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心臓の健康を守る生活スタイルで脳も守れる 高血圧を放置していると認知症リスクが上昇 若いうちから対策を

 認知機能の低下や認知症を予防したり遅らせるために、若いうちから高血圧の対策をすることが重要であることが明らかになった。

 「心臓の病気があると、認知症などの脳の病気を発症するリスクも高くなります。心臓と脳の健康には深い関連があるのです。若いうちから対策する必要があります」と、研究者は述べている。

高血圧を放置していると認知機能が低下

 高血圧は、記憶力・流暢さ・注意力・集中力などの認知機能が低下する危険因子だという研究を、米国心臓学会(AHA)が発表した。

 「高血圧が若い年齢ではじまった場合に、認知機能に対する悪影響はより重大だろうと、当初は予想していましたが、実際には高血圧が中年期以降にはじまった場合でも、認知能力の低下と関連していることが分かりました」と、ブラジルのミナスジェライス連邦大学医学部のサンジー バレト教授は言う。

 「また、成人期のあらゆる年齢で、高血圧を効果的に治療することで、認知能力の低下が進行するのを軽減・防止できることも分かりました。つまり、認知機能を良好に維持するために、あらゆる年齢で高血圧を予防・診断・治療する必要があるということです」としている。

 研究グループは、研究開始時の平均年齢が約59歳だったブラジルの7,063人の成人を、4年間追跡して調査した。血圧と認知機能を調べるテストの成績の関連について分析した。

 その結果、血圧降下薬を使用しておらず、最大血圧(収縮期血圧)が121~139mmHg、または最低血圧(拡張期血圧)が81~89mmHgと、血圧が高めの人は、認知能力の低下が加速しやすいことが分かった。

 さらに、高血圧があり、血圧コントロールが良好でないと、良好にコントロールされている人に比べ、記憶力と全体的な認知能力が大きく低下することも分かった。血圧が高い状態が短時間にとどまる場合でも、認知機能の低下に影響する可能性がある。

 「認知機能の低下や認知症を予防したり遅らせるために、若いうちから高血圧の対策をすることが重要であることが明らかになりました。生涯を通じて、健康的な血圧値を維持することが必要です」と、バレト教授は指摘している。

仕事の合間や自宅で5分間でできる運動
米国心臓学会(AHA)が公開しているビデオ

心臓の健康を守る生活スタイルは脳を守るためにも必要

 米国心臓学会(AHA)がまとめた「心臓病・脳卒中統計」2022年版によると、心臓病のリスクを高める生活スタイルは、脳卒中やアルツハイマー病などの認知症といった脳の疾患のリスクも高める。心臓と脳の病気の発症はともに世界的に増えている。

 脳卒中や脳血管障害を発症した後に、認知機能の低下や認知症を発症することも多い。血管の健康を維持することは、認知機能を良好に維持し、認知症を予防するためにも重要であることが、さまざまな研究で示されている。

 専門家によると、▼血圧をコントロールする、▼糖尿病などのある人は治療を受ける、▼健康的な体重を維持する、▼健康的な食事をする、▼運動を習慣として行う、▼タバコを吸わないといった健康的な生活スタイルは、心臓だけでなく脳を守るためにも必要だ。

 「心臓の健康を維持し改善することは、脳の健康のためにも重要です。心臓病や脳の血管疾患の危険因子を減らすことで、寿命を延ばし、より長いあいだ健康に生活していけるようになります」と、ハーバード大学医学部とベス イスラエル ディーコネス医療センターの心臓病専門医であるコニー ツァオ氏は言う。

心臓の健康を維持し改善することは、脳の健康のためにも必要

中年期に血圧が高いとリスクは5倍に 若いうちから対策が必要

 統計によると、心臓病による世界の死亡者数は、過去30年間(1990年~2020年)に66%増加した。それに対し、アルツハイマー病などの認知症による死亡者数は、184%も増加している。

 「心臓病は依然として世界で死因の1位になっていますが、脳の病気、とくにアルツハイマー病などの認知症も大幅に増加しています。心臓病を引き起こす危険因子の多くは、脳の健康にも関連しています」と、ツァオ氏は言う。

 139件の研究のメタ解析した研究によると、中年期に高血圧があると、実行機能の低下などの認知障害を経験する可能性が5倍高く、アルツハイマー病を発症する可能性が2倍高い。米国の成人のほぼ2人に1人(47%)が高血圧をもっている。

 また、最大42年間の追跡調査を行った縦断研究のメタ解析によると、肥満の人は認知症を発症するリスクが3倍高い。37件の前向き研究をメタ解析した研究によると、喫煙する習慣のある人は、アルツハイマー病や血管性認知症を発症するリスクが30~40%高い。

 さらに、2万4,801人を対象とした10件の前向き研究のメタ解析では、冠状動脈性心疾患があると、認知症・認知障害・認知機能低下などを発症するリスクが40%上昇することが示された。

心臓と脳の健康には深い関連がある

 「心血管疾患と同じように、アルツハイマー病などの認知症は、世界中で多大な経済的負担となっており、患者さんやご家族などの生活の質(QOL)を低下させる大きな原因になっています」と、ツァオ氏は指摘している。

 「心血管疾患があると、脳疾患を発症する可能性も高くなります。つまり、心臓と脳の健康には深い関連があるのです」。

 2019年には、米国では平均して36秒ごとに1人が心血管疾患で死亡している。また、3分30秒ごとに1人が脳卒中で死亡している。一方で、運動ガイドラインで推奨している運動量をみたしているのは、米国の成人の4人に1人(24%)しかいない。

 「多くの人に健康的な生活スタイルを選択してもらうと同時に、とくに心臓の血管の健康と認知障害や認知症の関連について、革新的な研究が求められています。加齢と血管の健康が、脳の健康と全般的な幸福にどのように影響するかを理解するために、新たな光を当てることが必要です」としている。

High blood pressure at any age, no matter how long you have it, may speed cognitive decline (米国心臓学会 2020年12月14日)
Hypertension, Prehypertension, and Hypertension Control Association With Decline in Cognitive Performance in the ELSA-Brasil Cohort (Hypertension 2020年12月14日)
What's good for the heart is good for the brain (米国心臓学会 2022年1月26日)
Heart Disease and Stroke Statistics - 2022 Update: A Report From the American Heart Association (Circulation 2022年1月26日)
[Terahata]

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