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【国際女性デー】女性特有の健康課題を解決しパフォーマンスを向上 男女が理解しあいより良い職場環境を

 3月8日は、国連が定めた「国際女性デー(International Women's Day)」だった。世界中でジェンダー平等と女性のエンパワーメントの促進が呼びかけられた。

女性の2人に1人は生理による体調不良で仕事や生活に影響が

 帝人は、国際女性デーに合わせて、働く女性の健康にフォーカスし、「女性の身体の不調やデリケートゾーンの悩みについての調査」を実施。調査は、20代~40代の働く女性300人、20代~50代の働く日本人男性50人などを対象に、インターネットで行ったもの。

 女性の2人に1人は生理による体調不良で仕事や生活に影響を感じている一方で、75%は不調を感じても仕事を休んでおらず、生理休暇利用率はわずか4%という結果になった。

 さらに、女性の77%は、「仕事や生活に影響を与えないようにするためのフェムケアはしていない」と回答した。

 自由回答では、「女性だらけの会社だが、みんな不調があっても頑張っているから逆に休めない」、「生理による体調不良を訴えようとしても男性社員が理解してくれず、仮病のように捉えられる。それゆえに生理休暇を取得できる状況下にあったとしても申請しにくい」、「生理休暇が無給なので、有給扱いになると良い」といった声が寄せられた。

 一方、男性では、女性が生理中で心身が不調である場合、38%が「男性はもっと生理を理解するべき」「寄り添いたい」と思っており、54%が生理休暇の利用に賛成していることも分かった。

出典:帝人、2022年

男性と女性が互いに理解しあい、より働きやすい職場環境を

 調査について、東京大学医学部産婦人科学教室の原田美由紀准教授は、「女性特有の体調については知らない男性が多いですが、これらはとくに日本人男性が、女性の身体の仕組みや体調について学ぶ機会が極端に少ない環境が浮き彫りになる結果であり、予想通りと感じています」と、コメントしている。

 「フェムテック」(女性特有の健康問題をテクノロジーで解決しようという取り組み)という言葉は、日本でもここ数年、目にする機会が増えており、男性のあいだでも認知度は上がってきた。

 「最近は、フェムテックの概念が市民権を得つつある流れにともない、女性特有の体調変化についての情報発信が増えています。男性も、そして女性同士も、互いに理解しあうことで、より働きやすい職場環境が作られることを期待しています」と、原田准教授は述べている。

 「女性の身体を理解するために知っておくとよい4つのこと」として、次のことを挙げている。

(1) 女性の体の中では、生理のサイクルに応じてホルモンの状態が周期的に変化しています。これは女性と男性との大きな生物学的な違いです。

(2) この変化するホルモン状態により、とくに生理前から生理中にかけて、健康な女性でも体調不良や気分の不調が起こりやすくなります。

(3) また、ホルモンバランスやデリケートゾーンの状態は、生理のサイクルのみならずストレスや生活環境の変化などの影響を受けやすく、なかには仕事や生活に影響がでるほどの不調を感じる場合があります。

(4) 女性特有の悩みは、他の体調不良などに比べて、本人が言い出しにくい場合があるため、ふだんから男女関わらず体調が悪そうな方には、積極的な声がけができるような職場環境が望ましいです。

女性は更年期に高血圧になりやすい

 オムロン ヘルスケアは、国際女性デーに合わせて「更年期世代の女性の高血圧」について調査を実施。調査は、全国の高血圧患者(50代~60代の男女)1,036人を対象に行ったもの。

 女性も更年期以降は、高血圧になりやすいことを知っている女性は3人に2人に上るが、30代から血圧測定をしている女性は13%、高血圧を指摘されてから測り始める女性は40代では35%にとどまることが示された。

 一般に高血圧は、血液量が増加したり、動脈硬化などで血管壁が固くなるなど、血流への抵抗性が高まることで起こる。更年期の女性が高血圧になりやすくなるメカニズムに、女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が大きく関わっている。

 高血圧はサイレントキラーといわれるように、自覚症状がないままに進行し、日本人の死亡原因の2位3位を占める、心疾患や脳血管疾患の引き金となる。とくに女性では、若いころ低血圧だったという人でも、齢を重ねると高血圧になる可能性が増えるので注意が必要だ。

出典:オムロン ヘルスケア、2022年

若いうちから自分の血圧の変化に注目を

 「高血圧は男性のものと思われがちですが、女性ももちろん高血圧になります。更年期で血圧が不安定なとき、放置すると慢性化することもありますので、一時的なものと甘くみず、早期に受診をして対策することが大事です」と、女性ライフクリニック銀座・新宿伊勢丹の対馬ルリ子理事長は指摘している。

 「女性の性ホルモンであるエストロゲンは、血管を拡張させる働きがあり、若い女性の血圧は男性よりも低いことが多いです。しかし、閉経を迎える更年期になると、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が減り、血液中のコレステロールや血糖が増加し、血管の老化(動脈硬化)が始まります」。

 「更年期は自律神経も乱れやすく、血圧も乱高下します。若いうちから血圧測定を習慣化することで、更年期以降の健康も維持することが可能になります。ぜひ日頃から血圧に注目してください」としている。

 「男女ともに50歳を超えると半数以上が高血圧になるといわれています。男性は30歳から女性は40歳から家庭での血圧計測を開始することをお勧めします」と、日本高血圧協会の島本和明理事長はコメントしている。

女性特有の健康課題が解決されれば仕事のパフォーマンスは上昇

 SOMPOひまわり生命は、国際女性デーに合わせて「日本のFemtech(フェムテック)市場の可能性に関する調査」を実施。調査は、全国の20代~60代の働く女性1,000人を対象に行ったもの。

 女性のフェムテックの認知率は、昨年調査から上昇しているものの6%にとどまる。ただし、女性の体・健康の悩みのサポートを行うアプリやWebサービスの利用率は55%と高く、57%がフェムテックに期待している。

 働く女性の悩みとしては、「月経・生理、妊娠・出産、更年期よる身体面・精神面の不調」が多く挙げられた。とくに多かったのは、それぞれ月経では「生理痛」や「経血に関するトラブル」、妊娠・出産では「つわり」や「周囲の理解」、更年期では「全般的な不調」だった。

 働くうえでの女性特有の健康課題が解決されれば、現状を100とすると、仕事のパフォーマンスは平均42%上がると回答。女性特有の健康課題の対処に課題を感じている人は多く、それらに対する対策をとることができれば、現状よりパフォーマンスを発揮できるという期待が感じられる結果になった。

 解決を期待している「女性の体・健康の悩み」としては、「生活習慣管理」(41%)、「精神的ストレス」(41%)、「更年期・年齢によるホルモンのゆらぎ」(40%)が多く挙げられた。40代~50代では、ホルモンのゆらぎや生活習慣管理に関する悩みが増える傾向がある。

 すでに利用しているフェムテック関連サービスは、「月経・生理にまつわる身体的な悩み」(10%)が多く、有料サービス利用率は「体型管理」「生活習慣管理」「精神的ストレス」対策で高めになった。

出典:SOMPOひまわり生命、2022年

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