ニュース

食後血糖値の上昇を抑制する新しい米を開発 難消化性デンプンが豊富な「まんぷくすらり」 秋田県立大

 秋田県立大学が、食後血糖の上昇抑制の効果がある新しい米「まんぷくすらり」を開発した。
 難消化性デンプンが通常の米の10倍ほど高く、食後の血糖値とインスリン分泌の上昇を抑えることが確認されている。
 食物繊維に似た働きがあり、腸内環境の改善も期待できるという。2型糖尿病の人や糖尿病予備群、肥満のある人にも有用である可能性がある。
難消化性デンプンが通常の米の10倍含まれる
 秋田県立大学が、「難消化性デンプン」(RS)が豊富な新しい機能精米「まんぷくすらり」を開発した。

 難消化性デンプンとは、体内の酵素であまり消化されないまま大腸に達するデンプンで、食物繊維に似た働きをする。

 ヒトの小腸まででは消化されず、大腸に届くデンプンなどは「レジスタントスターチ」とも呼ばれている。レジスタントスターチは、穀類やイモ類、豆類などの食品に含まれている。食後血糖の上昇を抑制する効果があることから、注目されるようになった。

 「まんぷくすらり」は、難消化性デンプンが通常の米の10倍ほど高く、この米を使った米飯や米菓で、食後の血糖値の上昇が抑制されることが確認されている。大腸環境の改善も期待できるという。
食後の血糖値とインスリン分泌の上昇を抑制
 「まんぷくすらり」は、秋田県立大学生物資源科学部の藤田直子教授の研究グループが中心となり開発したもの。2020年4月に品種登録出願公表となった。

 今後、米菓やきりたんぽ、ダイエットおこわなど、さまざまなレシピに応用し、販売していく予定だという。

 「まんぷくすらり」を使った米飯と米菓で、単回摂取試験を行ったところ、対照の品種に比べて、食後の血糖値とインスリン分泌量が有意に少ないという結果が得られた。この試験の詳細は科学誌「Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry」に発表された。

 難消化性デンプンは、血糖値上昇抑制という機能性以外に、腸内環境の改善も期待できるという。

 難消化性デンプンを豊富に含む大麦、小麦、米で動物実験を行ったところ、短鎖脂肪酸(大腸にいる善玉腸内細菌が、難消化性デンプンを分解して分泌する物質)が増え、便の量も増加するという研究が報告されている。

 食物繊維を摂取した場合と似た効果があり、短鎖脂肪酸が大腸内で増えると、大腸環境が改善し、大腸がんなどの予防効果も期待できるという。

「まんぷくすらり」を2020年収穫分より販売 スターチテック
 秋田県立大学発ベンチャー企業である「スターチテック」(代表:中村保典・秋田県立大学名誉教授)では、「まんぷくすらり」を2020年収穫分より販売している。

 「まんぷくすらり」の栽培地は、登熟時期に異常高温に当たると難消化性デンプン値が低下する傾向がある。また、あまりに寒冷であると、完熟まで行きづらい。そのため、栽培地としては秋田県はベストだという。

 「まんぷくすらり」は、一般の米と比べると粘りや柔らかさが少ないパラパラとした食感がある。はじめは普通の米やモチ米と混合すると食べやすいという。

 同社は、藤田教授の研究グループが中心になって開発されたジャポニカ系高アミロース米の精米「あきたぱらり」と「あきたさらり」の米粉を使った乾麺'ゆりの舞'も、販売している。

秋田県立大学 生物資源科学部 生物生産科学科

スターチテック

Effects of single ingestion of rice cracker and cooked rice with high resistant starch on postprandial glucose and insulin responses in healthy adults: two randomized, single-blind, cross-over trials(Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry 2019年11月5日)
High-amylose rice improves indices of animal health in normal and diabetic rats(Plant Biotechnology Journal 2011年12月7日)
[Terahata]
side_メルマガバナー

「健診・検診」に関するニュース

2025年02月25日
【国際女性デー】妊娠に関連する健康リスク 産後の検査が不十分 乳がん検診も 女性の「機会損失」は深刻
2025年02月17日
働く中高年世代の全年齢でBMIが増加 日本でも肥満者は今後も増加 協会けんぽの815万人のデータを解析
2025年02月12日
肥満・メタボの割合が高いのは「建設業」 業態で健康状態に大きな差が
健保連「業態別にみた健康状態の調査分析」より
2025年02月10日
【Web講演会を公開】毎年2月は「全国生活習慣病予防月間」
2025年のテーマは「少酒~からだにやさしいお酒のたしなみ方」
2025年02月10日
[高血圧・肥満・喫煙・糖尿病]は日本人の寿命を縮める要因 4つがあると健康寿命が10年短縮
2025年01月23日
高齢者の要介護化リスクを簡単な3つの体力テストで予測 体力を維持・向上するための保健指導や支援で活用
2025年01月14日
特定健診を受けた人は高血圧と糖尿病のリスクが低い 健診を受けることは予防対策として重要 29万人超を調査
2025年01月06日
【申込受付中】保健事業に関わる専門職・関係者必携
保健指導・健康事業用「教材・備品カタログ2025年版」
2024年12月24日
「2025年版保健指導ノート」刊行
~保健師など保健衛生に関わる方必携の手帳です~
2024年12月17日
子宮頸がん検診で横浜市が自治体初の「HPV検査」導入
70歳以上の精密検査無料化など、来年1月からがん対策強化へ
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶