ライフステージに応じた少子化対策を〜少子化社会対策大綱の推進に関する検討会中間評価

政府は2020年5月に「少子化社会対策大綱」を策定しており、少子化対策担当大臣の下で検討会を開催。施策の進捗状況などについて検証・評価を実施しており、2022年が大綱の中間年であることから、中間評価を公表した。
中間評価では、主な分野の方向性を改めて示しつつ、今後の課題やさらに取り組むべき事項について取りまとめている。
2021年の出生数は81万1,604人で過去最少となり、少子化の進行が深刻化している。すでに20代人口は40代人口の3分の2程度となり、2021年の婚姻件数も50万1,116組で戦後最少。新型コロナウイルス感染症の影響もあると見られ、今後も少子化はさらに進行していくことが懸念されている。
少子化は社会経済に多大な影響を及ぼすことから、中間評価では『国民共通の困難であり、まさに「静かなる有事」とも言うべき状況が進行している』と警鐘を鳴らしている。
重点項目の一つとして取り上げているのが「ライフステージを横断するテーマ」だ。
これは個人個人の生き方が多様化している中、結婚や妊娠・出産、子育てといったライフステージを横断する取り組みとして、「地域の実情に応じた少子化対策」、「働き方改革」、「結婚、妊娠、出産、子育てに温かい社会づくり」が重要だと強調するもの。そのうえで各項目において中間評価をまとめた。
例えば「働き方改革」においては、コロナ禍によりテレワークが浸透するなど「柔軟な働き方が普及してきた」と説明。テレワークで夫の家事・育児参加が増え、妻の負担が軽減されたとの意見や、時間的余裕の増加で仕事と子育ての両立がしやすくなった、など好意的な意見がある。一方、固定的な性別役割分担意識が変わらないままでは、女性の家事・育児の負担はより重くなっている可能性にも留意する必要がある、と警鐘を鳴らした。
また男女がライフイベントの変化に応じながらキャリアを築いていくため、転勤や単身赴任の在り方にも配慮を求めた。
そのうえで適正な労務管理下での良質なテレワークの導入・実施を進めるため、2021年3月に改定された「テレワークガイドライン」や、転勤に関しては「転勤に関する雇用管理のヒントと手法」などが、多様で柔軟な働き方の実現に向けて参考になると紹介している。
また「結婚」「妊娠・出産」「子育て」のライフステージごとにも各施策の評価・分析を実施するとともに、課題や方向性を整理した。
今後は2023年4月に設置される「こども家庭庁」が少子化対策の総合調整機能を担い、司令塔としてこども政策を推進する。
中間評価は、若者や子育て当事者の視点に立ってライフステージに応じ、総合的に少子化対策を充実させ、こども政策を一層強力に進めていくことを期待する、と締めくくっている。


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