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【新型コロナ】ワクチン接種は流行中の変異株に対しても9割で効果 1回接種のみでは中和抗体が産生されないおそれも

 横浜市立大学は、現在接種が進められている新型コロナウイルスワクチンが、従来株のほか、さまざまな変異株に対しても中和抗体の産生を誘導し、効果を期待できることを明らかにした。
 日本で進められているワクチン接種にとって重要な基礎データとなる知見だ。研究成果は、プレプリントサーバーの「medRxiv」に掲載された。
「hiVNTシステム」を用いて変異株に対する中和抗体を測定
 新型コロナウイルスの感染拡大にともなう外出自粛や休業要請を余儀なくされる中、打開策として全国的にワクチン接種が進められているが、最近では、変異株の種類が多様化し、その感染者数が急激に拡大傾向にある。

 現在接種が進められているワクチンは、初期の従来株に対する有効性は確立されているが、その後登場した変異株に対して、とくに日本人での中和抗体に関する情報は十分ではない。

 そこで横浜市立大学の研究グループは、日本人のワクチン接種者111名(未感染105名、既感染6名)を対象に、ファイザー製ワクチンの有効性について、中和抗体(液性免疫)の保有率という観点から調査した。

 研究は、横浜市立大学学術院医学群臨床統計学の山中竹春教授、同微生物学の梁明秀教授、宮川敬准教授、附属病院感染制御部加藤英明部⻑らの研究チームによるもの。

 独自の迅速抗体測定システム「hiVNT新型コロナ変異株パネル」を活用して、従来株および変異株7種の計8株に対する中和抗体を測定した。

 「hiVNTシステム」は、同大学の研究グループが2020年7月に開発した、新型コロナウイルスに対する中和抗体を簡便かつ迅速に測定できる手法。感染性を有する生ウイルスやゲノムを含んだ擬似ウイルスを使用しないため、危険な操作が不要で、3時間以内に中和抗体の量を測定することができる。
ワクチン接種者の9割が流行中の変異株に対しても中和抗体を保有
 その結果、未感染者でワクチン2回接種した人のうち、99%の人が従来株に対して中和抗体を保有していることが明らかになった。

 流行中のN501Y変異を有する3つのウイルス株(英国、南アフリカ、ブラジルで初めて確認された株)に対しても、90~94%の人が中和抗体を有していた。懸念されているインド由来の株に対しても、中和抗体陽性率が低下するような傾向はみられなかった。

 計8株すべてに中和抗体陽性であった人は全体の約9割(93/105; 89%)だった。

 中和抗体の上がり方については個人差がみられた。とくに1回接種のみでは、変異株に対して中和抗体が産生されない人が一定数存在した。

 「今後、変異株のさらなる出現も予想されるため、新たな変異株が登場した際に、変異株に対する中和抗体保有の状況を集団レベルですみやかに調べ、既存のワクチンの有効性を評価できる手法が求められます」と、研究グループでは述べている。

 「今回開発した"hiVNT新型コロナ変異株パネル"のような、複数の変異株を取り揃えて(パネル化)、それらに対する中和抗体を一括して短時間で評価し、集団レベルならびに個人レベルでの免疫能の獲得の詳細を明らかにすることは、ワクチン普及後の社会活動を回復させる後押しになると期待されます」。

 研究グループは、今回の研究で使用した中和抗体の迅速測定システム「hiVNT」を社会実装につなげられるよう、さらなるデータの蓄積を進めるとしている。

横浜市立大学医学部 臨床統計学
Rapid detection of neutralizing antibodies to SARS-CoV-2 variants in post-vaccination sera(medRxiv 2021年5月6日)
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