ニュース

「糖尿病カードシステム 腎症重症化予防セット」の提供を開始 自治体の保健師・管理栄養士向け 日本糖尿病協会

 日本糖尿病協会(理事長:清野裕・関西電力病院総長)は、糖尿病医療現場で患者支援に活用されている「糖尿病カードシステム」に、糖尿病腎症重症化予防に取り組む地方自治体の保健師・管理栄養士が活用できるセットを新たに追加し、提供を開始した。

ニーズに応じた糖尿病医療を提供するツール「糖尿病カードシステム」

 「糖尿病カードシステム」は、多様な患者ニーズに応じた糖尿病医療をタイムリーに提供する標準的支援ツールとして、日本糖尿病協会が2016年に開発したもの。同協会は全国の医療機関での普及を進めている。

 このカードシステムは、糖尿病の治療を100のテーマに分類した「カード」と、そのテーマを平易に解説した「リーフレット」がセットになっている。カードシステムの利用により、医療者は、患者の病状に応じたカードを選択し、テーラーメイドな治療計画を立案することができる。

 また、患者支援ではカードに対応する説明リーフレットを用いるが、個々の患者に必要な医療情報をリーフレットに追記して渡すことで、より個別化された支援を実現し、患者当人の疾患に対する理解が深まり、知識の定着を期待できる。

 カードシステムを診療に活用するには、同協会主催の研修会への参加が必要となる。これまでに約3,000人が参加し、約750施設での利用が進んでいるという。

糖尿病性腎症重症化予防に取り組む保健師・管理栄養士向け

 新たに追加された「腎症重症化予防セット」は、自治体の保健師・管理栄養士が住民の保健指導に活用することを目的に、カードシステムの100テーマの中から、18種類の治療テーマが入った「受診勧奨セット」と29種類が入った「地域連携セット」をまとめたもの。

 「受診勧奨セット」は、自治体の特定健診で受診勧奨の必要性がある人への支援、「地域連携セット」は、かかりつけ医から保健指導を勧められた人への支援に適したカードが集められている。カードの項目は、糖尿病治療の基本、糖尿病腎症の解説、透析予防の食事・運動など。

 糖尿病腎症は、人工透析の導入原因疾患の1位となっており、透析に係る医療費は約480万円/人/年に上り、国は健康寿命延伸と医療費適正化の観点から、2016年に「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」を策定した。自治体向け支援策として、国保ヘルスアップ事業や保険者努力支援制度などを設定し、地域の糖尿病腎症重症化予防の取り組みを支援している。

 各自治体では、住民の特定健診・特定保健指導を強化し、「健診結果から抽出された医療機関未受診者への受診勧奨」と、「通院中の患者で腎症重症化リスクが高いと判断された人に対するかかりつけ医と連携した保健指導」の2本柱で取り組みを行っている。

受診勧奨セット

地域連携セット

出典:日本糖尿病協会、2022年

全国健康保険協会などの保険者の保健師・管理栄養士も利用可能

 同協会のカードシステム・腎症重症化予防セットは、この受診勧奨とハイリスク患者支援に特化したカードとリーフレットがセットになっており、住民の保健指導を担う保健師・管理栄養士が活用することで、医療機関との連携による継続的支援が容易になり、腎症重症化予防につながることが期待されるとしている。

 なお、腎症重症化予防セットは、全国健康保険協会などの保険者の保健師・管理栄養士の利用も可能となっている。

 セットを導入するには、研修動画を視聴後、日糖協に導入申込みをする必要がある。導入費用は、各自治体での被保険者数によって3万円~9万円と変動する。なお、腎症重症化予防セットの普及には、協和キリンの協力を得ている。

出典:日本糖尿病協会、2022年

公益社団法人 日本糖尿病協会
[Terahata]
side_メルマガバナー

「特定保健指導」に関するニュース

2025年02月25日
【国際女性デー】女性と男性はストレスに対する反応が違う メンタルヘルス対策では性差も考慮したアプローチを
2025年02月25日
【国際女性デー】妊娠に関連する健康リスク 産後の検査が不十分 乳がん検診も 女性の「機会損失」は深刻
2025年02月25日
ストレスは「脂肪肝」のリスクを高める 肥満やメタボとも関連 孤独や社会的孤立も高リスク
2025年02月25日
緑茶を飲むと脂肪肝リスクが軽減 緑茶が脂肪燃焼を高める? 茶カテキンは新型コロナの予防にも役立つ可能性が
2025年02月17日
働く中高年世代の全年齢でBMIが増加 日本でも肥満者は今後も増加 協会けんぽの815万人のデータを解析
2025年02月17日
肥満やメタボの人に「不規則な生活」はなぜNG? 概日リズムが乱れて食べすぎに 太陽光を浴びて体内時計をリセット
2025年02月17日
中年期にウォーキングなどの運動を習慣にして認知症を予防 運動を50歳前にはじめると脳の健康を高められる
2025年02月17日
高齢になっても働き続けるのは心身の健康に良いと多くの人が実感 高齢者のウェルビーイングを高める施策
2025年02月12日
肥満・メタボの割合が高いのは「建設業」 業態で健康状態に大きな差が
健保連「業態別にみた健康状態の調査分析」より
2025年02月10日
【Web講演会を公開】毎年2月は「全国生活習慣病予防月間」
2025年のテーマは「少酒~からだにやさしいお酒のたしなみ方」
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶