腸内細菌が肥満やメタボのリスクを低下 新発見が次々と 腸内フローラを健康にする方法
腸内細菌が肥満や糖尿病などにも関与
人の腸内には、500~1,000種類、100兆個と推定される腸内細菌が生息している。さまざまな種類の菌が一面に広がる様子がお花畑に見えることから、「腸内フローラ(腸内細菌叢)」と呼ばれている。 腸内フローラを構成する腸内細菌は大きく、▼有害な物質をつくる悪玉菌、▼良い働きをする善玉菌、▼それ以外の日和見菌に分かれる。 腸内フローラのバランスの乱れは、さまざまな体の不調や、ウイルスなどに対する免疫、2型肥満や糖尿病、炎症性腸疾患、がんなどにも関わっていると注目されている。肥満から保護する働きをする腸内細菌
米国のシダーズ サイナイ医療センターの研究によると、あるタイプの腸内細菌が肥満や糖尿病のリスクを高めている可能性がある。それらから保護する働きをしている腸内細菌もあるという。 腸内細菌のひとつであるコプロコッカス属は、消化や吸収をサポートしたり、免疫機能に関わる働きをする善玉菌とみられている。ほとんどの人はコプロコッカス属の菌を保有しているが、人によって多かったり少なかったりする。 研究グループは、腸内にこのコプロコッカス属の菌を多くもっている人は、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが働きやすくなる傾向があることを突き止めた。 研究グループは、40歳~80歳の米国人を2018年から追跡しており、この研究ではそのうちの352人のデータを分析した。28人が糖尿病、135人が糖尿病予備群と判定された。食物繊維などをエサに短鎖脂肪酸を産生
インスリンの働き改善させる腸内細菌を発見
日本の理化学研究所や東京大学などは8月に、肥満や糖尿病と関連の深いインスリン抵抗性を改善する、腸内細菌やその代謝物を特定したと発表した。 腸内細菌のうちアリスティペス属の菌に、インスリンが働きにくくなるインスリン抵抗性を改善させる効果があることを発見。この菌の働きについて、これまでよく分かっていなかった。 研究グループは、日本人を対象に、(1) 肥満の人(BMIが25以上)、(2) 糖尿病予備群(空腹時血糖 110mg/dL以上、もしくはHbA1c 6.0%以上)、(3) それ以外の人の計306人を対象に、統合オミクス解析と呼ばれる、腸内細菌を網羅的に解析する新しい手法で調べた。 発見したこの菌を肥満のマウスに投与したところ、インスリン抵抗性の指標であるインスリンの血糖低下作用が改善した。さらに、腸管および血液中の単糖類の量が減少した。 健康に有用な働きをする菌などの生きた微生物は、「プロバイオティクス」と呼ばれている。「研究成果をもとに、新しいプロバイオティクスやインスリン抵抗性の治療薬を創出することが期待されます」と、研究者は述べている。漬物などの発酵食品を食べると腸内の善玉菌を増やせる
腸内の良い菌の栄養源となる「プレバイオティクス」
腸内の良い菌を増やし悪い菌を減らす「プロバイオティクス」
Butyrate-Producing Bacteria and Insulin Homeostasis: The Microbiome and Insulin Longitudinal Evaluation Study (MILES) (Diabetes 2022年8月12日)
Bacteria treatment reduces insulin resistance, protects against diabetes (理化学研究所 2023年9月1日)
Gut microbial carbohydrate metabolism contributes to insulin resistance (Nature 2023年8月30日)
Host metabolic benefits of prebiotic exopolysaccharides produced by Leuconostoc mesenteroides (Gut Microbes 2023年1月5日)
Lifestyle management for type 2 diabetes: it's all about what's inside (健康のための腸内細菌叢研究 2022年11月30日)
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