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「産後うつ」は産後1年でもあらわれる 母親となった女性には長期的なケアを 1万人超の妊婦を調査
2021年09月14日

「産後うつ」はこれまで、通常は産後数ヵ月以内に発症し、短期間で治まるものとみられていたが、実際には産後1年経過してもうつ症状があらわれるケースもあることが、新たな研究で明らかになった。
さらに、産後1年時点でうつ症状を示していた女性の約半数は、産後1ヵ月ではうつ症状を示していなかった。妊娠中の心理的不調が、産後1ヵ月、産後1年のうつ症状と関連していることが分かった。
「産後1年間はうつ症状が出現する可能性に注意し、適切な時期にスクリーニングとケアを行う必要があります」と、研究者は述べている。
さらに、産後1年時点でうつ症状を示していた女性の約半数は、産後1ヵ月ではうつ症状を示していなかった。妊娠中の心理的不調が、産後1ヵ月、産後1年のうつ症状と関連していることが分かった。
「産後1年間はうつ症状が出現する可能性に注意し、適切な時期にスクリーニングとケアを行う必要があります」と、研究者は述べている。
産後うつは産後1年でもあらわれる可能性が
「産後うつ」はマタニティーブルーとも呼ばれる。産後3日以内に悲しさや惨めさなどの感情が出現し、2週間以内に治まるものの、母親のなかには、顕著な抑うつ症状が数週間から数ヵ月間続き、日常生活に支障が出ることもある。
うつ病の診断基準を満たす状態になる場合は、「産後うつ(病)」と呼ばれ、出産後に10~20%の女性が発症するとみられている。近年、自殺との関連も注目されており、対策が求められている。
これまで、産後うつは産後数ヵ月以内に発症するとされ、発症に関わる心理社会的リスク因子が報告されてきた。しかし今回の研究で、産後1年経過してもうつ症状があらわれるリスクがあり、産後直後だけでなく、より長期的な視点に立ってスクリーニングやケアをする必要性があることが示された。
研究は、東北大学大学院医学系研究科(兼 東北大学病院)の菊地紗耶助教、富田博秋教授、東北メディカル・メガバンク機構の栗山進一教授、小原拓准教授らのグループによるもの。研究成果は、学術誌「Journal of Affective Disorders」にオンライン掲載された。
関連情報
産後1年時点で13%の母親にうつ症状が
研究グループは、「東北メディカル・メガバンク計画」で、妊婦と生まれた子供を中心としたコホート調査である「三世代コホート調査」に参加した妊婦を対象に、産後1年までの産後うつの経過とそれに関わる心理社会的リスク因子を分析した。
同調査に参加した2万2,493人の妊婦のうち、有効回答を得られた1万1,668人を対象に、産後1年までのうつ症状の有病率およびうつ症状の経過を調査した。
産後1ヵ月と1年のうつ症状の経過から参加者を、「持続群」(6.0%)、「回復群」(7.9%)、「遅発群」(6.8%)、「正常群」(79.2%)の4群に分けた。
解析した結果、産後1年時点で、12.9%の母親にうつ症状があり、それは産後1ヵ月(13.9%)とほぼ同等だった。妊娠中の心理的不調は、うつ症状のあるすべての群で有意に関連していた。
産後1年でも、産後1ヵ月と同様に同程度の産後うつ病があらわれることがあり、そうした母親のうち、約半数は産後1ヵ月時点ではうつ症状を呈していなかったことが判明した。
母親となった女性に長期的なスクリーニングやケアを
産後うつは、母親だけでなく子供の情緒発達や家族のメンタルヘルスにも影響する。これまで多くの研究は、産後数ヵ月時点での有病率や心理社会的因子について調べたもので、産後1年が産後数ヵ月に比べて有病率が高いかどうかについては見解が一致していなかった。
「産後1年経過してもうつ症状が出現するリスクに注意し、産後直後だけでなく、より長期的な視点に立ってスクリーニングやケアの体制を構築する必要性があります」と、研究グループでは述べている。
東北大学医学系研究科精神神経学分野東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)
One-year trajectories of postpartum depressive symptoms and associated psychosocial factors: findings from the Tohoku Medical Megabank Project Birth and Three-Generation Cohort Study(Journal of Affective Disorders 2021年9月4日)
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