感染症対策の状況も明らかに~労働者健康安全機構が産業保健活動について調査

労働者健康安全機構は、全国に設置している産業保健総合支援センターなどで実施する産業保健活動総合支援事業の利用状況やその効果について利用者調査を実施している。
新型コロナウイルス感染症の影響が色濃く残る中で実施された調査結果がこのほどまとまり、「令和2年度産業保健活動総合支援事業アウトカム報告書」として公表。報告書からは、事業所が感染症対策に取り組む様子が見て取れた。
労働者健康安全機構は全国に産業医や産業看護職、衛生管理者など産業保健関係者を支援し、事業主などに健康管理について啓発するため産業保健総合支援センターを設置している。
利用者調査は、同センターや地域窓口(地域産業保健センター)で実施している産業保健活動総合支援事業がどのような効果を上げているかを調査する目的で、継続的に実施されている。
令和2年度の調査はコロナ禍で調査方法に工夫を凝らしながら実施し、経年比較項目に加えて新たにパワーハラスメントやセンターの広報活動、新型コロナウイルス感染症の3つをトピックスとして取り上げた。
調査対象のセンター利用者は16,897人で回収数は7,758人(回収率45.9%)。このうち男性は48.8%、女性は50.3%。年齢別では50歳代が32.9%で最も高く、次いで40歳代(29.9%)、60歳代(16.9%)だった。職種は「人事労務担当者」が最多で28.1%。
また、センター利用者以外調査は無作為に抽出した企業の担当者20,000人を対象とし、6,415人から回答を得た(回収率32.3%)。
センター利用者を対象にした事業場における産業保健活動の取組状況(令和2年度上期)については、「職場の感染症対策」を「以前より取組を充実させた」とする回答が47.2%と特に高くなった。具体的な取り組み状況としては「手洗い・手指消毒を促す」(95.1%)、「職場でのマスク着用を促す」(89.4%)が突出。「テレビ会議などにより、人が集まる形での会議などをなるべく避ける」は50.1%だった。
一方、感染症防止対策の課題は、「事業場に感染者(疑い事例含む)が発生した場合の対応(消毒方法、保健所との連携など)」が 54.7%と最多になった。次いで「正しい情報の収集方法」(33.6%)、「予防対策の職場への周知方法や労働者への教育方法」が(22.1%)などとなっている。
センター利用者以外調査でも感染症対策の取り組みを以前より充実させたと答えた割合が増加するなど、利用者調査と同様の回答結果となっている。
利用者による自由回答では新型コロナウイルス感染症の最新情報の提供や、他者の取り組み事例の紹介、感染者発生時の対応方法など、困ったときに相談できる窓口としての役割をセンターに担ってほしい、という回答が多く寄せられた。
同機構は「全国的な感染状況の変化とともに、予防から対処へと事業場が求めるニーズも変遷しており、これらのニーズに今後どのように応えていくかが問われている」と考察している。


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