ニュース

昨年より生活満足度は低下、コロナ前後での比較検討も「満足度・生活の質に関する調査報告書2021」より

 内閣府はこのほど「満足度・生活の質に関する調査報告書2021」を公表した。副題は「我が国のWell-beingの動向」としており、人々の生活満足度について多角的にとらえている。

 前回調査と比較することでコロナ前後の変化も見ることができる。

 内閣府は2019年から年1回、インターネットによる「満足度・生活の質に関する調査」を実施している。Well Being(※1)に関する代表的指標である「生活満足度」とともに、「家計・資産」「社会とのつながり」「健康状態」など13分野の満足度を調査し、満足度と生活の質について多角的・体系的にとらえているのが特徴。

 前回調査は2020年2月、新型コロナウイルス感染症の影響がまだ少ない時期に行われた。一方、第3回となる今回は累積感染者数が50万人に上り、一部地域では緊急事態宣言が発令されていた時期に実施している。そのため結果を比較することで、感染症前後の満足度や生活の質の変化を分析できる。

 また今回調査の回答者約5000人のうち約2900人は前回調査からの継続サンプルで実施されている。そのため同一回答者の満足度が1年間でどのように変化したのかや、どのような生活環境の変化があったのか、といった個人単位の追跡が可能と言う点でも貴重なデータになっている。

 結果を見ると生活満足度は前回調査に比べて低下し、特に女性は5.91点から5.79点へと低下が目立った。「健康状態」「社会とのつながり」「生活の楽しさ・面白さ」の満足度も女性の低下幅が大きく、感染への不安や友人たちとの交流の減少、気分が晴れない、などで困っていると答えた割合も男性より多かった。これらのことから、女性の生活満足度の方がコロナ禍で大きな影響を受けていることが分かる。

 地域別で見ると、東京圏が前回調査の5.86点から5.61点へと大きく下がり、地方圏の5.72点を下回った。東京圏では特に「社会とのつながり」や「生活の楽しさ・面白さ」での低下幅が大きかった。

 そのような中、友人たちとの交流頻度や、頼れる人の数が「減少した」と答えた人は生活満足度が低いことが分かった。一方、SNSの利用頻度が増えた、と答えた人は生活満足度も高かった。そのため社会のつながりと満足度には相関関係があると言える。

 同様に、仕事や通勤時間が減少した人はワークライフバランスに関する満足度が上昇▽新たに運動を開始した人は健康の満足度が上昇▽新たに趣味・生きがいができた人は生活の楽しさの満足度が上昇する、との傾向も見られた。

 ほかにも第2章では、2019年7月公表の「満足度・生活の質に関する指標群」について主観的指標を含める形で改定したものを示し、諸外国や地方公共団体の指標群例も紹介している。

 内閣府は「満足度・生活の質といったWell-beingに関する調査分析を生かしていくことは、ますます重要になっていくと考えられる」として、同報告書が活用されることを期待している。

(※1)「Well-being(ウェルビーイング)」
「幸福」を意味する言葉で、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する。世界保健機関(WHO)憲章の前文で「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態(well-being)にあることを指す」とされている。

[yoshioka]
side_メルマガバナー

「産業保健」に関するニュース

2024年04月30日
タバコは歯を失う原因に 認知症リスクも上昇 禁煙すれば歯を守れて認知症も予防できる可能性が
2024年04月25日
厚労省「地域・職域連携ポータルサイト」を開設
人生100年時代を迎え、保健事業の継続性は不可欠
2024年04月23日
生鮮食料品店が近くにある高齢者は介護費用が低くなる 自然に健康になれる環境づくりが大切
2024年04月22日
運動が心血管疾患リスクを23%低下 ストレス耐性も高められる 毎日11分間のウォーキングでも効果が
2024年04月22日
職場や家庭で怒りを爆発させても得はない 怒りを効果的に抑える2つの方法 「アンガーマネジメント」のすすめ
2024年04月22日
【更年期障害の最新情報】更年期は健康な老化の入り口 必要な治療を受けられることが望ましい
2024年04月22日
【肺がん】進行した人は「健診やがん検診を受けていれば良かった」と後悔 早期発見できた人は生存率が高い
2024年04月16日
塩分のとりすぎが高血圧や肥満の原因に 代替塩を使うと高血圧リスクは40%減少 日本人の減塩は優先課題
2024年04月16日
座ったままの時間が長いと肥満や死亡のリスクが上昇 ウォーキングなどの運動は夕方に行うと効果的
2024年04月15日
血圧が少し高いだけで脳・心血管疾患のリスクは2倍に上昇 日本の労働者8万人超を調査 早い段階の保健指導が必要
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶