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新型コロナ抗体検査で医療スタッフ500人の全員が陰性 最前線で働く人々へのポジティブメッセージ

 神戸大学は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者に対応する病院の1つである兵庫県立加古川医療センターでの医療従事者を対象に抗体検査を行い、全員が新型コロナウイルスに対する抗体陰性だったことが分かったと発表した。
 「適切な予防を行うことにより、患者から医療従事者へのウイルス感染を防ぎ得ることを示した所見であり、世界中の医療従事者を大いに勇気づけるものです」としている。
医療スタッフへのウイルス感染の可能性が懸念されている
 研究は、神戸大学大学院医学研究科附属感染症センター臨床ウイルス学分野の森康子教授らの研究グループによるもの。研究成果は、プレプリントサービスである「MedRXiv」にオンライン掲載された。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者から医療スタッフへのウイルス感染の可能性が懸念されており、無症候感染した病院スタッフが働くことも院内感染拡大の大きな原因となる可能性がある。

 兵庫県立加古川医療センター(353床)は、国の指定する「第1種感染症指定病院」であり、「新型コロナウイルス感染症拠点病院」として、兵庫県内全域の患者、とくに人工呼吸器管理を要する重症患者に重点を置いて治療している。

 同センターは、2020年3月11日よりCOVID-19患者の受け入れを開始。4月19日のピーク時に、重症者も含め35人以上のCOVID-19患者が入院していた。

加古川医療センターの入院患者数の推移
患者に接触したにもかかわらず、全員が感染したことがない
加古川医療センターの509人の医療従事者の背景
 今回の研究で、同センター勤務の医療スタッフの感染既往を把握するために、合計509人(5月1日165人、7日157人、8日187人)から血清を採取し、新型コロナウイルスに対抗して体内で作られるタンパク質IgG抗体の検出を試みた。

 対象者は男性88人、女性421人、平均年齢は39歳(18~66歳)。職種別内訳は、医師77人、看護師310人、薬剤師1人、放射線技師20人、臨床検査技師19人、医療助手82人。そのうち、ICU/HCU勤務者115人、発熱外来勤務者18人、COVID-19患者専用病棟勤務者72人だった。

 COVID-19患者との接触から血清採取までの平均期間は23日だった。医療スタッフは感染症標準予防策を順守しており、病院でマスクを着用し、各業務の後にアルコールで手指消毒を行っていた。PCR検査の検体採取時やPCR陽性患者と接触する際には、完全な個人用防護具を着用していた。

 その結果、医療スタッフ全員の血清から、新型コロナウイルスに対するIgG抗体は検出されなかった。つまり、患者に接触したにもかかわらず、医療スタッフ全員が新型コロナウイルスに感染したことがないと考えられる。

 また、COVID-19の発症後14日以上の患者(同センターに入院中で、PCR検査で新型コロナウイルス遺伝子が陽性であった患者)からの血清を用いて同様の実験を行ったところ、100%(10人中10人)からIgG抗体が検出された。このことから、同試験の特異性は高いと考えられる。
新型コロナウイルスに対する標準的な予防策の有用性を示す
 世界では新型コロナウイルスの院内感染により死亡した医療スタッフは少なくないが、同センターの医療スタッフは、COVID-19患者との接触を最長で53日間続けていたが、これまでのところ、院内感染が疑われる事例は報告されていない。今回の結果は、同センターでの感染防護体制が十分であったことを意味している。

 「特筆すべきことは、標準予防策を適切に順守することで、新型コロナウイルスへの感染を着実に防ぐことができることを示唆している点にあります。今回の調査によって初めて、新型コロナウイルスに対する標準的な予防策の有用性が示されました」と、研究グループは述べている。

 「すべての医療スタッフは、新型コロナウイルスへの接触を恐れていると思います。今回の結果により、世界中の医療スタッフに対して、COVID-19に立ち向かう勇気を与え、鼓舞することができると信じています」としている。

神戸大学大学院医学研究科附属感染症センター臨床ウイルス学分野
Diligent medical activities of a publicly designated medical institution for infectious diseases pave the way for overcoming COVID-19: A positive message to people working at the cutting edge(MedRXiv 2020年5月25日)
[Terahata]

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