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【特定健診】40歳以上の半数は生活習慣病かその予備群 健診受診率の引き上げと、働く人のヘルスリテラシーを向上することが課題に

 40歳以上の健康保険の被保険者のおよそ半数は、生活習慣病あるいはその予備群である可能性があることが、協会けんぽ京都支部の調査で示された。

 京都府では、特定健診(メタボ健診)を毎年受診しているという人の割合は、男性で30%、女性で25%と伸び悩んでおり、とくに、女性40~49歳では7割強が「受けたことがない」と回答している。

 そこで、協会けんぽ京都支部では、京都で働く人の「ヘルスリテラシー向上」を目指して、「健康の現在値(いま)をみよう」プロジェクトに取り組んでいる。

40歳以上の半数は生活習慣病かその予備群

 40歳以上の健康保険の被保険者のおよそ半数は、生活習慣病あるいはその予備群である可能性があることが、協会けんぽ京都支部の調査で示された。

 調査では、健診結果およびレセプト(医療機関などの受診状況)をもとに、特定保健指導対象者群の健康課題を調査分析した。

 2021年3月に、健診および健康サポート・健康相談を受けた40歳以上の健保加入者39万2,022人を対象に調査を実施した。

 健診受診の有無や医療費の状況などを踏まえて独自に7グループに分類し、改善に向けた事業を実施。

 その結果、約半数(49.86%)が、一定のリスク因子をもっていることが分かった。加入者自身の健康状態が確認できていない、生活習慣病およびその予備群も含め、改善に取組めていないケースもみられたという。

働く人の「ヘルスリテラシー向上」を目指す

 平均寿命と健康寿命の差は、健康上の問題で何らかの生活が制限されている期間の長さを示しているが、京都府民のこの差が約10年ある。府によると、男性は9.55年、女性は13.38年の差があり、男女ともに全国でも低い水準になっており、とくに女性の健康寿命は全国最下位と深刻だ。

 京都府では、府民の健康寿命を5年間で1歳延伸することを目標に、2015年度から「きょうと健康長寿・未病改善センター事業」を、2018年度から「健康長寿・データヘルス推進事業」を展開し、「年に1回健診を受けましょう」などと府民に呼びかけ、健康づくりの推進をはかっているが、なかなか成果を得られないでいる。

 健康寿命を延伸できない理由のひとつは、府民の健診の受診率の低さだ。府の2020年度の調査によると、特定健診(メタボ健診)を毎年受診しているという人の割合は、男性で30.1%、女性で24.6%と伸び悩んでおり、とくに、女性40~49歳では7割強が「受けたことがない」と回答している。

 そこで、協会けんぽ京都支部では、京都で働く人の「ヘルスリテラシー向上」を目指して、広報プロジェクト「健康の現在値(いま)をみよう」に取り組んでいる。

健診結果およびレセプト(医療機関などの受診状況)をもとにした京都支部加入者の健康状態・受診行動などの調査分析フロー

出典:協会けんぽ京都支部、2023年

事業所とともに取組む健康づくり「コラボヘルス」を推進

 協会けんぽ京都支部(全国健康保険協会京都支部)は、京都府の約5万5,000事業所、88万人が加入する医療保険者。加入者および事業所に対するサービスとして健診事業の実施ならびに受診後のサポート、その他保険給付などを行っている。

 加入者に「健康の現在値」を確認してもらい、健康増進の取り組みを働きかけるため、健康診断などの定期的な「健康確認」にかかる事業の費用補助、さらには「健診結果」などの情報を「活用」できていないおそれのある人を対象に、状況の改善に向けた事業として特定保健指導・重症化予防事業などを行っている。

 また、事業所とともに取組む健康づくり「コラボヘルス」を推進しており、事業所に対し健診データなどの保有するデータを分かりやすくフィードバックする事業なども行っている。

 「コラボヘルス」は、加入者の健康促進を、包括的にまた効果的に行うため、加入事業所と一体となって、加入者が多くの時間を過ごす職場の環境を健康的にすることを目指した事業。

 その一環として行っている「健康の現在値(いま)を見よう」プロジェクトは、職場の健康づくりトップランナーの取組の聴取および、意見交換など、事業所と協働して広報を行うもの。

協会けんぽ京都支部広報プロジェクト
現在値(いま)が見える場所
事業所・加入者での健診受診の促進や、特定保健指導の利用率向上などに向けて、2021年度より、「現在値(いま)が見える場所」という統一テーマを掲げた広報プロジェクトを開始。生活のなかからみえる数値「現在値(いま)」を意識して、自身の体について、考えるきっかけにしてほしいとしている。

産業保健体制の強化やヘルスリテラシーの向上などに取り組む

 「コラボヘルス」に参加した事業所のひとつである京都環境保全公社では、協会けんぽの「京から取り組む健康事業所宣言」への登録をきっかけに、「働き方改革」の推進、「両立支援制度」の強化、「福利厚生」の充実、「産業保健体制」の強化、「ヘルスリテラシーの向上」の5本柱で取組を実施。

 一番の課題であった、「ヘルスリテラシーの向上」に関して、試行錯誤を重ねている。まずは健康を知るきっかけづくりなど継続的に働きかけた。健康教育に関しては従業員への浸透が困難であったが、健康講座やeラーニングなどの手段を活用し、定期的な健康教育の場を設置した。また、再検査対象者や医療機関要受診者への行動変容を促すための工夫を行った。検査費用などの金銭面、時間捻出の面など、行動変容の阻害要因のうち、事業所内で対処可能と思われる部分をまずはひとつひとつ潰していった。

 また、「働き方改革」の推進における取組にも特に注力。京都府の「ワーク・ライフ・バランス認証企業」の認証を受けている。労働時間の削減に関しては、ノー残業デーの推進をはじめとして、各部署の管理職層へのアプローチによる意識づけを行うなどの取り組みを確実に行ってきた。さらに、24時間勤務の方の朝食欠食の声を反映し、24時間購入可能な"食の自販機"の導入など、業態独自の課題にも力を入れた。

 「今年度より産業保健師との連携をはじめ、予防医学の観点から、1人ひとりが自発的な行動につながるヘルスリテラシーの向上に力を入れていく。また、傷病と仕事の両立支援をはじめとした社内体制の構築にも注力したい」としている。

健診結果に一定のリスク因子を保持する人の割合

出典:協会けんぽ京都支部、2023年

協会けんぽ京都支部 (全国健康保険協会京都支部)
[Terahata]
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