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20年ぶりに脳・心臓疾患の労災認定基準を改正~「労働時間以外」の負荷要因を見直し
2021年09月29日

厚生労働省はこのほど脳・心臓疾患の労災認定基準を改正、9月15日から運用を開始した。働き方の多様化や職場環境の変化、医学の進歩などを踏まえ、20年ぶりの見直しとなる。
認定基準の対象疾病に「重篤な心不全」が追加されたほか、長期間の過重業務の評価では労働時間だけではなく、労働時間以外の負荷要因を総合評価して労災認定することを明確化した。
「過労死ライン」の基準に満たない場合でも総合的に評価
長時間労働などを原因とする脳・心臓疾患の労災認定は2001年に改正された基準で実施されてきた。しかし改正から20年がたち、社会変化や最新の医学的知見を踏まえた新しい基準が求められていた。そこで厚労省内の専門検討会での検証を経て、今年7月に報告書が取りまとめられたことを受け、認定基準の改正にいたった。
長時間労働に関する労災認定基準は、「発症前1カ月間に100時間」または「発症前2~6カ月間平均で月80時間」を超える時間外労働の場合、発症との関連性が強い、とされている。これがいわゆる「過労死ライン」で、改正後もこの基準は維持される。
一方、基準に満たない場合でも、同様の時間外労働や労働時間以外の負荷などとも総合的に評価し、労災認定することを明確化した。
労働時間以外の負荷要因としては、勤務間インターバルが短い勤務や身体的負荷を伴う業務などを評価対象として追加する。この改正で、残業時間のみで判断されやすかった労災認定の幅が広がることとなる。
また短期間の過重業務や異常な出来事については、「発症前おおむね1週間に継続して深夜時間帯に及ぶ時間外労働を行うなど過度の長時間労働が認められる」などの場合、発症との関連性が強いと判断できる、と明確化した。
対象疾病には「重篤な心不全」を追加。これにより心臓疾患の対象は心筋梗塞、狭心症、心停止(心臓性突然死を含む)、大動脈解離と合わせ5疾病となった。
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