するための「5つの健康習慣」として推奨している。
たばこは吸わない。他人のたばこの煙を避ける。
禁煙により、循環器や呼吸器疾患、糖尿病など多くの病気の予防につながる。
他人のたばこの煙を吸わないことにより、心筋梗塞、肺炎などの予防にも役立つ。
飲酒禁煙により、循環器や呼吸器疾患、糖尿病など多くの病気の予防につながる。
他人のたばこの煙を吸わないことにより、心筋梗塞、肺炎などの予防にも役立つ。
飲むなら適度にする。具体的には、1日あたりエタノール量に換算して約23g以内(週約150g以内)。
飲まない人、飲めない人は無理に飲まない。
節酒は、脳出血や高血圧のリスクを下げる。適度な飲酒は、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを下げる。
体形飲まない人、飲めない人は無理に飲まない。
節酒は、脳出血や高血圧のリスクを下げる。適度な飲酒は、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを下げる。
成人期での体重を適切な範囲に維持する(太り過ぎない、やせ過ぎない)。
BMI(体格数)が、中高年期の男性では21~27、中高年期の女性では21~25の範囲内になるように体重を管理する。
肥満の解消は、糖尿病、高血圧、高脂血症などのリスクを下げる。やせの解消(栄養補給)は、免疫力を高めて感染症を防いだり、血管を構成する壁を強くして、脳出血を予防する。
食事:塩蔵食品BMI(体格数)が、中高年期の男性では21~27、中高年期の女性では21~25の範囲内になるように体重を管理する。
肥満の解消は、糖尿病、高血圧、高脂血症などのリスクを下げる。やせの解消(栄養補給)は、免疫力を高めて感染症を防いだり、血管を構成する壁を強くして、脳出血を予防する。
塩蔵食品、食塩の摂取は最小限にする。食塩の摂取量を1日あたり6g未満に近づけるのが理想だ。
※厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2020年版)の成人目標値:男性7.5g、女性6.5g
減塩は、高血圧を予防し、循環器疾患のリスクを下げる。
食事:野菜・果物※厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2020年版)の成人目標値:男性7.5g、女性6.5g
減塩は、高血圧を予防し、循環器疾患のリスクを下げる。
野菜や果物不足にならないようにする。
野菜・果物は、脳卒中や心筋梗塞などをはじめとする生活習慣病の総合的な予防につながる。
国立がん研究センター がん予防・検診研究センターは、今後10年にがんに罹るリスクをウェブで自己チェックできる健診ツール「5つの健康習慣によるがんリスクチェック」も公開している。
野菜・果物は、脳卒中や心筋梗塞などをはじめとする生活習慣病の総合的な予防につながる。
総合討論
演者:和田高士 先生、田中喜代次 先生、津金昌一郎 先生、村田正弘 先生 座長:宮崎 滋 先生
演者:和田高士 先生、田中喜代次 先生、津金昌一郎 先生、村田正弘 先生 座長:宮崎 滋 先生
Q 季節によって運動で注意するべき点は変わりますか? 天気が悪いときなどはどう運動すれば良いでしょう?
体調をよく考えて、天気や気温の変化にも注意して、自分の体と対話しながら運動することが大切となる。
冬に気をつけなければならないのが、雪道などでの転倒だ。とくに高齢者ではバランス能力が低下している場合が多く、転倒には注意が必要となる。
また、夏の運動では熱中症、脱水への注意が必要となる。水分・塩分の補給を適切に行い、炎天下を避けて活動時間や場所を工夫して運動を継続することが大切。
心房細動(不整脈)などが原因となり起こる「心原性脳塞栓症」は、冬だけでなく5~6月の蒸し暑い時にも多い。脳梗塞は脱水があると起こりやすいので、暑い季節にも注意が必要になる。
医師などに相談しながら、薬を飲んでいる人は服薬もしっかり行い、季節に応じて上手に適応しながら安全に運動を続けることが大切だ。
スポーツを行う前にはウォーミングアップ(準備運動)も必要。安静の状態からいきなり強度の高い運動を行うと、急激な血圧の上昇をまねき不慮の事故へとつながりやすい。
閉会の挨拶
村田正弘 先生(NPO法人セルフメディケーション推進協議会会長)
家事や仕事の自動化、交通手段の発達などにより、身体活動量が低下している人が多い。そんな人には持続的にウォーキングに取り組むといった行動の変容が必要だ。運動習慣のないという人は、今日からでも運動に取り組んで欲しい。
ウォーキングはどこでも、いつでもできる運動であり、身近な場所をトレーニングの場所にすることもできる。地下鉄などでエスカレーターやエレベータを使わず、なるべく階段を使うようにするだけでも立派な運動になる。
ウォーキングをしながら、さまざまな発見もできる。たとえば、地震などの災害による危険がせまったとき、逃げる先となる避難場所。歩きながら、自治体が指定した避難場所を確認できる。
ただウォーキングをするだけでは飽き足らないという人には、2本のポールを両手に持って行う「ポールウォーキング」がお勧めだ。ポールウォーキングは全身運動であり、通常のウォーキングに比べ効率が高い。下半身の負担を減らして、安全に運動効果を高めることができる。
村田正弘 先生(NPO法人セルフメディケーション推進協議会会長)
一般社団法人 日本生活習慣病予防協会
市民公開講演会「多動で生活習慣病・がん予防」
全国生活習慣病予防月間2020 [日時]2020年2月5日(水)
[会場]日比谷コンベンションホール 司会進行
海原純子 先生(日本医科大学 特任教授・日本生活習慣病予防協会 専務理事) 特別講習「インフルエンザ・新型コロナウイルスの予防
和田高士 先生(東京慈恵会医科大学 健康科学 教授・日本生活習慣病予防協会 副理事長) 開会の挨拶
宮崎 滋 先生(日本生活習慣病予防協会 理事長) 講演1「生活習慣病の効果的な予防策~運動を中心に考える~」
演者:田中喜代次 先生(筑波大学名誉教授) 講演2「運動でがん予防」
演者:津金昌一郎 先生(国立がん研究センター社会と健康研究センター センター長) 総合討論
演者:和田高士 先生、田中喜代次 先生、津金昌一郎 先生、村田正弘 先生 座長:宮崎 滋 先生 閉会の挨拶
村田正弘 先生(NPO法人セルフメディケーション推進協議会会長) 共 催
一般社団法人 日本生活習慣病予防協会、公益財団法人 がん集学的治療研究財団、NPO法人 セルフメディケーション推進協議会 後 援
厚生労働省、公益財団法人 健康・体力づくり事業財団、健康日本21推進全国連絡協議会、公益財団法人 日本糖尿病財団、公益財団法人 循環器病研究振興財団、公益社団法人 アルコール健康医学協会、公益財団法人 8020推進財団、一般社団法人 動脈硬化予防啓発センター、一般社団法人 日本肥満学会、一般社団法人 日本肥満症予防協会、一般社団法人 日本サルコペニア・フレイル学会、一般社団法人 日本臨床内科医会、一般社団法人 日本産業保健師会、一般社団法人 日本くすり教育研究所、NPO法人 日本人間ドック健診協会、糖尿病治療研究会、九州ヘルスケア産業推進協議会、日本健康運動研究所 ほか 後 援
サラヤ株式会社、株式会社タニタ、大正製薬株式会社、リボン食品株式会社、森永乳業株式会社
市民公開講演会「多動で生活習慣病・がん予防」
全国生活習慣病予防月間2020 [日時]2020年2月5日(水)
[会場]日比谷コンベンションホール 司会進行
海原純子 先生(日本医科大学 特任教授・日本生活習慣病予防協会 専務理事) 特別講習「インフルエンザ・新型コロナウイルスの予防
和田高士 先生(東京慈恵会医科大学 健康科学 教授・日本生活習慣病予防協会 副理事長) 開会の挨拶
宮崎 滋 先生(日本生活習慣病予防協会 理事長) 講演1「生活習慣病の効果的な予防策~運動を中心に考える~」
演者:田中喜代次 先生(筑波大学名誉教授) 講演2「運動でがん予防」
演者:津金昌一郎 先生(国立がん研究センター社会と健康研究センター センター長) 総合討論
演者:和田高士 先生、田中喜代次 先生、津金昌一郎 先生、村田正弘 先生 座長:宮崎 滋 先生 閉会の挨拶
村田正弘 先生(NPO法人セルフメディケーション推進協議会会長) 共 催
一般社団法人 日本生活習慣病予防協会、公益財団法人 がん集学的治療研究財団、NPO法人 セルフメディケーション推進協議会 後 援
厚生労働省、公益財団法人 健康・体力づくり事業財団、健康日本21推進全国連絡協議会、公益財団法人 日本糖尿病財団、公益財団法人 循環器病研究振興財団、公益社団法人 アルコール健康医学協会、公益財団法人 8020推進財団、一般社団法人 動脈硬化予防啓発センター、一般社団法人 日本肥満学会、一般社団法人 日本肥満症予防協会、一般社団法人 日本サルコペニア・フレイル学会、一般社団法人 日本臨床内科医会、一般社団法人 日本産業保健師会、一般社団法人 日本くすり教育研究所、NPO法人 日本人間ドック健診協会、糖尿病治療研究会、九州ヘルスケア産業推進協議会、日本健康運動研究所 ほか 後 援
サラヤ株式会社、株式会社タニタ、大正製薬株式会社、リボン食品株式会社、森永乳業株式会社
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