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「加熱式タバコ」による受動喫煙は新たな社会問題に 10人に1人以上がほぼ毎日曝露 急激に増加

 東北大学は世界ではじめて、加熱式タバコによる一般住民の受動喫煙への曝露状況の実態を明らかにした。

 加熱式タバコによる受動喫煙への曝露は2.5倍と急速に増加しており、2020年には10.8%におよんだ。

 加熱式タバコは急速に普及しており、20~69歳の一般住民にとっては受動喫煙のおそれが高まっている。

 受動喫煙への曝露リスクには、教育歴に応じた格差があり、教育歴が低ければ低いほどが高いことも確認した。

急速に普及している加熱式タバコにも受動喫煙による害がある?

 近年になって、加熱式タバコが男性、若年層、高所得層を中心に急速に普及し、2019年時点で日本の全人口の11.3%が、加熱式タバコを使用していると推定されている。

 加熱式タバコは、タバコ葉を加熱して蒸気を発生させる製品であり、副流煙(火がついたタバコの先端から出る煙)はない。しかし、受動喫煙は吐き出された主流煙と副流煙が混ざったものと定義されており、「副流煙がない」ことは「受動喫煙がない」ことと同じではない。

 紙巻タバコと比較して、加熱式タバコは一部の有害物質の含有量が少ないものの、加熱式タバコによる受動喫煙への曝露が、喉の痛みや気分不良を引き起こすことが報告されている。

 しかし、一般住民を対象とした加熱式タバコによる受動喫煙への曝露についてはよく分かっていない。

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加熱式タバコによる受動喫煙への曝露が急激に増加 10人に1人以上

 そこで東北大学は、2017年~2020年の調査により、加熱式タバコによる受動喫煙への曝露は急増傾向にあり、その曝露リスクで教育歴に応じた格差があることを明らかにした。

 研究グループは、20〜69歳の男女約5,000人を追跡し、加熱式タバコによる受動喫煙への曝露割合の推移と、その曝露リスクの社会経済的状況(教育歴)による違いを調べた。

 その結果、加熱式タバコによる受動喫煙への曝露は急増傾向にあることが明らかになった。また、加熱式タバコによる受動喫煙への曝露リスクには、教育歴に応じた格差があることが確認された。

 加熱式タバコによる受動喫煙への曝露割合は、2017年~2020年に、一貫して増加傾向を示した(2017年:4.5%、2018年:8.0%、2019年:9.2%、2020年:10.8%)。2020年には、10人に1人以上が、加熱式タバコによる受動喫煙への曝露を体験している。

 また、女性、高教育歴群(大学/大学院卒)で、一貫して曝露割合が低い傾向が認められた。さらに低教育歴群(中学/高校卒)は、高教育歴群(大学/大学院卒)と比べて、加熱式タバコによる受動喫煙への曝露リスクが60%高いことが明らかになった。

 研究は、東北大学大学院歯学研究科の玉田雄大特別研究学生と竹内研時准教授らのグループによるもの。研究成果は、国際学術雑誌「Nicotine & Tobacco Research」に掲載された。

性別ごとの加熱式タバコによる受動喫煙への曝露経験割合の推移

教育歴ごとの加熱式タバコによる受動喫煙への曝露経験割合の推移

出典:東北大学大学院歯学研究科、2022年

タバコの曝露リスクには収入や教育歴による格差がある

 日本では、MPOWER(世界保健機関が定めるタバコ対策で重要な6つの政策)のPにあたる「受動喫煙からの保護」を強化するために、健康増進法が改正させ、2020年4月から全面施行された。これにより、紙巻タバコは職場や公共の場所などの屋内空間で原則禁煙化が義務付けられた。

 一方で、加熱式タバコは、加熱式タバコ専用喫煙室内では飲食が可能となるなど、紙巻タバコとは異なる特別扱いとされた。

 紙巻タバコによる受動喫煙への曝露には、収入や教育歴などの社会経済状況に応じた格差があることが報告されているものの、加熱式タバコによる受動喫煙に関してはほとんど報告されていない。

 そこで研究グループは、「JASTIS(The Japan "Society and New Tobacco" Internet Survey)」研究の一環として、インターネット調査を実施した。研究では、2017年に実施された調査からJASTIS研究に参加し、有効な回答が得られた、20~69歳の男女5,221人を対象とした。

 対象者に対して、2018年~2020年に毎年1回の追跡調査を実施し、2017年~2020年で、加熱式タバコによる受動喫煙への曝露割合の推移を調べた。

 加熱式タバコによる受動喫煙への曝露は、「あなたはこの1ヵ月間に自分以外の人が使っていた加熱式タバコ(アイコス・プルームテック・グローなど)の蒸気やミストを吸う機会がありましたか」という質問に、「ほぼ毎日」と回答した場合を、加熱式タバコによる受動喫煙への曝露ありと定義した。

 インターネット調査は、調査会社が事前に募集した調査協力者集団に依頼し、その一部が調査に回答するもの。そのため、調査協力者は年齢や職業、教育歴などの点で、同研究で関心のある日本の一般住民と比較すると、偏りのある集団であることが想定された。

 そこで研究では、日本を代表する一般住民を対象に実施した調査(2016年国民生活基礎調査)データを併合し、統計学的な手法(逆確率重みづけ)を用いることで、インターネット調査であることによるデータの偏りを補正した。

加熱式タバコによる受動喫煙は新たな社会問題に

 研究は一般住民で、加熱式タバコによる受動喫煙への曝露割合の推移を明らかにした世界初の研究となる。加熱式タバコは販売開始から日が浅く、その有害性に関してはいまだに不明な点が多く残されている。

 「20~69歳の全人口の10%が、加熱式タバコによる受動喫煙へ毎日曝露されているという結果から、加熱式タバコによる受動喫煙が、新たな社会問題として台頭し始めていることが示唆されました」と、研究グループでは述べている。

 「研究結果は、日本で加熱式タバコによる受動喫煙への曝露割合の推移を把握し、加熱式タバコによる受動喫煙防止に向けた施策立案の重要な基礎資料になると考えられます」としている。

東北大学大学院歯学研究科 国際歯科保健学分野
東北大学大学院歯学研究科 歯学イノベーションリエゾンセンター
Secondhand Aerosol Exposure From Heated Tobacco Products and Its Socioeconomic Inequalities in Japan: The JASTIS Study 2017-2020 (Nicotine & Tobacco Research 2022年3月21日)
[Terahata]

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