ニュース
【子宮頸がん】国際HPV啓発デーにHPVワクチンの有効性・安全性を啓発 積極的接種の勧奨が再開
2022年03月08日

子宮頸がんはワクチンや検診で予防できる。3月4日は「国際HPV啓発デー」だった。HPV(ヒトパピローマウイルス)と予防ワクチンについて、啓発活動が展開された。
子宮頸がんのほとんどはHPVの感染が原因
3月4日は「国際HPV啓発デー」だった。国際パピローマウイルス学会が毎年開催している、HPV(ヒトパピローマウイルス)について広く知ってもらうための、世界的な啓発キャンペーンだ。 HPVは、主に性交渉によってうつるウイルスで、性器やその周辺に感染する。性交渉の経験のある女性のおよそ8割が、生涯で一度はHPVに感染すると言われている。つまり、男女ともに誰でも感染するリスクのあるウイルスだ。 子宮頸がんを予防するためのHPVワクチンは、2013年に無料で受けられる定期接種の対象になった。しかし同年、厚生労働省は積極的な接種の勧奨を中止した。 その結果、接種対象者の接種率は、積極的勧奨が停止した世代では1%以下に激減した。その結果、日本では年間約3,000人の女性が、子宮頸がんにより命をおとしている。 子宮頸がんとは、ほとんどはHPVの感染が原因となる、子宮の入り口にできるがん。若い世代の女性でも増加しており、子宮を失うことになったり、命を落としかねない病気だ。 20代後半から患者数が増え、日本では毎年1万人以上がかかり、年間約3,000人の女性が亡くなっている。若い母親が子供を残して亡くなるケースもあり、「マザーキラー」とも呼ばれている。 関連情報国際HPV啓発デーにHPVワクチンの啓発動画を放映
子宮頸がんは、HPVワクチンの接種と子宮頸がん検診により、ほぼ予防することができるが、そのことは十分に認知されていない。 HPVワクチンの積極的接種の勧奨は、2022年4月より再開することが決まった。小学校6年生~高校1年生相当の学年までの女の子は、無料で接種を受けることができる。それ以外の女性は、自費での接種となる。 HPVワクチンの接種を受けると、HPVに対する抗体が体内でつくられ、HPVの感染を防ぎ、子宮頸がんなどの発症リスクを低下できる。 HPVワクチンの有効性と安全性については多くの研究で確かめられており、十分な科学的エビデンスが国内外で蓄積されている。すでに接種が定着している海外では、日本で報道されたようなワクチン接種による「多様な症状」の増加は報告されていない。 そこで、HPVについての情報を広く発信している「一般社団法人HPVについての情報を広く発信する会」(みんパピ!みんなで知ろうHPVプロジェクト、代表理事:稲葉可奈子)は、国際HPV啓発デーに、渋谷ハチ公前広場に位置する巨大屋外広告ビジョンで、HPVワクチンの啓発動画を放映した。 同会は、HPV感染症に関する正確な知識を伝え、科学的な根拠にもとづきHPVワクチンの有効性と安全性について啓発する活動をするために、日米の医療従事者・公衆衛生の専門家によって設立された。産婦人科医や小児科医などの医療従事者、自治体職員、学校の先生、市民などとともに、HPVのことを学んでいく仕組み作りをしている。
HPVってなに?【みんパピ!× 国際パピローマウイルス学会】
HPVのリスクと予防について【みんパピ!× 国際パピローマウイルス学会】
HPVとがんについて【みんパピ!× 国際パピローマウイルス学会】
※ビデオはいずれも2021年に公開が開始されたもの。
子宮頸がんはワクチンや検診で予防できる
啓発動画は、国際HPV啓発デーに向けて国際パピローマウイルス学会が制作し、同会が翻訳・吹き替えしたもの。HPVが女性の子宮頸がんや男性の中咽頭がんなど、さまざまながんの原因となること、さらにはワクチンや検診でこれらを予防できることを啓発している。 「若者の街である渋谷で、HPV感染症・HPVワクチンについての啓発動画を放映することで、若い世代に予防できるがんの知識を提供することを目指します」と、同会では話している。 さらには、新型コロナワクチンの情報提供プロジェクトである「こびナビ(CoV-Navi)」「コロワくんサポーターズ」と合同で、YouTube Liveを開催。メディカルノートと合同で、オンラインイベント「Medical Note Live with みんパピ! インフルエンサー×専門家:みんなが聞きたいHPVワクチンと女性のヘルスケア」も開催した。 各界のインフルエンサーと子宮頸がん・HPVワクチンの専門家との対話を通じて、HPVワクチンの理解を深めることを目指している。 同会は、2020年にクラウドファンディングを実施し、得られた資金をもとに、全国772の医療機関に10万8000枚のフライヤーを配布したり、全国の中学校・高校にHPVワクチンに関するポスターを配布するなどの、積極的な活動を展開している。2021年に実施したオンライン署名活動では、得られた5万5,616筆の署名を田村憲久前厚生労働大臣に提出した。
厚生労働副大臣の三原じゅん子さんとみんパピ!がHPVワクチンについての緊急会談
子宮頸がんで妻を亡くした男性がみなさんに知って欲しいこと
一般社団法人 HPVについての情報を広く発信する会 (みんパピ!みんなで知ろうHPVプロジェクト)
国際HPV啓発デー (国際パピローマウイルス学会)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2022 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「特定保健指導」に関するニュース
- 2022年03月24日
- 【新型コロナ】後遺症が疑われる人は34% どんな人に後遺症が出ているのか? 広島県調査
- 2022年03月23日
- 高齢者が介護助手として働くと介護スタッフの身体・精神の負担感の緩和につながる 高齢期の就労は「三方よし」
- 2022年03月22日
- 【新型コロナ】回復後もさまざまな後遺症が ウォーキングなどの運動で後遺症の悪循環を断ち切る
- 2022年03月22日
- 【新型コロナ】「共食」の頻度が少ない高齢者に体重減少リスク 共食の機会を増やすことが健康につながる
- 2022年03月22日
- 体を動かさないと筋肉が減少するメカニズムを解明 運動不足による悪循環 筋肉減少を防ぐ薬を開発
- 2022年03月22日
- 睡眠は1人ひとり異なる 睡眠を16種類のパターンに分類 新しい睡眠健診や治療の開発へ
- 2022年03月15日
- 【世界腎臓デー】10人に1人が腎臓病 正しい知識が必要 腎臓を守るための「5つの法則」
- 2022年03月15日
- 食事を少し減らし運動を少し増やしただけで肥満は改善できる とにかく行動をすることが大切
- 2022年03月15日
- 長時間の座位が血栓症リスクを上昇 低い着圧ではきやすい「弾性ストッキング」により血流低下を防げる
- 2022年03月14日
- 働く女性の健康意識調査 PMS(月経前症候群)や更年期の症状はキャリアにも影響 女性が活躍できる社会を実現
最新ニュース
- 2022年06月23日
- 【オピニオン公開中】高齢者の特性に配慮した「エイジフレンドリー職場」を目指して
- 2022年06月22日
- 更年期障害の症状を感じている女性は40代・50代では3割 医療機関を受診した女性は1割未満
- 2022年06月20日
- 45歳未満の肥満気味の女性は乳がんリスクが低い しかし閉経後の肥満は乳がんリスクを高める
- 2022年06月20日
- 【新型コロナ】スポーツ観戦での声出し応援は感染リスクを高める? 「十分に対策していれば安全」と結論
- 2022年06月20日
- 【新型コロナ】コロナ禍で自殺者が増加 若い世代や女性で顕著 追い詰められた人に支援が届いていない可能性
~保健指導・健康事業用 教材~
-
アイテム数は3,000以上! 保健指導マーケットは、健診・保健指導に役立つ教材・備品などを取り揃えたオンラインストアです。 保健指導マーケットへ