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子供の頃に座りっぱなしの生活をしていると成人してから健康障害が 保健指導は子供や若者のうちから必要
2023年09月25日

子供や若年の頃に、座ったままの時間が長い生活をしており、運動不足だった人は、成長して成人になると心臓病や脳卒中のリスクが高くなることが明らかになった。
小児や若年の頃に過体重や肥満だった人は、年齢を重ねて成人になると、血栓症のリスクが高まることも分かった。
「成人になってから健診を受け、異常を指摘された人は、その原因は人生の早い時期からはじまっている可能性があります」と、研究者は指摘している。
「座りっぱなしの生活」の弊害は子供の頃にはじまっている
子供や若年の頃に、座ったままの時間が長い生活をしており、運動不足だった人は、成長して成人になると心臓病や脳卒中のリスクが高くなるという調査結果を、欧州心臓病学会(ESC)が発表した。 小児期から若年期にかけて、運動不足の生活スタイルが定着すると、体重や血圧などが正常であっても、その後の人生で心臓血管などに障害が起こりやすくなるとしている。 スマートフォン・タブレット・パソコン・テレビ・ゲーム機などのメディアを見ている「スクリーンタイム」が長いことは、成人で健康障害につながりやすいことが懸念されているが、その予兆は子供の頃にすでにはじまっているようだ。 「スクリーンタイムが長く、座ったまま過ごす時間が長い生活スタイルは、成人だけでなく、子供や若者にとっても有害であることが示されました。健康を長期的に守るために、もっと体を動かすことを心がける必要があります」と、東フィンランド大学のアンドリュー アグバジェ氏は言う。座位時間が長い子供は将来に心臓病や脳卒中のリスクが上昇
「子供たちの多くは、座ったまま過ごす時間が1日に6時間以上あり、若年に成長すると、その時間は9時間近くまでに増えます」と、アグバジェ氏は指摘している。 「座位時間が長い生活スタイルは、将来の心臓病や脳卒中などの発症リスクの上昇につながります。子供や若者のうちから、ソーシャルメディアやビデオゲームなどのスクリーンタイムを制限し、もっと体を活発に動かすことを奨励すべきです」としている。 調査は、出生時から成人後にかけて、生活スタイルと健康障害の関連を調べる目的で、1990年~1991年に英国で開始された、大規模な多世代縦断研究である「Children of the 90s」の一環として実施された 研究グループは、研究開始時に子供だった766人の参加者にスマートウォッチを身に着けてもらい、7日間の身体活動を測定し、健康診断も行った。参加者の11歳~24歳時の座位時間と、17歳~24歳の心臓の健康を評価するための検査の値との関連を調べた。 参加した766人の子供は45%が男の子、55%が女の子で、その1日の座位時間は、11歳の時点では平均362分(6時間)だったが、15歳の若年期には474分(7.9時間)に、24歳の時点では531分(8.9)時間に増えていた。 11歳の小児期から24歳の若年期にかけて、1日の座位時間は平均して169万(2.8時間)増えており、これに合わせて、全身に血液を送り出している心臓の左心室の心筋重量(LV mass)が0.7増加していた。 成人を対象とした過去の研究では、LV massが7年間で1増加すると、心臓病・脳卒中・死亡のリスクが2倍に上昇することと関連していることが示されている。小児や若年の頃の過体重や肥満は将来に血栓症リスクを高める

Youth overweight a risk factor for blood clots as adult (ヨーテボリ大学 2023年3月2日)
Overweight in childhood and young adulthood increases the risk for adult thromboembolic events (Journal of Internal Medicine 2023年3月1日)
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