ニュース

中年女性の肥満を予防・改善するための新しいガイドライン 保健指導は女性にも必要 早期の介入が効果的

 40歳~60歳の女性を対象とした、肥満を予防・改善するための新しいガイドラインが、米国で発表された。

 男性だけでなく、女性も加齢にともない、体重は増えやすい。米国では、中年女性の3分の2以上が過体重か肥満だという。

 新しいガイドラインは、女性が過体重や肥満になるまで待つのではなく、健康的な体重のときに女性向けのカウンセリングを行うことで、体重が増え過ぎるのを防ぎ、体重管理を支援することを重視している。

 ガイドラインは、米国産科婦人科学会(ACOG)などが実施している「女性予防サービスイニシアチブ(WPSI)」により、約5万2,000人の中年女性を対象とした臨床研究にもとづき作成された。

中年女性の肥満に対策するための新ガイドライン

 40歳~60歳の女性を対象とした、深刻な病気につながるおそれのある肥満や、不健康な体重増加を予防・改善するための、新しいガイドラインが米国で発表された。

 新しいガイドラインは、中年女性の体重管理に、医師を含めた医療提供者で取り組み、全国の保健グループと連携することを推奨している。

 男性だけでなく、女性も加齢にともない、体重は増えやすい。米国では、中年女性の3分の2以上が過体重か肥満だという。

 「女性は一般的に、中年期に体重が増加するリスクが高いので、肥満とそれに関連する深刻な健康上の問題を防ぐことを目的とした早期の介入がとても重要になります」と、シダーズ-シナイ医療センター産婦人科のキンバリー グレゴリー氏は言う。

 グレゴリー氏は、女性のための医療の質と行動の改善について研究しており、このガイドラインの策定の責任者を務めた。

女性は中年期に体重を年間に0.7kg増やしている  ガイドラインは、米国産科婦人科学会(ACOG)などが実施している「女性予防サービス イニシアチブ(WPSI)」により、約5万2,000人の中年女性を対象とした、7件のランダム化比較試験を含む臨床研究のレビューにもとづき作成された。

 イニシアチブには、米国保健社会福祉省(HHS)や、保健資源サービス管理局も協力しており、女性の生涯にわたる健康を支援している全国の医療専門家や、患者やその家族なども参加している。

 研究によると、女性は中年期に体重を、年間に平均して約0.7kg(1.5ポンド)増やしており、体格指数(BMI)が上昇し、過体重や肥満に移行するリスクが高くなる。

 新しいガイドラインは、女性が過体重や肥満になるまで待つのではなく、健康的な体重のときに女性向けのカウンセリングを行うことで、体重が増え過ぎるのを防ぎ、体重管理を支援することを重視している。

 米国疾病管理予防センター(CDC)によると、肥満は米国で蔓延しており、成人の42%は体格指数(BMI)が30を超える肥満だという。目標とすべき健康的なBMIは18.5~25で、BMI25~30は過体重と判定される。

保健指導

1人ひとりの女性の生活スタイルを尊重 無理のない計画を

 「女性は中年期を過ぎると、更年期や加齢にともなう生理的変化により、重度の肥満になるリスクが高まります」と、同センター外科で肥満医学を研究しているアマンダ ベラスケス部長は言う。

 「大幅な体重増加は、心血管疾患、高血圧、2型糖尿病、脂肪肝疾患、さらには子宮体がん・卵巣がん・乳がんなど、さまざまな部位のがんを発症するリスクを上昇させます。そのため、BMIが標準から過体重の中年女性を対象に、早期から体重増加を抑える必要性について的確なアドバイスを提供することが重要となります」としている。

 カウンセリングは、健康的な食事と運動の習慣化について、1人ひとりの女性の好みや生活スタイルを尊重しながら、個別に話しあいながら支援することを重視している。

 食事と運動などの生活スタイルの改善だけでなく、▼仕事など社会経済的状態、▼慢性的なストレスやトラウマなどの要因についても配慮する必要がある。また、▼体重に関する偏見、▼身体イメージに関する文化的傾向、▼身体組成の個人差、▼運動・身体活動のための安全な場所へのアクセスのしやすさ、▼余暇時間の過ごし方、▼健康食品へのアクセスのしやすさ、▼育児や介護、家事などにも配慮した内容になっている。

生活スタイルの改善は早いほど良い でも開始が遅過ぎることもない

 「これまでの多くの研究と推奨事項は、すでに過体重や肥満になっている女性に、肥満の弊害についてご説明し、体重管理のためのツールを提供することに焦点を当てていました」と、ベラスケス氏は言う。

 「しかし、新しいガイドラインでは標準体重の女性に対しても、より早期からの予防戦略として、体重増加と肥満のリスクを抑制する効果的なツールを提供し、肥満対策に取り組みはじめることを強く奨励しています」

 中年期の女性の将来の体重増加を防ぐための行動カウンセリングによるアプローチが、適切な体重減少をもたらす可能性があることは、これまでの研究でも示されている。

 「体重管理は生涯にわたる旅であり、健康への投資でもあります。利用できる手助けもたくさんあることをご理解いただきたいと思っています」と、肥満と体重管理の専門家であるベラスケス氏は述べている。

 「健康増進に取り組むには遅過ぎると思い込んだり、あきらめないでください。生活スタイルの改善を開始するのに遅過ぎることはありません。個々の生活スタイルを尊重しながら、計画をたててもらい、医療提供者が丁寧に説明することで、成功に導くことができます」。

 「コミュニティを提供するサポートグループ、行動カウンセリング、栄養カウンセリング、肥満症の新しい治療薬など、体重管理のために利用可能なツールは増えています。BMIが40を超える高度の肥満症の女性にとっては、外科的な介入をする選択肢もあります」と、ベラスケス氏は指摘している。

New national guidelines aim to prevent obesity in midlife women (シダーズ-シナイ医療センター 2022年8月2日)
Preventing Obesity in Midlife Women: A Recommendation From the Women's Preventive Services Initiative (Annals of Internal Medicine 2022年8月2日)
女性予防サービスイニシアチブ (WPSI)
[Terahata]
side_メルマガバナー

「特定保健指導」に関するニュース

2024年04月30日
タバコは歯を失う原因に 認知症リスクも上昇 禁煙すれば歯を守れて認知症も予防できる可能性が
2024年04月25日
厚労省「地域・職域連携ポータルサイト」を開設
人生100年時代を迎え、保健事業の継続性は不可欠
2024年04月23日
生鮮食料品店が近くにある高齢者は介護費用が低くなる 自然に健康になれる環境づくりが大切
2024年04月22日
運動が心血管疾患リスクを23%低下 ストレス耐性も高められる 毎日11分間のウォーキングでも効果が
2024年04月22日
職場や家庭で怒りを爆発させても得はない 怒りを効果的に抑える2つの方法 「アンガーマネジメント」のすすめ
2024年04月22日
【更年期障害の最新情報】更年期は健康な老化の入り口 必要な治療を受けられることが望ましい
2024年04月22日
【肺がん】進行した人は「健診やがん検診を受けていれば良かった」と後悔 早期発見できた人は生存率が高い
2024年04月16日
塩分のとりすぎが高血圧や肥満の原因に 代替塩を使うと高血圧リスクは40%減少 日本人の減塩は優先課題
2024年04月16日
座ったままの時間が長いと肥満や死亡のリスクが上昇 ウォーキングなどの運動は夕方に行うと効果的
2024年04月15日
血圧が少し高いだけで脳・心血管疾患のリスクは2倍に上昇 日本の労働者8万人超を調査 早い段階の保健指導が必要
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶