ニュース

【新型コロナ】「子供のメンタルヘルス」を改善 大人のワクチン接種や社会経済的な環境が影響

 コロナ禍での子供のメンタルヘルスに、同居して働いている保護者などの大人のワクチン接種や、健康に関わる社会的な決定要因、さらには家族の生活の社会経済的な条件などが大きく影響していることが、米ニューヨークのウェイル メディカル大学の調査で明らかになった。

 新型コロナのパンデミックにより、子供たちにもたらされたストレスは、周囲にいる大人のワクチン接種により軽減されていた。

 働いている大人を支援する政策や、遠隔で医療サービスにアクセスできる環境づくりなどが、子供のメンタルヘルスの改善にもつながる可能性がある。

新型コロナの予防接種は家庭環境にも好影響

 米国では、成人向けにワクチン接種は2020年12月に開始された。ウェイル メディカル大学の調査では、新型コロナのパンデミックにより子供たちにもたらされたストレスは、周囲にいる大人のワクチン接種により軽減されていたことが明らかになった。

 「ワクチン接種率が高い州に住んでいる子供たちは、新型コロナのパンデミックについて、将来をあまり心配していない傾向がみられました」と、同大学ポピュレーション健康科学部のユンユ シャオ助教授は言う。

 「新型コロナの予防接種を受けることは、親の精神的健康や子供たちが住んでいる家庭環境にも、好ましい影響をもたらしている可能性があります」としている。

 パンデミック時に子供のメンタルヘルスに影響をもたらした健康に関わる社会的な決定要因として、▼食料不安がないこと、▼失業していないこと、▼医療へのアクセスが確保されていること、▼エッセンシャルワーカー(生活にとって必要不可欠な労働者)である親や保護者がいることなどが挙げられるとして。

 「こうした社会的で構造的な問題の多くは、新型コロナのパンデミック前からありましたが、新型コロナによりその影響はますます強まりました」と、シャオ助教授は指摘する。

関連情報

大人がワクチン接種を受けると子供のストレスや不安も減少

 研究グループは、前向き縦断コホート研究である「ABCD(小児や若年者の脳の認知発達)」研究に参加した8,493人(平均年齢9.93歳、女児48%)の子供のデータを解析した。

 この研究には、米国国立衛生研究所(NIH)のもつ17州の21ヵ所の研究施設が協力している。新型コロナのパンデミック初期での子供のメンタルヘルスの状態の経時変化について、大人のワクチン接種状況をはじめとする、さまざまな健康の社会的決定要因がどう関連しているのかを調べた。

 NIHが開発した心理的幸福に関する尺度である「Toolbox emotion battery」を用いて評価した結果、子供たちの「心理的ストレス」「悲しみ」「新型コロナがもたらした心配や不安」などは、大人がワクチン接種を受けることで、大幅に減少したことが明らかになった。

 逆に、大人のワクチン接種を受ける日が遅れたり、ワクチン接種を受けた成人が少ない州に住んでいる子供は、新型コロナに関連する心配やストレスが大きくなった。

 さらには、子供の健康の社会的決定要因として、▼世帯収入、▼親や保護者の配偶状況、▼居住地域の地理的剥奪指標(ADI、地域の社会経済状況の水準を示す指標)、▼食料不安、▼親の失業状況、▼医療アクセス状況なども影響することが示された。

 心理的ストレスが高いと判定された子供たちの特徴としては、▼年長、▼女性、▼ヒスパニック系、▼両親が別居している、▼医療サービスの利用を中断した経験がある、▼経済的に恵まれない地域に住んでいることなどがみられた。社会的距離をとりにくいフルタイム労働者の多い地域に住んでいることも、子供たちのストレスを高めていた。

子供たちの全体的な幸福を高めるのに何が必要か

 「地方や州、連邦政府などのさまざまな政策が、子供たちのストレスを軽減するのに役立つ可能性があります。さらに、食料不安に的を絞り食事支援を提供する、失業保険を延長する、住宅立ち退きのモラトリアム期間を拡大し、医療保険を充実させ、エッセンシャル ワーカーを支援する政策も有用です」と、シャオ助教授は指摘する。

 インターネットのブロードバンド回線の拡大により、より多くのコミュニティで遠隔医療サービスにアクセスしやすくすることも、検討すべき対策のひとつだという。「新型コロナに限らず、新たな公衆衛生上の緊急事態に備えるために、構造的な改革が必要です」としている。

 研究グループは今後、学校でのパンデミックへの備えや、パンデミック前の子供たちのメンタルヘルスなど、健康の社会的決定要因をさらに調査し、子供たちの全体的な幸福を高めるのに何が必要かを突き止める予定としている。

 「コロナ禍で子供のメンタルヘルスを守るためには、食料、医療サービスの確保、親の雇用を守ること、成人のワクチン接種を推進することなどが必要です。これまで実施されたさまざまな政策が、子供たちのメンタルヘルスにどのように影響しているかをよりよく理解したいと考えています」としている。

Children's Mental Health During Pandemic Influenced by Adult Vaccination Rates and Socioeconomic Factors (ウェイル メディカル大学 2022年4月27日)
Association of Social Determinants of Health and Vaccinations With Child Mental Health During the 新型コロナ Pandemic in the US (JAMA Psychiatry 2022年4月27日)
>> 新型コロナ ニュース一覧へ
[Terahata]

「特定保健指導」に関するニュース

2022年11月29日
【特定健診】メタボ健診はうつ病のリスク判定にも有用 メタボの要素が増えるごとにうつ判定が上昇
2022年11月29日
肥満・メタボを改善するための食事スタイル 「低炭水化物ダイエット」と「低脂肪ダイエット」のどちらが良い?
2022年11月29日
「肥満になるのは生活がだらしなく自己管理がダメな人」は誤解 日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン2022」
2022年11月28日
【新型コロナ】流行前に比べて38%の人が体重増加 9割以上は「やせたい」と希望 肥満と肥満症の違いとは
2022年11月28日
【新型コロナ】コロナ禍のストレスや不安が子供にも影響 子供の「神経性やせ症」は減っていない
2022年11月22日
特定健診を受けた日に健康相談が受けられるサービスを開始 健診結果に関わらず保健師などが対応 京都府
2022年11月22日
高齢者の「精神的フレイル」を簡易に検査 うつや不安症を尿検査で判定できる可能性 早期介入で改善
2022年11月21日
「果物」を食べるとうつ病リスクが3分の1に減少 フラボノイドなどの果物の天然成分がうつに予防的に働く?
2022年11月21日
健康管理アプリは医療者や専門職による支援・サポートが加わると効果的 アプリのみだと効果なし
2022年11月15日
【新コーナー】働く人に伝えたい!薬との付き合い方/日本産業衛生学会 全国協議会レポートなど 「トピックス・レポート」より
アルコールと保健指導

トピックス・レポート

無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(毎週木曜日・約11,000通)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶