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ダンスを通じてバランス・認知能力・運動能力を改善 パーキンソン病患者さんのためのダンス教室を開催

 ダンスを通じて、バランス、認知能力、運動能力、うつなど、パーキンソン病の顕著な症状を改善できる。
 順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院は、「パーキンソン病患者さんのためのダンス教室」を開催した。
 参加者がダンスの楽しみを体験できるようにデザインされている。
安静よりも体を動かすことが大切
 順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院 脳神経内科(埼玉県越谷市)は、「パーキンソン病患者さんのためのダンス教室」を2021年5月に開催した。

 パーキンソン病は、脳内の神経伝達物質「ドパミン」が減少する病気。ドパミンは、運動の調整をつかさどる物質であり、減少すると運動の調節がうまくいかなくなり、動作がゆっくりになったり、動きがスムーズでなくなったりする。最初の症状は、手が震えたり、よく転ぶようになったりすることだ。

 パーキンソン病は安静よりも体を動かすことが大切なことから、同科では患者が楽しく体を動かす場を提供する目的で、「Dance for PD」を取り入れ、スターダンサーズ・バレエ団の協力のもと、2019年11月からダンス教室を実施している。

 「Dance for PD」は、米国のマーク モリス ダンス グループがオリー ウェストハイマー(ブルックリンパーキンソン病患者の会)と協働で考案したダンスプログラム。ダンスを通じて、バランス、認知能力、運動能力、うつなどパーキンソン病の顕著な症状に対処すると同時に、参加者がダンスの楽しみを体験できるようにデザインされている。

 「パーキンソン病患者さんのためのダンス教室」の開催を、新型コロナの影響で昨年より見合わせていたが、今回は定員数を大幅に削減し、約1年ぶりに開催した。当日は6人の患者が参加し、ピアノの生演奏に合わせて講師とともに体を動かした。

出典:順天堂大学、2021年
ダンス教室を通して体を動かす楽しさを実感
 ダンス教室は、パーキンソン病患者のためのダンスプログラム「Dance for PD」を取り入れ、手足・首が震える、手足がこわばるなどの運動症状のある患者も取り組みやすい内容になっている。

 同ダンスプログラムを取り入れたダンス教室は、国内では開催事例が少なく、とくに医療機関で実施しているのは順天堂越谷病院のみ。自身もバレエの経験をもつ同病院脳神経内科の頼高朝子教授が指導者向けのワークショップに参加し、同ダンスプログラムの認定資格を取得したうえで主催している。

 「パーキンソン病を患う患者さんが薬剤などの治療にあたりながら生活をする上で、バランスの良い食事、適切量の水分摂取、毎日継続して体を動かすことが大切です」と、頼高教授はコメントしている。

 「この教室では、音楽に合わせて体を動かすことで、単調になりがちな動きに楽しく取り組むことができるほか、身体が曲がってしまうことを防ぐために体幹を鍛えるような動きを取り入れています。この教室を通して患者さんに体を動かす楽しさを実感していただき、日々の生活の中でも運動を継続していただきたいと思っています」としている。

前半は椅子や車いすに座ったままでできる動きで組み立てられている

後半は、各自の状況に合わせて立ち上がり、歩いたり
簡単なステップを踏む動きが取り入れられている

出典:順天堂大学、2021年
回を重ねるごとに患者さんの動きや表現が豊かに
 ダンス教室の協力をしているスターダンサーズ・バレエ団では、「回を重ねながら患者さんの動きや表現が豊かになっていくのを目の当たりにしてきました」とコメントしている。

 「ダンスの指導をするときは、生き物の動きに例えたり情景を取り入れたりしながら、患者さんがイメージしやすい言葉を使うように心がけています。レッスンを終えられた患者さんが笑顔で帰っていく姿にやりがいを感じています」。

 参加した患者からは、「普段は自宅で運動していますが、ダンス教室で仲間と一緒に体を動かすと気分が変わります。海の中の生き物を表現したりフィギュアスケートのように踊ることで想像力が刺激されます。季節に合わせていろんな曲を演奏してくださるので毎回とても楽しいです。今後も続けていきたいです」といった声が聞かれた。

 順天堂越谷病院では、今後の新型コロナウイルスの感染状況を鑑みつつ、月1回のペースでダンス教室を開催していく予定だ。

座った状態で足を伸ばし可動範囲を広げていく

手や足で拍子を取りながらリズム感覚をつける

椅子に掴まりながら立ち上がって動く

出典:順天堂大学、2021年

順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院
パーキンソン病患者のためのダンス-ダンス・フォー・PD-
スターダンサーズ・バレエ団

[Terahata]