健康経営優良法人2022を決定〜大規模法人・中小規模法人共に大幅増加 取り組み事例も紹介
今回は大規模法人部門で2,299法人、中小規模法人部門で12,255法人が認定を受けている(令和4年3月9日時点)。両部門とも昨年度より大幅な増加となった。
そのような中で、健康経営優良法人認定制度は、健康経営に取り組む優良な法人をロゴマークの付与などで「見える化」し、社会的な評価を受けられるようにするもの。2016年度に経済産業省が創設した制度で、日本健康会議が認定を行っている。
第6回となる今回は、「大規模法人部門」で2,299法人が認定を受け、昨年度の1,801法人より増加。同様に「中小規模法人部門」でも認定数が12,255法人にのぼり、昨年度の7,934法人に比べて大きく上回っている。大規模法人部門の上位法人には「ホワイト500」を、中小規模法人部門の上位法人には「ブライト500」の冠が付加された。
例えば、健康状態に関わらず全従業員に対して疾病の発生予防を実施している事例として、大垣タクシー株式会社(岐阜県大垣市、運輸業、従業員22人)の『アンケート結果をもとに「食生活習慣の改善」に注力』を紹介している。
同社が従業員を対象に健康習慣アンケートを取ったところ、「食べ物に関して健康を意識しているか」という問いに対しては「6カ月以内に健康づくりを始める意思がない」という回答が全体の25%を占め、他の項目より割合が高かった。
そのため、この項目を課題とし、現状の25%から10%まで割合を減少させることを目標に設定。毎月1回の給与支給日に配布している健康経営に関する情報提供において、定期的に食生活に関する情報を掲載したり、食事・栄養管理支援アプリを全従業員に無償で配布したりして食べ物への関心を高め、食習慣の継続的な改善を促した。
これらの試みが功を奏し、施策を開始して10カ月後に再度アンケートを取ったところ、同項目の割合は13%に減少。食生活の改善を通して、健康を意識する従業員が増えたことが明らかになった。
一方、「休職後の職場復帰、就業と治療の両立」に取り組む事例として、株式会社シニアライフアシスト(香川県高松市、福祉、従業員102人)の「働きながらがんの長期治療ができる職場づくり」を紹介。
同社は、がんに罹患した社員がいたものの、長期の治療と仕事を両立できる社内制度がなかった。そのため両立支援コーディネーターを配置し、長期通院に利用できる有給の治療休暇制度(正社員は年間10日、パートタイムは勤務日数に応じた比例付与)を整備した。
両立支援コーディネーターには、基礎研修を受講した健康づくり担当者が就任。就業規則に「治療休暇制度に関する規程」を追加し、全社員に周知した。また同時に40歳以上には健診休暇制度なども導入した。
その結果、がん治療を継続している社員が治療休暇制度を利用。両立支援コーディネーターが主治医らから意見を聞くなどしつつ、治療と仕事を両立していくうえで働きやすい環境づくりに取り組んでいる。
事例集の最後では、国や地方自治体による健康経営優良法人に対するインセンティブと支援策もまとめている。HPからもダウンロード可能。
「産業保健」に関するニュース
- 2024年04月30日
- タバコは歯を失う原因に 認知症リスクも上昇 禁煙すれば歯を守れて認知症も予防できる可能性が
- 2024年04月25日
-
厚労省「地域・職域連携ポータルサイト」を開設
人生100年時代を迎え、保健事業の継続性は不可欠 - 2024年04月23日
- 生鮮食料品店が近くにある高齢者は介護費用が低くなる 自然に健康になれる環境づくりが大切
- 2024年04月22日
- 運動が心血管疾患リスクを23%低下 ストレス耐性も高められる 毎日11分間のウォーキングでも効果が
- 2024年04月22日
- 職場や家庭で怒りを爆発させても得はない 怒りを効果的に抑える2つの方法 「アンガーマネジメント」のすすめ
- 2024年04月22日
- 【更年期障害の最新情報】更年期は健康な老化の入り口 必要な治療を受けられることが望ましい
- 2024年04月22日
- 【肺がん】進行した人は「健診やがん検診を受けていれば良かった」と後悔 早期発見できた人は生存率が高い
- 2024年04月16日
- 塩分のとりすぎが高血圧や肥満の原因に 代替塩を使うと高血圧リスクは40%減少 日本人の減塩は優先課題
- 2024年04月16日
- 座ったままの時間が長いと肥満や死亡のリスクが上昇 ウォーキングなどの運動は夕方に行うと効果的
- 2024年04月15日
- 血圧が少し高いだけで脳・心血管疾患のリスクは2倍に上昇 日本の労働者8万人超を調査 早い段階の保健指導が必要