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更年期障害の症状を感じている女性は40代・50代では3割 医療機関を受診した女性は1割未満
2022年06月22日

厚生労働省は、更年期の健康課題や疾患の予防・健康づくりへの支援のありかたを検討することを目的に、更年期症状についての実態やリテラシー、受診状況や日常生活への影響、支援ニーズなどを明らかにするための全国調査を実施した。
更年期症状が、家事・外出・育児・介護・付き合い・社会活動などに影響していると感じている人は少なくないが、医療機関を受診して治療を受けている人は少ない実態が浮き彫りになった。
更年期の健康課題や支援のありかたを全国調査
厚生労働省は、更年期の健康課題や疾患の予防・健康づくりへの支援のありかたを検討することを目的に、更年期症状についての実態やリテラシー、受診状況や日常生活への影響、支援ニーズなどを明らかにするための調査を実施した。 調査の対象となったのは、全国の20歳~64歳の女性2,975人、男性2,025人、合計5,000人(いずれも回収数)で、2022年3月に実施した。 更年期症状は、更年期にあらわれるさまざまな症状で、ほてり・のぼせ・発汗・動悸・頭痛・関節痛・冷え・疲れやすさなどの身体症状、気分の落ち込み・意欲低下・イライラ・不眠などの精神症状があり、日常生活に支障をきたす状態をさす。 なお、男性の更年期障害については、おおむね40歳以降に男性ホルモン(テストステロン)の減少により、女性更年期障害と類似した症状を呈するが、病態が複雑で、まだ十分に解明されていない。更年期障害の可能性のある人は多いが、診断はされたのは少数
その結果、「医療機関への受診により、更年期障害と診断されたことがある/診断されている」人の割合は、40歳代女性で3.6%、50歳代女性で9.1%と、いずれも1割に満たなかった。 一方、更年期障害の可能性があると考えている女性の割合は、40歳代で28.3%、50歳代で38.3%と高くなった 男性では、「医療機関への受診により、更年期障害と診断されたことがある/診断されている」人の割合は、40歳代男性で1.5%、50歳代男性で1.7%と少数だった。 一方で、更年期障害の可能性があると考えている男性の割合は、40歳代で8.2%、50歳代で14.3%だった。
更年期障害を気にしていても医療機関を受診した人は男女とも少ない

出典:厚生労働省、2022年
更年期症状の影響を感じていても医療機関を受診しない人が大多数
更年期症状を自覚しはじめてから医療機関を受診するまでの期間について、「すぐに受診した(1か月未満)」「1か月程度してから」「3か月程度してから」と回答した人の割合は、40歳代・50歳代で男女とも約1割と少なかった。 「受診していない」と回答した人の割合は、40歳代・50歳代で男女とも約8~9割を占めた。 さらに、40歳代・50歳代で、更年期症状がひとつでもある人のうち、家事・外出・育児・介護・付き合い・社会活動などで、影響が「とてもある」「かなりある」人の割合は約1割、「少しある」人を加えると約3割に上った。 「とてもある」「かなりある」を合わせた割合は、女性では40代で11.7%、50代で6.9%、男性では40代で10.6%、50代で8.4%だった。「少しある」も合わせると、女性では40代で33.9%、50代で27.1%、男性では40代で30.6%、50代で25.1%だった。
更年期症状の影響を感じている人は3割に上るが、医療機関を受診していない

出典:厚生労働省、2022年
男性は更年期障害についてあまり認知していない
女性では、「更年期に、女性ホルモンの減少による月経周期の乱れ、自律神経の乱れによって、個人差はあるが、不調などが起きること」について、「よく知っている」と回答した人の割合は、20~30歳代で約2割だったが、40歳代では約4割、50歳代以降では約5割に上った。 男性では、60歳代で約2割、他の年代で約1割と少なかった。 また、「男性にも更年期にまつわる不調があること」について知っている40歳代以降の女性の割合は約3~5割、40歳代以降の男性の割合は約1~2割で、男女で差があることが分かった。
男性は女性の更年期障害についてあまり理解していない

出典:厚生労働省、2022年
更年期についての情報を求めている人は多い
更年期に入る前に、更年期についての情報を求めていた人は全年代で多く、とくに男女とも40歳代・50歳代で高い。 女性で、更年期についての情報としてとくに要望が高いのは、「主な更年期症状に対する対処法」「主な更年期症状の内容や程度」「医療機関(婦人科等)を受診する目安」「受診すべき診療科の情報」など。
女性が更年期に入る前に欲しかった情報

出典:厚生労働省、2022年
「更年期症状・障害に関する意識調査」について (厚生労働省)
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