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「社会的孤立」が健康やウェルビーイングを低下 孤独は認知症や介護のリスクを高める 健診の受診にも影響
2023年10月16日

「社会的孤立」は、高齢化にともない重要な社会課題となっている。
高齢者が友人や社会などとのかかわりを保つことが、社会的孤立によるウェルビーイングの低下を軽減するのに有用であることが、大規模な調査で明らかになった。
また、高齢者のインターネット利用は人や社会とのつながりを促すことも示された。
インターネットをほぼ毎日使用している高齢者は、スポーツの会への参加、友人と会う頻度、友人の数、日常生活動作、健診受診が多くなる傾向が示された。
「社会的孤立」は重要な社会課題 対策が必要
「社会的孤立」は、高齢化にともない重要な社会課題となっている。日本でも、孤独・孤立対策担当大臣が任命され、孤独・孤立対策推進法案の早期成立に向けた動きが加速している。 そこで新潟大学などの研究グループは、「日本老年学的評価研究」(JAGES)に参加した全国の65歳以上の成人3万4,187人(一部4万7,318人)を2016年から3年間追跡し、社会的孤立とウェルビーイング(健康・幸福)との関連を調査した。 社会的孤立については、配偶者・子供・親戚・友人・社会参加の5つの指標の合計(5点満点)と、指標ごとに評価した。 その結果、高齢者が友人や社会などとのかかわりを保つことが、社会的孤立によるウェルビーイングの低下を軽減するのに有用であることが示された。 合計で4点以上の人は、0点の人に比べて、死亡リスクは1.9倍、認知症は1.6倍、介護リスクは1.5倍にそれぞれ上昇し、抑うつや幸福感、希望、歩行、健診受診などの指標とも関連があることが明らかになった。友人などとの交流や社会参加を保つことが高齢者のウェルビーイングを高める
研究グループは今回、社会的孤立について、配偶者(結婚していない、またはパートナーと同居していない)・子供(子供と同居していない、または子供からのサポートがない)・親戚(親戚からのサポートがない)・友人(月1回未満しか会わない、もしくは友人からのサポートがない)・社会参加(社会参加していない)の5つの指標で評価した。 個別の指標をみると、友人・社会参加で評価した社会的孤立が、広範な健康・ウェルビーイングの指標と関連していた。とくに友人との交流や社会参加による影響が強い可能性が示唆された。 また、配偶者・子供・親戚からの孤立による影響は、性差や年齢による違いがあり、男性では配偶者からの孤立は低い人生満足度と関連している一方で、女性では高い人生満足度との関連がみられた。 「社会的孤立、とくに友人などとの交流や社会参加がないことは、高齢者の健康・ウェルビーイングに広範囲に影響を与えていると考えられます」と、研究者は述べている。 研究は、千葉大学予防医学センター健康まちづくり共同研究部門の中込敦士特任准教授らによるもの。研究成果は、「Social Science & Medicine」に掲載された。高齢者のインターネット利用は
人や社会とのつながりを促進 健診受診も増加
人や社会とのつながりを促進 健診受診も増加

全国の高齢者20万人を対象とした大規模研究。超高齢社会を迎えた日本で、介護予防や健康の社会的決定要因などを、ソーシャル キャピタル(社会の信頼関係や結びつき)をキーワードに研究している。
Social isolation and subsequent health and well-being in older adults: A longitudinal outcome-wide analysis (Social Science & Medicine 2023年6月)Internet use and subsequent health and well-being in older adults: An outcome-wide analysis (Computers in Human Behavior 2023年5月)
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