ニュース

社会福祉施設などでの労働災害が減少 好事例の紹介リーフレットを作成(厚労省)

 厚生労働省はこのほど、小売業や飲食店、社会福祉施設で労働災害の減少に効果が見られた好事例を紹介するリーフレットを制作。
 労働安全衛生総合研究所との共同で作られたもので、具体的な対策で効果を上げている企業や法人の事例から、参考になるポイントがまとめられている。
社会福祉法人は2019年の労働災害発生件数0件に(全8事業所)

 厚生労働省と共にリーフレットを制作した労働安全衛生総合研究所によると、第12次労働災害防止計画(2013~2017年度)推進期間の後半、労働安全行政の指導などで労働災害防止活動に精力的に取り組む企業・法人が増加。

 そのため2018~2019年度にかけて、これらの企業・法人などで実態を調査したところ、具体的かつ効果的な対策で実際に労働災害を減少させた企業や法人があったという。

 この中には同研究所から提案した労働災害防止対策を実践したケースもあり、今回のリーフレットは好事例を抽出して紹介することで、より広く労働災害の減少につなげようとしている。

 このうち障害者支援施設や福祉サービス事業所などを運営する社会福祉法人では、全8事業所で起きた労働災害発生件数(不休も含む)が2016~18年は年平均1.7件あったのに対し、2019年は0になるなど効果が見られたため、取り組んで来た労働災害防止活動をピックアップした。

 例えば、同法人は理事長や施設長、課長、主任、各グループ長、労働者側委員で本部安全衛生委員会を組織。労働災害が発生した場合の情報配信や報告の流れを整理し、迅速な対応につなげている。年3回、5Sパトロール(5S:整理、整頓、清掃、清潔しつけ)を理事長や施設長、課長、各グループ長らで実施し、指摘事項を記録したうえで翌月開催の安全衛生委員会で共有。

 また、KYT(危険予知トレーニング)を各グループ長のもとメンバー全員で受けており、リーフレットでは具体的なテーマに対して、どのような気づきがあったか、参加者やリーダーの記したKYTシートも紹介した。

 リーフレットでは、老人福祉施設を運営する別の社会福祉士法人についても好事例として掲載。この法人では専門家による安全教育を実施しており、社会福祉法人で転倒災害のリスクが高い事実などを伝えている。

労働者の増加や高齢化の影響で大幅な減少には至らず

 国は2018年から5年間を期間とする「第13次労働災害防止計画」を進めているが、第三次産業においては労働者の増加や高齢化の影響もあり、十分な労働災害の減少にいたっていない。

 2019年の業種別労働災害発生状況を見ると、第三次産業における死亡災害は240人で、前年比で3人減少していた。一方で、休業4日以上の死傷災害については前年比0.3%増の60,208人で、業種別では全体のおよそ半数を占めるほど多い。

 第三次産業の中では小売業、飲食店、社会福祉士施設での労働災害がなかなか減少していない現状があり、厚生労働省はこれまでも、それぞれの職場別に死傷者の内訳や災害発生時間帯について特長を洗い出し、経営者の意識改革や安全衛生教育の徹底につなげるなど、さまざまな方法で事故防止の啓発に努めてきていた。

[yoshioka]
side_メルマガバナー

「産業保健」に関するニュース

2024年04月30日
タバコは歯を失う原因に 認知症リスクも上昇 禁煙すれば歯を守れて認知症も予防できる可能性が
2024年04月25日
厚労省「地域・職域連携ポータルサイト」を開設
人生100年時代を迎え、保健事業の継続性は不可欠
2024年04月23日
生鮮食料品店が近くにある高齢者は介護費用が低くなる 自然に健康になれる環境づくりが大切
2024年04月22日
運動が心血管疾患リスクを23%低下 ストレス耐性も高められる 毎日11分間のウォーキングでも効果が
2024年04月22日
職場や家庭で怒りを爆発させても得はない 怒りを効果的に抑える2つの方法 「アンガーマネジメント」のすすめ
2024年04月22日
【更年期障害の最新情報】更年期は健康な老化の入り口 必要な治療を受けられることが望ましい
2024年04月22日
【肺がん】進行した人は「健診やがん検診を受けていれば良かった」と後悔 早期発見できた人は生存率が高い
2024年04月16日
塩分のとりすぎが高血圧や肥満の原因に 代替塩を使うと高血圧リスクは40%減少 日本人の減塩は優先課題
2024年04月16日
座ったままの時間が長いと肥満や死亡のリスクが上昇 ウォーキングなどの運動は夕方に行うと効果的
2024年04月15日
血圧が少し高いだけで脳・心血管疾患のリスクは2倍に上昇 日本の労働者8万人超を調査 早い段階の保健指導が必要
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶