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【新型コロナ】年齢や基礎疾患による死亡リスクが判明 基礎疾患があると死亡率は5.6倍に上昇 慢性腎臓病は14%
2021年09月10日

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者のうち、慢性腎臓病や糖尿病などの基礎疾患がある場合の死亡率は、まったくない人の約5.6倍に上昇することが、厚生労働省の調査で明らかになった。
約32万人を対象に、重症化リスクが高いとされる9つの要因について分析した。
約32万人を対象に、重症化リスクが高いとされる9つの要因について分析した。
基礎疾患が多くあるほど致死率は上昇
厚生労働省は、感染者の情報を集約するシステム「HER-SYS(ハーシス)」のデータを用いて、年齢や基礎疾患などの重症化リスク因子ごとの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)有病率を調査し、重症化リスク因子ごとの致死率について明らかにした。
COVID-19の年齢別および基礎疾患別の重症化リスク因子をもつ割合を知ることは、病床逼迫に対する施策を行ううえで重要な情報となる。
今回は、2021年4月1日~2021年6月30日の、発生届ベースのCOVID-19感染陽性患者32万2,007人のデータを集計した。
その結果、次のことが明らかになった。・ 肥満、喫煙を除く重症化リスク因子は、高齢者で多く認められた。
・ 高齢者では、各重症化リスク因子の有無にかかわらず、他の年代と比較して致死率が高かった。
・ 基礎疾患などの重症化リスク因子を多くもつほど、致死率が高かった(39歳以下、40歳代の一部の項目を除く)。
・ 各年代で、基礎疾患などの各重症化リスク因子をもつ者は、致死率が高かった(39歳以下、40歳代の一部の項目を除く)
高齢者(65歳以上)で糖尿病があると死亡リスクは8.15%
COVID-19に感染した人が死亡した割合、その致死率は、基礎疾患などの重症化リスク因子を多くもつほど高くなった。
腎臓病や糖尿病などこれまでに知られている9つの重症化のリスク要因により、致死率を分析した結果、重症化のリスク要因が「ない」人は致死率が0.41%だったが、「ある」人は2.28%で5.6倍に上昇した。
致死率を基礎疾患別にみると、▼慢性腎臓病が14.0%(保有率 1.70%)、▼COPD(慢性閉塞性肺疾患)が10.2%(保有率 1.14%)、▼がんが8.35%(保有率 2.46%)、▼免疫抑制が7.54%(保有率 1.58%)、▼糖尿病が4.76%(保有率 8.15%)、▼高血圧が4.32%(保有率 14.8%)、▼脂質異常症が3.30%(保有率 5.14%)、▼肥満が1.55%(保有率 3.19%)、▼喫煙が0.99%(保有率 15.4%)だった。

出典:厚生労働省、2021年
さらに、保有している基礎疾患の数によって致死率をみたところ、▼保有数が0(基礎疾患がない)は0.41%、▼1つある人は1.38%、▼2つでは3.80%、▼3つでは5.20%、▼4つ以上では9.69%となり、基礎疾患が多いほど致死率は高くなった。

出典:厚生労働省、2021年
高齢者(65歳以上)に限ってみると、致死率は、▼慢性腎臓病が18.0%(保有率 9.56%)、▼COPD(慢性閉塞性肺疾患)が13.4%(保有率 6.65%)、▼がんが11.8%(保有率 12.8%)、▼免疫抑制が14.4%(保有率 4.86%)、▼糖尿病が8.15%(保有率 30.8%)、▼高血圧が7.03%(保有率 52.8%)、▼脂質異常症が5.99%(保有率 20.3%)、▼肥満が7.69%(保有率 3.22%)、▼喫煙が6.93%(保有率 15.7%)だった。

出典:厚生労働省、2021年
なお、50歳~64歳や40代などの比較的若い世代では、致死率は低いことも示された。たとえば、致死率は、▼慢性腎臓病(50歳~64歳 6.59%、40代 1.42%)、▼糖尿病(50歳~64歳 1.16%、40代 0.65%)となっている。
厚生労働省では、「誰を集中治療室で治療するかというトリアージ方針を決定する際など、医療現場での運用にデータを生かしてもらいたい」としている。
「COVID-19診療の手引き」を改訂

新型コロナウイルス感染症対策分科会(内閣官房) 医療機関向け情報(治療ガイドライン、臨床研究など)(厚生労働省)
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