ニュース

腎臓病を防ぐ生活スタイル 健康的な食事と運動で予防 もうひとつ必要なことは?

 食事スタイルが健康的な人は、腎臓病リスクが30%減少するという、63万人を対象とした調査の結果を、米国腎臓学会(ASN)が発表した。

 16ヵ国の250万人以上を対象とした別の研究では、食事や運動などの生活スタイルが健康的な人は、腎臓病リスクが14~22%減少することも明らかになった。

腎臓の働きが徐々に低下していく慢性腎臓病

 腎臓の働きが徐々に低下していく「慢性腎臓病(CKD)」。適切な治療を行わず、最後まで進行してしまうと、透析などの治療によって腎臓の働きを代替しなければならなくなる。

 透析を新たに開始する原因を1年ごとに調べた調査では、もっとも多いのは糖尿病で43%を占めている。糖尿病は、血液中のブドウ糖の濃度が異常に高くなる病気。それにより、全身の血管にさまざまに障害が起こる。

 腎臓は、血液をきれいにするために細い血管が集まった"ろ過装置"ともいえる臓器だ。そのため、とくに障害があらわれやすく、毛細血管が球状に集まった「糸球体」が壊れていく。

 そうならないように、慢性腎臓病を検査で早期発見して、適切な治療を開始することが重要だ。腎臓病は末期になるまで自覚症状が出にくいことが多いので、手遅れにならないように、腎臓の検査を定期的に受けることが大切だ。

糖尿病の人はアルブミン尿の検査を

 健康診断(特定健診)では、タンパク尿または血液中のクレアチニン値の検査によって、慢性腎臓病を発見している。しかし、糖尿病が原因の慢性腎臓病は、それだけでは早期発見できない。なぜなら、糸球体は多量のタンパク尿が検出される以前から壊れはじめるからだ。

 腎臓病の早期の段階では、タンパクの主成分であるアルブミンが、ごくわずか尿に混じる。その「アルブミン尿」の検査が、早期発見には不可欠となる。

 アルブミン尿の検査は、健康診断では行われない。そこで糖尿病の人は、受診先の医療機関で、アルブミン尿の検査を3ヵ月から1年に1回受けることが推奨されている。糖尿病の治療を受けていて、アルブミン尿の検査を最近受けていないという人は、医師や医療従事者に尋ねてみよう。

健康的な食事によりアルブミン尿が減少

 オーストラリアのボンド大学の研究により、健康的な食事スタイルを続けることは、アルブミン尿の発生率が23%減少することと関連していることが明らかになった。

 健康的な食事により、腎臓病の進行を遅らせることができるのは知られていたが、発症の予防にも役立つかはよく分かっていなかった。そこで研究グループは、63万人以上の成人を平均10.4年間追跡して調査した18件の研究を解析した。

 健康的な食事スタイルは、野菜、全粒粉、豆類、ナッツ類、大豆、魚、低脂肪の乳製品、果物などを十分に摂る一方で、動物性脂肪の多い赤身肉や加工肉、塩分、糖分が多く含まれる高カロリーの食品や飲料などを摂り過ぎないものとした。

健康的な食事により腎臓病を予防

 その結果、健康的な食事スタイルにより、慢性腎臓病の発症リスクが30%減少することが示された。さらにそれは、腎臓病の初期の指標となるアルブミン尿の発生率が低いこととも関連していた。

 「各国で食事ガイドラインが出されており、DASHダイエットや地中海ダイエットなど、健康的な食事スタイルがあることが知られています」と、ボンド大学医療研究センターのジェイモン ケリー氏は述べている。

 「健康的な食事を摂ることには潜在的なベネフィットがあり、腎臓病だけでなく、2型糖尿病や高血圧などの慢性疾患の予防・改善につながり、さらには認知機能の低下、認知症、がんなどの深刻な病気の予防にも役立ちます」としている。

健康的な生活スタイルにより腎臓病リスクは14~22%減少

 スウェーデンのカロリンスカ研究所による別の研究では、食事や運動などの生活スタイルを健康的に変えることで、慢性腎臓病のリスクを減らせることが明らかになった。

 世界の成人の10%が慢性腎臓病を発症しており、腎臓病で亡くなる人も多い。しかし、これまでの食事や運動などについての患者へのアドバイスは、糖尿病や高血圧、心臓病など、腎臓の障害の重要な原因とされる他の病気を予防・改善するためのものだった。

 そこで研究グループは、生活スタイルをどう改善すると腎臓病のリスクを低下できるかを知るために、100件を超える研究を系統的にレビューした。最終的に、16ヵ国の250万人以上を対象に解析した。

 その結果、腎臓病のリスクと大きく関わるのは、「食事」「運動」「喫煙・アルコール」であることが明らかになった。

 ▼野菜を十分に食べる、▼塩分を控える、▼運動量を増やす、▼アルコール接種量を減らす、▼禁煙するといった推奨される生活スタイルを順守することで、慢性腎臓病のリスクを14~22%減らせることが分かった。

生活改善のために医療者とコミュニケーションを

 「慢性腎臓病の発症では、生活スタイルが大きな役割を果たしていることを発見しました。慢性腎臓病のリスクが高い人や、すでに発症している人にとっても、生活スタイルの改善はとても重要です」、同研究所の医学疫学統計部のフアン ジーザス カレロ教授は言う。

 「食事や運動を改善するために、個々の患者さんや予備群の人の生活スタイルや嗜好に合わせて、それぞれ実行しやすいようなアドバイスをする必要があります。医療者や保健指導者が、患者さんなどにより良い方法を伝えるために、話し合いやコミュニケーションをはかる必要があります」としている。

A healthy diet may help prevent kidney disease (米国腎臓学会 2019年9月24日)
Healthy Dietary Patterns and Incidence of CKD (Clinical Journal of the American Society of Nephrology 2019年10月)
Can Dietary Patterns Modify Risk for CKD? (Clinical Journal of the American Society of Nephrology 2019年10月)
Diet Patterns and Kidney Disease (Clinical Journal of the American Society of Nephrology 2019年10月)
These lifestyle choices can reduce the risk of chronic kidney disease (カロリンスカ研究所 2020年9月2日)
[Terahata]

「特定保健指導」に関するニュース

2022年02月08日
【新型コロナ】オミクロン株は病原性が低いが、ヒト集団内での増殖力は2~5倍高い
2022年02月08日
学生時代と高齢期に運動をした女性は骨粗鬆症のリスクが低い 運動が骨密度を高める
2022年02月08日
神戸市民38万人の要介護リスクを予測 AI(人工知能)を活用した保健・介護政策づくりに産学官民で取り組む
2022年02月08日
腎臓病を防ぐ生活スタイル 健康的な食事と運動で予防 もうひとつ必要なことは?
2022年02月08日
【新型コロナ】オミクロン株に感染した入院患者の6割はワクチンの2回接種済み やはり3回目接種が必要
2022年02月03日
【新型コロナ】オミクロン株に対してはワクチン3回目接種が必要 3回目接種後は抗体価は30倍以上に上昇
2022年02月01日
「家事」のアンチエイジング効果 脳を活性化でき足腰も強くなる 男性も家事をするべき
2022年02月01日
心臓の健康を守る生活スタイルで脳も守れる 高血圧を放置していると認知症リスクが上昇 若いうちから対策を
2022年02月01日
心不全の発症後に患者の9割は生活満足度が低下 早期発見が重要 心不全の患者と家族の実態調査
2022年01月31日
ウォーキングで糖尿病を予防 1000歩増やすだけでも効果 1日8000歩だと死亡リスクは51%減少
みんチャレの新しい禁煙
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(毎週木曜日)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶