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腎臓病の予防に健康的な食事スタイルが役立つ 腎臓病予防プログラムでも食事指導は重要

 健康的な食事スタイルにより、慢性腎臓病(CKD)の発症率は30%も低下し、初期の腎臓障害の指標となるアルブミン尿の発生率も23%低下するという調査結果を、米国腎臓学会(ASN)が発表した。

 腎臓病の人は、野菜や果物の摂取量が少ない傾向があることも明らかになった。野菜や果物には、ビタミンやミネラル、食物繊維、抗酸化物質など、有用な栄養が多く含まれる。毎日の食品に取り入れたい食品だ。

 「野菜や糖質の少ない果物を十分に食べることは、腎臓病だけでなく、2型糖尿病や肥満、心血管疾患など、多くの病気の予防・改善につながります」と専門家はアドバイスしている。

腎臓病は早期には自覚症状が少ない

 慢性腎臓病(CKD)は、腎臓の働きが低下したり、尿のなかにタンパクが漏れでる状態(タンパク尿)の総称。発症には、糖尿病、高血圧、肥満、メタボリックシンドローム、脂質異常症などが影響している。食べ過ぎや運動不足、喫煙といった生活スタイルや加齢も影響している。

 早期の段階では自覚症状は少ないが、進行すると体の余分な水分や老廃物を尿として体外に排泄する機能が弱まり、体がむくんだり、気分が悪くなったり、貧血をおこすなど、さまざまな症状が出てくる。

 さらに機能低下が進行し、末期腎不全にいたると、腎臓の機能を代替する治療である「透析療法」が必要になる。そうならないように、腎臓病を早期に発見し、適切な治療を行うことが大切になる。

健康的な食事により腎臓病を予防できる

 米国腎臓学会(ASN)の発表によると、健康的な食事スタイルにより、慢性腎臓病(CKD)の発症率は30%も低下する。さらに、健康的な食事スタイルは、初期の腎臓障害の指標となるアルブミン尿の発生率を23%低下させることと関連しているという。

 食生活を改善することで、慢性腎臓病の進行を遅らせることができるのは知られていたが、健康的な食事がその発症を防ぐのにも有用かはよく分かっていなかった。

 そこで、オーストラリアのクイーンズランド大学やボンド大学のジェイモン ケリー氏やカトリーナ バッハ氏らは、合計63万0,108人の成人を平均10.4年間追跡して調査した18件の研究を解析した。

 欧米には、「地中海式ダイエット」や「DASHダイエット」、政府が推奨する「食事ガイドライン」など、多くの食事スタイルがある。

 こうした健康的な食事スタイルに共通しているのは、▼動物性脂肪の多い赤身肉や加工肉・塩分・高カロリーの飲料や菓子類を減らしながら、▼野菜・全粒穀物・豆類・ナッツ類・大豆・魚・海藻・低脂肪の乳製品・糖質の少ない果物などは十分に摂ることだった。

アルブミン尿の検査は腎臓病の早期発見に不可欠

 研究では、健康的な食事スタイルは、アルブミン尿の発生率を低下させることにもつながることが示された。

 慢性腎臓病は、特定健診などの健康診断で行われている、タンパク尿や血液中のクレアチニン値の検査によって発見される。しかし糖尿病が原因の慢性腎臓病は、それだけでは早期発見できない。

 高血糖が続いていると、血液をろ過し、尿のもとを作る糸球体は、多量のタンパク尿が検出される以前から壊れはじめる。早期の段階では、タンパクの主成分であるアルブミンが、わずかに尿に混じる。そのアルブミン尿の検査が、腎臓病の早期発見には不可欠となる。

 「健康的な食事は、2型糖尿病、心血管疾患、がん、認知機能の低下を予防・改善するために、さらには死亡リスクを低下するために、潜在的に有用であることが、多くの研究で示されています」と、ケリー氏は言う。

 「これらの結果は、政府などが推進している腎臓病予防プログラムの開発に役立ち、病気の負担を軽減するのに役立つ可能性があります」。

 ケリー氏は、「どのような食事が腎臓の予防・改善に効果があるかを確かめるためには、十分な追跡期間を設けたランダム化臨床試験が必要となります」としながらも、「多くの臨床医は、腎臓病の発症リスクのある人にとって、健康的な食事が重要であることを経験的に知っています」と述べている。

腎臓病の人は野菜や果物の摂取量が少ない

 米国のバージニア大学医学部による別の研究では、慢性腎臓病の人は、野菜や果物の摂取量が少ない傾向があることが明らかになった。

 「ビタミンやミネラル、食物繊維、抗酸化物質などが多く含まれる野菜や果物を十分に食べることは、腎臓病だけでなく、2型糖尿病や肥満、心血管疾患など、多くの病気の予防・改善につながります」と、腎臓専門医のジュリア シャラ氏は言う。

 研究グループは、米国国民健康栄養調査(NHANES)の1988~2018年のデータを用いて、食事内容と、糖尿病や高血圧、腎臓病の関連について調べた。経時的な変化をみるために、前記の期間を3つに分けて検討した。

 その結果、慢性腎臓病があり、野菜や果物の摂取量が少ない食事スタイルと判定された人の割合は、1988~1994年のデータでは51.83%、2003~2010年のデータでは46.26%、2011~2018年のデータでは47.87%で、いずれもその割合は慢性腎臓病のない人よりも多かった。

野菜と果物を毎日食べることが大切

 シャラ氏は、「野菜や果物の摂取量が少ないことが、慢性腎臓病の原因なのか、あるいは他の要因が関与しているのかを知るために、さらなる検討が必要です」としながらも、「この研究は、慢性腎臓病の人と健康な人の両方に、より多くの種類と量の野菜と果物を毎日食べることを勧めるベネフィットを示すものです」としている。

 「野菜と果物を食べるときは、なるべく最小限に加工されたものを選び、果物は糖質の少ないものをお勧めします。野菜や果物のジュースや缶詰、加工食品は、糖質が多く含まれるものがあるので注意が必要です」と、研究に参加した登録栄養士であるシリン プラフシャール氏は付け加えている。

 なお、腎臓病の人は、野菜や果物に多く含まれるミネラルであるカリウムの摂取量を減らすことが勧められることもあるが、これによる健康上の利点については不明な点もあり、さらなる研究が必要としている。

A healthy diet may help prevent kidney disease (米国腎臓学会 2019年9月19日)
Healthy Dietary Patterns and Incidence of CKD (Clinical Journal of the American Society of Nephrology 2019年)
Can Dietary Patterns Modify Risk for CKD? (Clinical Journal of the American Society of Nephrology 2019年)
Diet Patterns and Kidney Disease (Clinical Journal of the American Society of Nephrology 2019年)
Eating More Fruits and Veggies Could Benefit Your Kidneys (バージニア大学 2022年7月26日)
Patterns of Fruit and Vegetable Intake in Adults with and without Chronic Kidney Disease in the United States (Journal of Renal Nutrition 2022年7月5日)
[Terahata]

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